機関誌「冷凍と空調」 / 2002.6 (NO.493)

法令紹介

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「京都議定書」受諾書を寄託
―地球温暖化対策推進法の改正法公布―

 

 政府が国会に承認を求めていた「気候変動枠組条約・京都議定書」の締結と,日本国内での実施を担保するための「地球温暖化対策の推進に関する法律」の改正が5月末に可決されました。
 政府はこれを受けて6月4日,京都議定書の受諾を閣議決定し,国連に受諾書を寄託しました。また,地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律を6月7日,公布しました。法律のあらまし及び要点,京都議定書の要点を紹介します。
(編集係)

 

気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結及び 地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律について

平成14年6月7日
環境省地球環境局地球温暖化対策課

 地球温暖化は,地球全体の環境に深刻な影響を及ぼし,その防止は人類共通の課題であることから,平成6年3月,気候変動に関する国際連合枠組条約(以下「気候変動枠組条約」という。)が発効し,さらに,本条約に基づいて,平成9年12月,二酸化炭素等の温室効果ガスの削減についての法的拘束力のある約束等を定めた「京都議定書」が採択された。

 この京都議定書の運用細目が,平成13年11月,モロッコのマラケシュにおける条約の第7回締約国会議において合意されたことを受け,平成14年2月13日に,政府の地球温暖化対策推進本部において,今次通常国会における京都議定書締結の承認とこれに必要な国内担保法の成立に万全を期すことが決定された。

 この決定を踏まえ,政府は,京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保するための法律として,京都議定書目標達成計画の策定,計画の実施の推進に必要な体制の整備,温室効果ガスの排出の抑制等のための施策等を内容とする「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」(以下「法律案」という。)を立案し,京都議定書締結の国会承認を求める件とともに,3月29日(金)に閣議決定し,国会に提出した。

 京都議定書の締結承認及び法律案は,5月31日(金)に国会にて可決され,これを受け,政府は,6月4日(火)に京都議定書の受諾について閣議決定し,同日(現地時間)に国連に受諾書を寄託した。また,法律については,6月7日(金)に官報にて公布され,国民の取組を強化するための措置関係等については即日施行された。


地球温暖化対策推進法の改正の要点

1. 京都議定書目標達成計画
 政府は,京都議定書に係る目標の達成に関する計画を定めるとともに,平成16年及び平成19年において,京都議定書目標達成計画に定められた目標及び施策について検討を加え,必要に応じ変更する。計画の案は下記の本部において作成し,さらに閣議決定をする。
【計画の主な内容】
(1)

計画は,3月19日に政府の地球温暖化対策推進本部において決定された新たな地球温暖化対策推進大綱を基礎として作成することとし,京都議定書の6%削減約束の達成に向けた具体的裏付けのある対策の全体像を示す。このため,温室効果ガス別に目標並びに対策及びその実施スケジュールを記述することとし,併せて個々の対策についての我が国全体における導入目標量,排出削減見込み量及び対策を推進するための施策を盛り込む。

(2) 京都メカニズムの活用,森林整備等の吸収源対策について規定するとともに,技術革新を図るための支援も示す。併せて,途上国の森林回復や排出削減へのODA等の活用も明記する。
(3) 計画は,節目節目に評価の上,見直すこととし,計画の中で定量的評価・見直しの方法の概略を定めることとする。
(4) 計画は,国,地方公共団体,事業者及び国民一般が総力を挙げて実施する。
2. 地球温暖化対策推進本部
  内閣に,京都議定書目標達成計画の案の作成等を所掌事務とする地球温暖化対策推進本部を設置し,内閣総理大臣を本部長,内閣官房長官,環境大臣及び経済産業大臣を副本部長,他のすべての国務大臣を本部員とする。
3. 温室効果ガスの排出の抑制等のための施策

地方公共団体は,京都議定書目標達成計画を勘案して施策を総合的・計画的に実施。

国民の取組を強化するための措置を拡充。
(1) 地球温暖化防止活動推進員の活動に,住民の求めに応じ日常生活に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための措置について調査を行い,当該調査に基づく指導・助言を行う「地球温暖化対策診断」を追加。
(2) 地域における普及啓発活動の拠点である「都道府県地球温暖化防止活動推進センター」について,その指定対象に,特定非営利活動法人(NPO法人)を追加。
(3) 地域レベルでの温暖化対策の取組を推進するため,地方公共団体,事業者,住民等からなる「地球温暖化対策地域協議会」を設置。
4. 森林整備等による温室効果ガスの吸収源対策
 森林・林業基本計画等に基づき,森林整備等による吸収源対策を推進。
5. 京都メカニズムの活用のための国内制度の在り方の検討
 京都メカニズム(JI,CDM排出量取引)の活用のための国内制度の在り方を検討。

