機関誌「冷凍と空調」 / 2003.8 (NO.507)

資料紹介

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2001年の温室効果ガス排出,90年比5.2%増
地球環境保全に関する関係閣僚会議の報告から

 

 政府の地球環境保全に関する関係閣僚会議と地球温暖化対策推進本部の合同会議が8月29日開催され,京都議定書で定めた温暖化ガス削減目標達成に全力で取り組むことを決定しましたが,同時にこの会合の場で環境省より温暖化ガスの2001年度の排出量報告が行われました。ここでは,排出量に関する資料を紹介します。
(編集係)


1.温室効果ガスの総排出量
 2001年度の温室効果ガスの総排出量(各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数[GWP(注1)]を乗じ,それらを合算したもの)は,12億9900万トン(二酸化炭素換算)であり,京都議定書の規定による基準年(1990年。ただし,HFCs,PFCs及びSF6については1995年)(注2)の総排出量(12億3500万トン)と比べ,5.2%の増加となっている。また,前年度と比べると2.5%の減少となっている。
 京都議定書が発効すると,基準年の排出量を2007年1月1日までに報告する必要がある。本報告の排出量の数値は暫定的なものであり,今後算定方法の見直しに伴って変更される可能性がある。
(注1)   地球温暖化係数(GWP:GlobalWarmingPotential):温室効果ガスの温室効果をもたらす程度を,二酸化炭素の当該程度に対する比で示した係数。数値は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2次評価報告書(1995)によった。
(注2)   京都議定書第3条第8項の規定によると,HFCs等3種類の温室効果ガスに係る基準年は1995年とすることができるとされている。
(注3)   今回,排出量の算定に用いた方法では,炭素収支の確保について必ずしも十分に考慮されていないなどの課題があり,改善の必要がある(例えば,炭素収支を確保した別の手法を用いて算定すると,基準年のエネルギー起源二酸化炭素排出量は1066百万トンCO2,2001年度は1127百万トンCO2となる)。こうした課題も含め,今後,より適切な算定方法について専門的な検討を行い,今秋を目途に結論を得ることとする。その結論如何では,二酸化炭素の排出量が大幅に変動する可能性がある。
(注4)   これまで我が国は,会計年度(4月〜3月)の排出量を報告してきたが,温室効果ガス排出・吸収量の算定に際し従うこととされている1996年改訂IPCCガイドラインでは,暦年で排出量を報告することとされている。今後は,排出量を会計年度から暦年へ変更することについて検討する必要がある。

2.各温室効果ガスの排出状況

(1) 二酸化炭素(CO2
 2001年度の二酸化炭素排出量は,12億1400万トン,1人あたり排出量は,9.53トン/人である。
 これは,1990年度と比べ排出量で8.2%,1人あたり排出量で5.0%の増加である。また,前年度と比べると,排出量で2.0%の減少,1人あたり排出量で2.3%の減少となっている。
 部門別にみると,二酸化炭素排出量の約4割を占める産業部門(工業プロセスを除く)からの排出は,2001年度において1990年度比で5.1%減少しており,前年度と比べると3.8%の減少となっている。なお,本部門は,製造業(工場),農林水産業,鉱業及び建設業におけるエネルギー消費に伴う排出量を表し,第三次産業における排出量は含んでいない。また,統計の制約上,中小製造業(工場)の一部は業務その他部門に計上されている。
 運輸部門からの排出は,2001年度において1990年度比で22.8%の増加となり,前年度と比べると0.8%の増加となっている。
 家庭部門からの排出は,2001年度において1990年度比で19.4%増加しており,前年度比2.5%の減少となっている。
 業務その他部門からの排出は,2001年度において1990年度比で30.9%増加しており,前年度比1.3%の増加となっている。なお,本部門には,事務所,商業施設等,通常の概念でいう業務に加え,中小製造業(工場)の一部や,一部の移動発生源が含まれる。

(2) メタン(CH4
 2001年度のメタン排出量は2030万トンであり,基準年と比べると17.8%減少した。また,前年度と比べると2.5%減少した。基準年からの減少は,石炭採掘に伴う排出の減少が大きく寄与している。

(3) 一酸化二窒素(N2O)
 2001年度の一酸化二窒素排出量は3540万トンであり,基準年と比べると12.0%減少した。また,前年度と比べると6.4%減少した。前年度からの減少は,アジピン酸製造に伴う排出の減少による影響が大きい。

