「よく働き、よく遊ぶ ~ロンドン編 後編 ~」国際部 笠原秀晃

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No.653 2017年10月

 海外駐在記は前号に引き続き、当工業会、笠原国際部長の海外駐在記後編です。多忙な中、ロンドンを楽しんでいる様子がうかがえる内容になっております。どうぞご覧ください。


1.余暇の過ごし方
 着任後の家探しから2ヶ月経ち、当初の部屋貸し宿から郊外のアパートに入居。日本から船便発送した身の回り品が到着し、自家用車も入手して、ようやくロンドン生活が軌道に乗り始めました。

 季節も春らしくなった事もあり、運動不足解消も兼ねた週末の過ごし方を考え始めました。まず頭に浮かんだのが、イギリス発祥のラグビーです。インターネット検索で、日本人チーム「London Japanese Rugby Football Club」がロンドン拠点で活動している事を知り、早速このチームに参加する事にしました。(写真1)
 このチーム(通称ロンジャパ)は30年以上の歴史があり、日本代表経験のある選手も多くプレーした由緒あるクラブです。 ロンジャパに興味がある方は、ウェブ検索で調べてみて下さい。

 メンバーは、私と同じようなロンドン勤務の駐在員や現地校の留学生に加え、現地の「ラグビー好き」の仲間たち。年齢は10代の若手から50代後半のオヤジまで、スキルも初心者からトップクラスの現役選手と様々で、私のような「年齢トップクラス」で「下手の横好き」も、優しく迎えていただきました。日本人チームと言いましたが、メンバーはイギリスを始めフランス、スペイン、南アフリカ、カナダなど、多国籍で構成されています。私が所属した当時は、日本人は全メンバーの6割程度だったでしょうか。

写真1:London Japanese Rugby Football Clubメンバー (後列右から3人目が筆者)

 練習は毎週土曜AM11時から2時間ほど、タックル無しのタッチラグビーが主です。市中心部にあるRegent’s Parkの一角にある広場で行います。どこの公園にも芝のフィールドがありますから、タッチラグビー程度ならラグビー場を使用する必要はありません。
 練習後は近くのパブに移動し、パイントビール片手に色んな話で盛り上がります。秋からは、各地のクラブチームとの交流試合が翌春まで続きます。交流試合の後は、相手チームのクラブハウスや最寄のパブで、選手の家族も交えて社交の場。(写真2)その他、定期戦としてオックスフォード大OBチームとの「奥記念杯」や、欧州各地の日本人チームが一堂に会する「デュッセルドルフ・ラグビーフェスタ」の遠征など、多くの交流を通じてラグビー本来の楽しさを体得することが出来ました。

写真2:試合後の交流 - ボートレース(ビール早飲み)の様子

 「試合中に大怪我でもしたら、会社業務に支障あるでしょ?」と、心配する声もありました。会社費用で派遣された駐在員にとって、入院休業は致命的です。6年間を通して怪我をしない(消極的な?)プレーに徹することで、幸運にも大怪我は回避出来ました。但し、試合中の脳震盪は2度経験・・・。
 本場イギリスでのラグビーを通じて、職場活動だけでは出会う事のない多くの仲間(老若男+女?)と知り合う事が出来ました。ロンジャパとの出会いが、私のロンドン生活を楽しく実りあるものにしてくれた事は、疑う余地もありません。

 ラグビー以外の余暇は、田舎町訪問&サイクリングです。日本から持ち込んだ自転車を車に載せ、ロンドンから日帰り圏内にある名もない田舎町を訪問。サイクリングしながら古い町並みや周囲の美しい自然を楽しみます。ロンドンには無い、本来のイングランド(親切なイングランド人?)と接する事が出来ます。長期連休を利用して、スコットランド各地を巡る旅や、ドーバー海峡を渡ってフランス訪問も。(写真3、4)

