機関誌「冷凍と空調」 / 2002.3 (NO.490)

資料紹介

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家庭系パソコンの回収・再資源化推進のための方策について

 

 経済産業省の産業構造審議会パソコン3R分科会と環境省のパソコン等リサイクル検討会の合同会合(座長:永田勝也,早稲田大学理工学部教授)は2月21日,資源の有効な利用の促進に関する法律に基づく家庭系使用済みパーソナルコンピュータの回収・再資源化推進のための方策について報告書案をまとめました。家庭系使用済みパソコンの回収・再資源化を実施していく上で必要な制度の枠組み,関係者の役割分担,回収の方法,費用負担のあり方等についてとりまとめた内容となっています。報告書を抜粋して紹介します。
(編集係)

1.経緯

 <略>


2.家庭系パソコンの現状(事実関係とその分析)

(1)国内出荷,普及の状況

 平成12年度におけるパソコンの国内出荷12,102千台のうち,40.2%の4,865千台が家庭向けと推定されている。家庭向け出荷比率がここ数年で急速に伸びた結果,家庭における保有台数は平成12年度で21,497千台と推定される。家庭における普及率は50.1%に達している。

(2)流通・販売の状況

 家庭系パソコンは,そのほとんどがパソコン専門店,家電量販店等の小売店を通じて販売されている。  商品の輸送は,家電リサイクルの対象となる家電4品目とは異なり,小型軽量で持ち運び可能であることから,デスクトップ型では約半分,ノートブック型では約7割が持ち帰りとなっている。なお,配達される場合も,宅配便が用いられているのが特徴である。
 この結果,家電4品目のように,小売店による配達時の持ち帰りを基本とする回収は困難である。

(3)保有・排出の状況

 家庭系パソコンが排出されるまでの平均年数は13.8年という調査結果がある。
 家庭系使用済みパソコンの排出量は,平成13年度で約9千トン程度と推定される。今後,家庭への普及の本格化とともに,排出量も増加し,平成18年度には現在の2倍強の2万トンを越え,十数年後には現在の約8倍に達するものと推定される。

(4)処理の状況

 使用済みの家庭系パソコンは,これまで,そのほとんどが自治体により処理されている。  自治体の「ゴミ」としての取扱いは,デスクトップ型は,多くの自治体で「粗大ごみ」として処理されており,「不燃ごみ」扱いは約2割にとどまるが,ノートブック型については,「粗大ごみ」扱いと,「不燃ごみ」扱いがほぼ同じ割合で存在する。  処理の内容は多くは埋立処分であり,資源回収が行われる一部の場合でも,資源の回収は鉄回収が中心となっている。

(5)家庭系パソコンをリサイクルすることにより回収し得る資源

 <略>

(6)パソコンのリサイクルを行うことによる費用と社会的便益

 自治体の粗大ごみ処理費用は,デスクトップ型パソコンで3,405円〜6,475円程度,ノートブック型パソコンで448円〜852円程度の処理費用がかかっていると推定される。
 収集運搬費及びリサイクル処理費を表のように仮定すると,デスクトップ型については,自治体の処理費に比べて,メーカー等のリサイクル処理費が収集運搬費と合計した場合でも下回るか,又は,収集運搬費を除いたリサイクル処理費とほぼ同等であり,リサイクル処理費用の効率化も期待される。ただし,ノートブック型については,自治体の処理費が,メーカー等のリサイクル処理費と比べて,ほぼ同等か小さく,特に,収集運搬費用がリサイクル処理費と同じ程度かかると考えられることから,回収までを含めると,現状では必ずしも効率化が期待できるとは言えず,社会的便益を確保するためには,効率的な回収ルートの構築が課題となると考えられる。

種   別 リサイクル処理費 収集運搬費 合  計
デスクトップ型 3,000〜4,000 1,500 4,500〜5,500
ノートブック型 1,000〜1,500 1,000 2,000〜2,500
(注)上記費用は,具体的な費用積算に基づくものではなく,推定値である。


3.家庭系使用済みパソコンの回収・再資源化の制度設計を行う上での基本的考え方

(1)制度の枠組み

 一般に,リサイクルを行うに当たって,どのような仕組みを構築するかは
 <1>当該製品の排出量等廃棄物としての位置づけ
 <2>回収する資源の有用性
 <3>自治体における処理困難性
 等を勘案して,制度の実効性,関係者の義務の程度,役割分担を総合的に判断すべきである。
 家庭系使用済みパソコンの実態を考慮すると,関係者に対して厳格な義務を課す個別法を制定するのではなく,柔軟性を持たせる仕組みづくりを考えることがより効率的であり,資源有効利用促進法に基づくメーカー等の自主的取組みにより対応すべきである。

