経済産業大臣賞 パナソニック株式会社

No.650 2017年4月

[製品・ビジネスモデル部門/製品(業務)分野]

家庭用ルームエアコン 『ダブル温度・同時吹き分け気流システム搭載』
「Eolia(エオリア) WXシリーズ」
パナソニック株式会社 アプライアンス社 
エアコンカンパニー エアコン事業部

表彰されるパナソニック株式会社の常務役員 高木俊幸氏

1.製品開発の背景
 当社は、1957年のエアコン事業のスタート以来、60年に亘って、省エネ性と快適性を追求するエアコンを目指し、APF(通年エネルギー消費効率)向上の技術開発と併せて、実使用上で徹底的にムダを省くためのセンシング技術の開発も行ってまいりました。2015年発売の製品では、リビングに複数の人がいる生活において、省エネで快適な空調を実現するため、人や部屋の温度を計測し、からだ表面と周囲の温度差から温冷感を解析する当社独自(*1)の温冷感センサーを用いて、人の「暑い」、「寒い」の感じ方を見分ける技術を搭載し、それぞれの人に最適な温度の気流をお届けする技術を実現しましたが、複数の人を同時に快適にするためには、これまでの気流システムでは限界がありました。

2.新製品の特徴
 今回受賞した本製品(図1)では、センシング技術に加え、「暑い」「寒い」それぞれの人に快適な気流をお届けすることをコンセプトとして、これまでの気流制御技術では不可能であった二つの異なる温度の気流を作り、同時に届けることのできるダブル温度・同時吹き分け気流システムを新たに搭載。併せて、霜取り運転時でも連続暖房を実現可能にする当社独自のエネチャージシステム(*2)の更なる進化や、新要素技術による省エネ性向上も実現することで、省エネで快適な空調空間作りを目指しました。

図1 家庭用エアコン Eolia (エオリア) WXシリーズ

(1)世界初(*3)ダブル温度熱交換器と、同時吹き分け気流の実現
 「温冷感センサー」によって、人の「暑い」「寒い」を見分けることにくわえて、熱交換器の途中に新開発の「可変圧力弁」を設けることで、熱交換器の上部と下部の温度を変えて、吹出口の上部から中温風、下部から高温風の吹出しを可能としました。
 この可変圧力弁では、動作方式や消音方式を工夫することで、流量可変範囲の拡大と低騒音化を実現しています。具体的には、弁全開時の圧力損失防止とダブル温度制御時の細かい流量制御とを両立する2段階動作方式と、気液2相状態の冷媒を細分化することで、冷媒流通音を低減する2段階消音方式という、2つの独自開発構成を採用しています。
 また、吹出口は、新開発の羽根構成「マルチ・ビッグフラップ」、「マルチ・ルーバー」を搭載した「ダブル温度気流」システムを採用することで、左右と奥行き方向に異なる温度の気流を同時にお届けすることを可能としています。(図2)
 以上によって、例えば、暖房運転時に、「暑い」人と「ちょうどいい」人がいる場合、ムダに暖房していたエネルギーを削減し、かつ、2人とも快適な状態にしながら、従来に比べて約30%の省エネ効果(*4)を実現することができました。

図2 ダブル温度熱交換器・同時吹き分け気流システム
  
(2)蓄熱効率を向上した新エネチャージシステムの搭載
 暖房時に圧縮機から逃げている熱を蓄熱(チャージ)し、霜取時に熱源として活用し連続暖房を実現するエネチャージシステムの更なる進化を図りました。
 エネチャージシステムを構成する蓄熱熱交換量(蓄熱槽からの熱取り出し量)増加に向けて、蓄熱熱交換器の改良を行うとともに、霜取熱量を増やすために、霜取運転時において、通常運転時よりも圧縮機入力を増加する新たな圧縮機駆動波形制御を搭載しました。
 以上によって、霜取時の室温低下をエネチャージがない場合の約5〜6℃低下に対して、約1℃以下に抑制することができ(*5)、霜取運転時の更なる快適性の向上を図っております。(図3)

図3 エネチャージシステム

(3)新要素技術による省エネルギー性向上
 熱交換器やファンや圧縮機駆動の損失を最小化する独自の技術によりAPFの向上を図りました。今回、室内機においては、レイアウトを一新し制御ボックスの配置変更による風速分布の均一化や、熱交換器の配管組み合わせや配置の変更、およびフィン切り起こし追加による高効率化を図りました。また、室外機においては、2枚羽根化や新型翼形状による空力性能の向上、さらに圧縮機の集中巻きモータを採用することで銅損低減による高効率化を図りました。これらの新要素技術により、4 kWクラスで前年度から+0.2のAPF7.6(*6)を実現しました。

3.おわりに
 上述の通り、快適性や省エネ性を向上する技術を搭載した「Eolia(エオリア)」WXシリーズによって、お客様の生活価値向上を提案できればと考えます。当社は、これからも、人が触れる空気の清潔さや快適な温度にもっとこだわりつつ、省エネ性を両立する商品開発を進めてまいります。

*1) 2015年10月21日発売。家庭用エアコンにおいて。からだの放熱量を見て、独自のアルゴリズムで人の「暑い」「寒い」を見分ける技術。(当社調べ)
*2 )国内家庭用エアコンにおいて。圧縮機からの排熱を顕熱蓄熱してノンストップ暖房をするシステム。2017年3月1日現在。(当社調べ)
*3 )2016年10月21日発売。家庭用エアコンにおいて。2種類の異なる凝縮温度(もしくは蒸発温度)を有する熱交換器で2つの異なる温度の気流を同時に送る技術。(当社調べ)
*4 )当社実施の実環境における被験者評価に基づく。比較対象はCS-X405C2
*5 )CS-WX407C2、当社環境試験室(14畳)、外気温2℃、設定温度23℃、風量・風向自動、室温安定時。
*6 )CS-WX407C2 JIS C 9612:2013ルームエアコンディショナに準拠。