写真3:自転車を載せて車で旅行 - スコットランドにて

写真4:田舎町から見る景色

 日本人駐在員の娯楽の定番はゴルフでしょうか。私は日本でプレーした事も無かったのですが、知人から中古道具一式を譲り受け、初期投資ゼロで練習を始めました。市内には多くの公設ゴルフ場があり、どこも安価で服装も気にせずプレーできます。これらのゴルフ場は近隣住民にとっては公園のような位置付けなのか、コース脇で犬の散歩をしたり、時にはコース内で平然とピクニックしている事も。「危ないぞ」と声を掛けても、「Don’t worry~」と・・・。イギリスではゴルフは大変身近な遊びなのだと、妙に納得しました。ゴルフ発祥(スコットランド)の当時は、このようにノンビリした風景が見られたのかも。

 人気のスポーツと言えば、サッカーもあります。国民(庶民?)的スポーツで、熱狂的なファンも沢山いますが、私の嗜好ではないので紹介出来ません。ごめんなさい。

 余暇として忘れてはならないのが、パブで飲むビール。出入り自由で1名でも気兼ねなく利用できます。一般的なラガービールに加え、Guinnessや地元のAleビールも選べますから、いろんな味が楽しめます。美味しい料理を売りにする、ビストロパブも。人気のパブでは店内に入りきらない客が、パイントグラス(約570㏄)片手に歩道で談笑している姿を良く見ます。皆さん、良く飲み、良く喋ります。店内は禁煙ですから、喫煙者はおのずと屋外で。因みに、日本に帰国した際に違和感があったのは、屋内での喫煙です。イギリスでは2007年の全面禁煙化に先立ってパブ存続の危機が叫ばれたようですが、杞憂に終わりました。日本でも、お酒が美味しく飲めるように全面禁煙をお願いしたいです。店内空調機のヤニ汚れ防止にもなりますね。

 仲間と行くと「ラウンドで」飲む事があります。(写真5)各人が全員分のパイントを順々に支払いますから、4名で行くと最低でも4杯は飲むことに。半分サイズもありますが、この「ハーフパイント」は女性用と思われていますので、男性が注文するとGay扱いされる、との噂も。また、日本人は酒の肴(主にChips、日本でいうフレンチポテト)をよく注文するのですが、イギリス人は肴無しで飲み続けるのが一般的のようです。理由を尋ねると「ビールは液体の食事だから、食べ物は不要だよ」と・・・。

写真5:ラグビーの練習後に行くパブ

 パブの用途は他にもあります。イギリスは、公衆トイレが日本ほど整備されていませんから、外出先でのトイレ探しに苦労する事も。その時はパブに駆け込みましょう。混雑したお店であれば、店員の目を気にせずトイレ利用だけの入店も可能です。(何度も実践しました)

2.さいごに
 ロンドン生活は、楽しいことばかりではありません。例えば、郵便事情、固定電話の開設、電気・ガス代の支払い、大家との各種折衝、等々、特に公共サービスに関して日本では有り得ないような各種トラブルに対処していかなければなりません。盗難対策や治安対応にも留意要です。さらにBREXIT(欧州連合からのイギリス離脱)に関する所感など、ご紹介したい話は他にもありますが、紙面の都合上、割愛させていただきます。

 以上が私のロンドン生活です。これを読むと、遊んでばかりの駐在生活のように見えますが、平日は本来の業務をシッカリこなしていた事は、付け加えておきたいと思います。また、社内の現地人スタッフから「ニホン人駐在者は仕事一辺倒で、人間として魅力に欠けるね。」と暗に敬遠される場合もあるようです。週末はしっかり遊び、遊びを通して現地の文化(私の場合はラグビー)を学ぶニホン人上司の姿を見てもらう事も、彼らと良好な人間関係を醸成する一助になると思っています。(人事管理面でもメリットあり?)
 「よく働き、よく遊ぶ」、Work Life Balanceの大切さを学んだ6年間でした。
以上