(2)関係者の役割分担

 関係者に期待される役割は次のように考えられる。

(メーカー等の役割)

メーカーは自ら製造した使用済み製品について,製品の規格,仕様の決定,原材料の選択等を行っており,これらを背景にリサイクルを最も適切かつ効率的に実施し得る立場にあること,また,輸入販売業者についても最もリサイクルしやすい製品を選択しうる立場にあることから,拡大生産者責任の観点を踏まえ,資源有効利用促進法に基づく指定再資源化事業者として,回収拠点(以下「指定回収場所」という。)を設け,家庭から排出された使用済みパソコンを引取るとともに,引取った製品について適切な方法でリサイクル処理を行うこと。

上記に加えて,消費者の排出実態を考慮して,回収サービス(宅配便の派遣等)の提供等を含め,消費者の利便性の高い,実効性のある回収・リサイクルの仕組みを総合的に検討し,その仕組みが実効的に機能するよう実施すること。
リサイクル容易設計の実施,材料の選択等を通じて,リサイクル率の向上,リサイクルコストの低下等に努力すること。

(販売店の役割)

パソコンは持ち帰り比率が高く,販売店による配達が少ないことや,蓄積されたデータの移し替え作業等により多くの場合購入時点と排出時点が異なるという商品特性があり,家電4品目とは異なり,販売時における販売店回収が主たるルートとはなりにくい。しかし,全国展開している販売店数からしても,消費者の利便性からしても,補完的な回収ルートとしては重要な位置を占め得ることから,回収の実効性を上げるために,販売店が消費者の持ち込みや,配達した場合の消費者からの引取要請等に,積極的に応ずることにより,回収に協力していくことが期待される。

(自治体の役割)

実施に当たって,回収・リサイクルの仕組みが実効的に機能するよう,不法投棄等をせず適正に排出することを含め,住民に対する広報・周知活動を行うこと。

メーカー等による回収と自治体による粗大ごみ等の回収が並存する中では,メーカー等による回収ルートへの排出を促進することができるよう,住民との協力による分別回収等や,自治体間の広域的な協力,民間許可業者の活用等により,住民が利用しやすい効率的な分別回収が可能となるよう検討すること。また,住民の理解が得られる自治体においては,メーカー等のリサイクル料金の水準も踏まえて,メーカー等の回収ルートへの排出を促進するよう適正な収集手数料を設定することを検討すること。
また,自治体施設を,メーカー等が設置する回収拠点とすることについても検討すること。
国が講ずる措置にならって,資源有効利用促進法に基づいてリサイクルを行っているメーカー等の製品について,グリーン調達の対象として,優先的に購入することを検討すること。

(国の役割)

資源有効利用促進法に基づいてリサイクルを行っているメーカー等の製品について,優先的に購入することを検討すること。

実施に当たって,回収・リサイクルの仕組みが実効的に機能するよう,不法投棄等をせず適正に排出することを含め,国民に対する広報・周知活動を行うこと。
法に基づく義務を遵守するメーカー等が競争上不利とならないよう,資源有効利用促進法の厳格な運用を図ること。
メーカー等が構築する指定回収場所以降の運搬,及び,消費者に提供する指定回収場所までの回収サービスの仕組みに対して,廃棄物処理法に基づく広域指定を行うに当たっては,これに係る審査が円滑に行われるよう配慮すること。

(消費者の役割)