(4) ハイドロフルオロカーボン類(HFCs),パーフルオロカーボン類(PFCs),六ふっ化硫黄(SF6
 2001年度のHFCs排出量は1560万トンであり,基準年に比べると22.1%減少した。また,前年度と比べると15.0%減少した。HCFC-22の製造時の副生物による排出が引き続き大きく減少している。
 PFCs排出量は,990万トンであり,基準年に比べると13.7%減少した。また,前年度と比べると13.6%減少した。半導体製造に伴う排出が前年度より大きく減少している。
 また,SF6排出量は450万トンであり,基準年に比べると72.9%減少した。また,前年度と比べると21.0%減少した。電力設備からの排出が最も減少している。

3.備考

(1)   各温室効果ガスの排出量については,最新の知見をもとに算定方法及び排出係数を修正したこと等に伴い,1990年度まで遡って再計算した。なお,排出量等の算定方法は,科学的知見や統計精度の充実並びに国際的な検討の動向により,今後とも必要に応じて改良していく必要がある。
(2)   今回の大きな変更点としては,エネルギー起源二酸化炭素の排出量算定に使用する総合エネルギー統計の全面改訂による算定方法の変更などが挙げられる。

(注)参考1,2は環境省発表資料のグラフから作成した。

 

表1 各温室効果ガスの排出量の推移
(百万tCO2換算)
 
GWP
京都議定書
の基準年
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
二酸化炭素(CO2
1
1,122.1
1,122.1
1,131.2
1,148.7
1,140.4
1,200.2
1,210.9
1,231.2
1,226.8
1,195.0
1,228.2
1,238.7
1,213.7
メタン(CH4
21
24.7
24.7
24.6
24.5
24.4
24.0
23.3
22.9
22.1
21.5
21.3
20.9
20.3
一酸化二窒素(N2O)
310
40.2
40.2
39.7
39.9
39.7
40.6
40.8
41.7
42.2
40.8
35.1
37.8
35.4
ハイドロフルオロ
カーボン類(HFCs)
HFC-134a:
1,300など
20.0
 
 
 
 
 
20.0
19.6
19.6
19.0
19.5
18.3
15.6
パーフルオロ
カーボン類(PFCs)
PFC-14:
6,500など
11.5
 
 
 
 
 
11.5
11.3
14.0
12.4
11.1
11.5
9.9
六ふっ化硫黄(SF6
23,900
16.7
 
 
 
 
 
16.7
17.2
14.4
12.8
8.4
5.7
4.5
1,235.3
1,187.0
1,195.5
1,213.2
1,204.5
1,264.8
1,323.3
1,343.9
1,339.1
1,301.6
1,323.6
1,332.9
1,299.4
※基準年/CO2,CH4,N2O:1990年度/HFCs,PFCs,SF6:1995年度

 

表2 二酸化炭素排出量の推移
 
1990
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
排出量(百万トン)
1,122.1
1,148.7
1,140.4
1,200.2
1,210.9
1,231.2
1,226.8
1,195.0
1,228.2
1,238.7
1,213.7
一人当たり排出量(トン/人)
9.08
9.23
9.14
9.60
9.64
9.78
9.72
9.45
9.70
9.76
9.53

 

参考1 2001年度の二酸化炭素排出量の部門別内訳
産業部門 37.2% (21.1%)
運輸部門(自動車,船舶,鉄道,航空機) 22.0% (21.4%)
家庭部門 12.7% (5.4%)
業務その他部門 15.5% (7.9%)
エネルギー転換部門(発電所等) 6.4% (37.9%)
工業プロセス(石灰石消費等) 4.2% (4.2%)
廃棄物(プラスチック,廃油の焼却) 2.0% (2.0%)
その他(燃料の漏出等) 0.0% (0.0%)
注)
  右欄カッコ内の数字は,各部門の直接の排出量の割合。左欄の数字は電気事業者の発電に伴う排出量及び熱供給事業者の熱発生に伴う排出量を,電力消費量,熱消費量に応じて最終需要部門に配分した後の割合を示す。
  統計誤差,四捨五入等のため,排出量割合の合計は必ずしも100%にならないことがある。
  「その他」には燃料の漏出による排出,電気・熱配分時の誤差が含まれる。

 

参考2 HFC等3ガス排出量の内訳(2001年度)
<HFC等3ガス総排出量:3010万トン(CO2換算)>
HCFC-22製造に伴う副成HFC-23 31.1%
HFC等3ガス製造 7.5%
発泡 1.4%
エアゾール・MDI 9.0%
冷媒 8.7%
洗浄 16.4%
半導体製造等 18.8%
電力設備 6.8%
その他 0.3%
アルミ精錬 0.05%
(注)HFC等3ガス:ハイドロフルオロカーボン類(HFCs),パーフルオロカーボン類(PFCs),六ふっ化硫黄(SF6

 

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