機関誌「冷凍と空調」 / 2003.9 (NO.508)

海外短信

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アメリカ,将来のエネルギー確保について問題点を検討

 昨年9月の同時多発テロは全米を不安に陥れたが,現在でも経済の低迷,世界各地での紛争が続き,深刻な問題となっている。このような状況下で“第14回エネルギー効率化年次フォーラム”が「経済性と国家安全への道」と題するテーマを選択したことは至極当然である。
 このフォーラムで,環境保護局(EPA)のホイットマン長官が基調講演を行い,ブッシュ政権下でEPAが実施してきた官民協同の対策「エネルギー・スター計画」や「クライメット・リーダー計画」の成果について述べている。
 エネルギー・スター計画では,ビルオーナーに対してエネルギー効率化のための基準となる製品や設備を具体的に示したことにより1200ものビルがエネルギー・スターを受賞,40%のコスト削減に成功した。この運動は目下スーパーマーケット業界でも進められており,アメリカ国民は自分の生活の質を低下させずに改善する方向を示せば,必ずその方向に向かってくれるとして教育の重要性を強調していた。
 エネルギー省(DOE)のマクスロー副長官は国家エネルギー政策に関する政府のビジョン(特にエネルギー効率とその多様性)について述べている。DOEの試算によると,2025年には現在の消費量の2倍のエネルギーが必要となり,その70%は輸入石油に頼らざるを得ない。エネルギー危機を乗り越えるためには水素利用の技術を確立してエネルギー効率を改善すること,燃料電池の普及等が欠かせないとしている。燃料電池の現状コストは実用価格の10倍にも達し,その改善の余地は大きい。政府としては節減対生産の議論よりも国民に償却可能なレートでエネルギーを供給することが大切であると述べている。

[Air Conditioning,Heartingand Refrigeration NEWS July 7]


シーメンス,北米市場への積極的な進出を指向

 シーメンス・ビルディング・テクノロジー(SBT)はダラスで開催した国際貿易プレス・フォーラムにおいて,今後大きな進展が望める北米市場へ積極的に進出していくことを発表した。既に同社では,イリノイ州に本社を置き,年商17億ドルを挙げているSiemensBuildingTechnologiesInc.USAを中心に14の会社を北米で運営している。
 SBTはエンド・ユーザーへの直接販売とディストリビュータや設備業者を通じての間接販売を基本としている。今後は,顧客の要望に応えるようなシステム・パッケージを提供すること,電気やガスに対する省エネルギーシステムにも力を注いでいくとしている。

[Air Conditioning,Heartingand Refrigeration NEWS July 14]


磁気冷凍,実用化へ

 日本の新しい技術開発がヨーロッパで紹介されて注目を集めている。
 ある種の金属が磁場の変化により熱を吸収あるいは放出する現象を持っており,これを利用すれば冷凍が行えるという電磁冷凍の原理が発見されたのは1926年のことである。
 90年代にはカール・グシュナイトナとビタリ・ペカルスキーがガドリニウムを用いるとより効果的に冷却・加熱が行えることを発見,試作機を完成し,その信頼性,競合力を示した。さらに,ガドリニウムとシリコーンの合金を用いるとその効果が2〜10倍になることも発見している。
 2001年9月に中部電力(株)と東芝(株)は協同で,この原理を応用した室温で稼動するデモ用の冷蔵庫を開発した。これまでのものが超伝導磁石を使用していたのに対して,永久磁石に変更したことで製品を大幅に小さくすることに成功している。
 このシステムはガドリニウムのセグメントと強力な永久磁石で構成される回転ホイールでできており,磁場を通過するとホイールが加熱され,ホイール内の熱交換器を流れる水を加熱する。磁場を離れると金属は冷却され,熱交換器を流れる水を冷却する。この水が冷蔵庫のコイルを冷却する。このシステムの利点は圧縮機もオゾン層を破壊するようなガスも使用せず,運転に際してわずかに回転用のモーター及び水循環用のポンプの動力を要するのみという点である。従って装置も小さく運転中はわずかに振動を感じるだけである。
 両社では今後さらに改良を加え,従来型の往復動圧縮機によるシステムの性能を50%改善し,大きさ,騒音を大幅に改善した容量60Wの工業用フリーザや家庭用冷蔵庫を開発することを目指し,できるだけ早期に市場に提供したいと望んでいる。

[RAC―REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING July]

 

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