家庭で使用した使用済みパソコンの適正な排出,メーカー等への引渡しと費用の支払いにより,回収・リサイクルが進むように協力すること。

海外から直接自己輸入したパソコン,又は,自ら組み立てたパソコンについても,適切な引渡し,費用の支払い等の協力を行うこと。

(3)回収の方法

 家庭系使用済みパソコンの回収については,持ち帰り比率が高く,販売店による配達が多くないことや,購入時点と排出時点が異なるという商品特性があり,販売時における販売店回収が主たるルートとはなりにくいことから,販売店を経由しない回収ルートの構築が必要となる。
 このためには,販売時の持ち帰り比率がデスクトップ型で約半分,ノートブック型では約7割に達しているという事実を踏まえ,消費者が家庭系使用済みパソコンを指定回収場所に持ち込みやすい環境を整備することが必要である。メーカー等は,宅配便の全国集配拠点(約2,000か所),メーカー等の保守サービス拠点(300〜400か所),家電4品目の指定引取場所(2グループ各190か所)等の指定回収場所としての活用を検討するとともに,自ら進んでメーカー等の指定回収場所となる意思を有する販売店,自治体の協力も得て,消費者にとって利便性の高い指定回収場所網を設置し,持ち込まれた家庭系使用済みパソコンを,指定回収場所までの収集運搬費用を受け取らずに引き取ることが適当である。
 また,消費者による指定回収場所への持ち込みが困難な場合も考えられることから,メーカー等は,宅配便を活用した効率的な戸口回収サービスを適切な費用で提供すべきである。

(4)費用負担

 メーカー等は,資源有効利用促進法に基づき,自らが設置した指定回収場所で自社製品を引き取り,リサイクルを実施することとなる。このためのリサイクル費用の負担時期については,パソコンについては,小型軽量で消費者が持ち運びし易い商品であり,自治体の収集するごみと一緒に排出される可能性が高いこと,また,ややもすれば,不法投棄につながるおそれのあること,等から,リサイクル費用の負担は販売時とし,排出時には消費者の費用負担を求めない方法とすることが適当であるとされた。

<制度実施後に販売される家庭系パソコン>

<1>

制度実施後に販売される家庭系パソコンにはマーク等を付し,当該パソコンが使用済みとなってメーカーの指定回収場所に持ち込まれた時には,メーカー等は無償で引き取り,リサイクルする。

<2> リサイクル費用は,販売価格に含まれることとなる。

<制度実施前に販売された家庭系パソコン>

<3>

制度実施以前に販売された家庭系パソコンについては,排出時にリサイクル費用の負担を求めた上で引き取り,リサイクルを行う。

 なお,この場合,製品の販売価格に含まれるリサイクル費用の管理については,資源有効利用促進法では,メーカー等の自主的取組が基本であることにかんがみ,各企業の自主性と責任に委ねることが適当であり,効率的であると考えられる。
 制度開始当初の数年間において回収対象の多くを占める既販のパソコンについては,排出時負担とした場合にあっても,不法投棄の懸念は大きくはなく,十分回収の実効性を高めていくことが期待できるのではないかという点で大方の合意が得られたことから,既販品については,消費者に排出時に費用負担を求め,リサイクルを行うこととした上で,メーカー等をはじめとする関係者が,回収・リサイクルの実効性を上げていくことが重要であるとの結論に至った。

<1>

メーカー等は,排出実態に即して,できるだけ多くの指定回収場所を設けるとともに,宅配便サービス等を準備することにより,回収に当たっての消費者の利便性を向上させること

<2> メーカー等は,自治体との協力を進めることや,販売促進活動等を通じて,消費者からの既販品の回収が促進されるよう積極的な取組みを行うこと
<3> メーカー等,自治体,国等関係者が協力して,消費者にメーカー等への排出を呼びかけていくこと


4.制度の実施にむけて

 具体的には,次のことが必要となる。

資源有効利用促進法の関係省令の改正手続き

メーカー等による回収及びリサイクル実施の体制構築の検討と実施準備
上記検討結果を踏まえた,メーカー等と販売店,自治体等との調整
回収及びリサイクルの詳細検討結果を踏まえた,廃棄物処理法に基づく環境大臣による広域指定の取得
消費者に対する周知,広報

 施行準備に当たっては,関係者の緊密な協力が必要である。
 家電4品目の場合,家電リサイクル法の公布から本格施行まで2年9か月を要したが,家庭系パソコンにおいても,<1>回収・リサイクル実施のためのメーカー等による詳細な検討,体制の構築,<2>販売店,自治体等との調整,<3>消費者に対する周知,広報にそれぞれ半年間程度は必要であると考えられ,混乱なく制度を立ち上げるためにも,各関係者は連携して,可能な限り早急に準備を進めるべきである。
 制度実施後においては,家庭系使用済みパソコンの回収実績について公表するとともに,その結果を踏まえて,関係者の協議の場を設け,それぞれの取組や協力関係等について評価し,必要に応じて,その見直しを行っていくことが適当である。

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