施行日:3中の「国民の取組を強化するための措置を拡充」は公布日施行。それ以外の事項は京都議定書の発効日施行である。

 

京都議定書の要点

  • 先進国の温室効果ガス排出量について,法的拘束力のある数値目標を各国毎に設定

  • 達成方法については,各国の政策に任されている。
    対象ガス 二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,代替フロン等3ガス(HFC,PFC,SF6)の合計6種類
    吸収源 森林等の吸収源による二酸化炭素吸収量を算入 (日本3.9%,EU0.5%,カナダ7.2%等)
    基準年 1990年(HFC,PFC,SF6は1995年としてもよい)
    目標期間 2008年〜2012年の5年間目標期間
    数値目標 先進国全体で少なくとも5%削減を目指す
    各国の目標→日本△6%,米国△7%,EU△8%等
    (参考) 数値目標 吸収源枠 温室効果ガス排出量
    日本 △6% 3.9% △2.1%
    EU △8% 0.5% △7.5%

  • 国際的に協調して目標を達成するための仕組み(京都メカニズム)を導入
    排出量取引: 先進国間での排出枠(割当排出量)をやり取り
    共同実施: 先進国間の共同プロジェクトで生じた削減量を当事国間でやり取り
    例) 日本・ロシアが協力してロシア国内の古い石炭火力発電所を最新の天然ガス火力発電所に建て替える事業
    クリーン開発メカニズム: 先進国と途上国の間の共同プロジェクトで生じた削減量を当該先進国が獲得
    例) 日本・中国が協力して中国内の荒廃地に植林を行う事業

 

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律のあらまし

1. 目的の改正
 この法律の目的に,気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(以下「京都議定書」という。)の的確かつ円滑な実施を確保することを加えることとした。
2. 京都議定書目標達成計画
  内閣に,京都議定書目標達成計画の案の作成等を所掌事務とする地球温暖化対策推進本部を設置し,内閣総理大臣を本部長,内閣官房長官,環境大臣及び経済産業大臣を副本部長,他のすべての国務大臣を本部員とする。
(1)

政府は,京都議定書第3条の規定に基づく約束を履行するために必要な目標の達成に関する計画(以下「京都議定書目標達成計画」という。)を定めなければならないこととした。

(2) 京都議定書目標達成計画には,温室効果ガスである物質の種類その他の区分ごとの温室効果ガスの排出の抑制及び吸収の量に関する目標,当該目標を達成するために必要な措置の実施に関する目標,当該目標を達成するために必要な国及び地方公共団体の施策に関する事項等について定めることとした。
(3) 政府は,平成16年及び平成19年において,我が国における温室効果ガスの排出及び吸収の量の状況その他の事情を勘案して,京都議定書目標達成計画に定められた目標及び施策について検討を加え,その結果に基づき,必要があると認めるときは,速やかに,京都議定書目標達成計画を変更しなければならないこととした。
3. 地球温暖化対策推進本部
 地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため,内閣に,地球温暖化対策推進本部を置き,京都議定書目標達成計画の案の作成及び京都議定書目標達成計画の実施の推進に関する事務をつかさどることとした。
4. 温室効果ガスの排出の抑制等のための施策等
(1) 都道府県及び市町村は,京都議定書目標達成計画を勘案し,その区域の自然的社会的条件に応じて,温室効果ガスの排出の抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し,及び実施するように努めることとした。
(2) 地球温暖化防止活動推進員の活動に,日常生活に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための措置について調査を行い,当該調査に基づく指導及び助言をすることを加えることとした。
(3) 都道府県地球温暖化防止活動推進センター(以下「都道府県センター」という。)の指定対象に,特定非営利活動法人を加えることとした。
(4) 地方公共団体,都道府県センター,地球温暖化防止活動推進員,事業者,住民等は,日常生活に関する温室効果ガスの排出の抑制等に関し必要となるべき措置について協議するため,地球温暖化対策地域協議会を組織することができることとした。
5. 森林等による吸収作用の保全等
 政府及び地方公共団体は,森林・林業基本法に規定する森林・林業基本計画その他の森林の整備及び保全又は緑地の保全及び緑化の推進に関する計画に基づき,温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化を図ることとした。
6. 検討
 政府は,京都議定書第6条1に規定する事業,京都議定書第12条1に規定する低排出型の開発の制度及び京都議定書第17条に規定する排出量取引を活用するための制度の在り方について検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずることとした。
7. この法律は,一部の規定を除き,京都議定書が日本国について効力を生ずる日から施行することとした。

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