機関誌「冷凍と空調」 / 2003.10 (NO.509)

海外短信

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イラク戦争で可搬式エアコンシステム,活躍

 イラク戦争ではアメリカを初めとする各国の軍隊が砂漠を基地としている。現在,イラクでは日中の気温が43〜47℃に達し,夜間にはこれが21〜27℃にも低下する。イラクに駐屯する軍隊は数々の危険に曝されているが,この温度の激変もその大きな一つである。
 アメリカ空調業界では,かねてから陸軍と協同して可搬式のエアコンシステムの開発を行ってきた。テキサス州中央部にあるPort-A-Cool社の蒸発冷却システムは駆動するのに電力と水だけがあればよいため,屋外でも容易に使用することができる。
 テキサス州タイラーのAir Rover Inc.では,製鋼ミル用に設計された高温用可搬HTシリーズを推薦した。砂漠地帯では温度の他に砂による被害も大きく,特にコンピュータシステムに害を与えるが,装置に特殊なフィルターを装備することで問題を解決している。
 ペンシルベニア州ヨークのUnited Cool Air社の製品はスイッチを切り換えることによって1台で冷房・空気濾過・暖房運転ができるので,急変する砂漠の温度変化にも十分に対応することができると述べている。

[Air Conditioning,Hearting and Refrigeration NEWS July21]


アメリカ,HFC類の規制強化に反論

 HFC類はヨーロッパの一部で地球温暖化に悪影響を及ぼすとして冷媒として使用することを禁止しようとする動きがあるが,アメリカからそれほど大きな影響を与えることはないと反論が出されている。
 デュポン・フロロプロダクツ社の環境計画担当のマクファーランド氏は“国際気候変化会議(IPCC)”に「放散シナリオに対する特別レポート(SRES)」を提出している。それによると,HFC類の地球温暖化に対する影響は2050年に炭酸ガス換算で全グリーンガスの2.2〜4.1%で,これまでに環境保護主義者が指摘したよりはるかに小さいとしている。
 これを根拠に同氏は「HFCは既にモントリオール議定書に基づきオゾン層破壊物質の代替品として非毒性,コスト効果,高エネルギー効率等の点が買われ,先進国でも発展途上国でも広範な分野で利用されている重要な物質である」として,その使用を環境保護局(EPA)等の権威ある各種団体が定めているHFCに対する「責任ある使用法(SRES)」に従って厳密な使用をすることを前提に,以下のことを行うことを提唱している。

  • 健康,安全,環境,技術,経済,社会的利便を考慮したHFC選定
  • 冷媒の製造,使用及び装置廃棄時のコスト効果のある技術を用いた大気放散の極限までの削減
  • HFC製造プラントの大気放散ゼロを目標とした設計と運転
  • 最小のHFC大気放散と最大エネルギー効率を保つ設備の構築,運転及び維持
  • 使用済HFCの回収,リサイクル,再生又は破壊の実施
  • 各種規制や処理規定に忠実に則ったHFC操作の教育と訓練
  • HFC設備の設置,維持,輸送,貯蔵の基準の忠実な遵守
  • 正確なHFC製造記録と大気放散量推定のためのプログラムの策定
  • 技術面,環境面,経済面での実現可能な代替製品の検討

[Air Conditioning,Hearting and Refrigeration NEWS August4]


気候環境制御システムで農業革命(イギリス)

 現在の消費者の嗜好は多岐にわたり,イギリスの気候では栽培が困難な果物,野菜の需要が急激に伸び,これらの輸入が急増している。これに対して温室栽培技術の開発を行っているUnigro社は環境を調整することによってこのギャップを解消しようとした。
 ここではココナッツ椰子の廃棄繊維のパックに植えられた植物の列を二重のポリカーボネートのテントで完全に覆い,内部の温度,湿度,CO2濃度等を精密に制御している。さらにコンピュータ制御により照明,灌漑を各植物の生育に必要な範囲に保つようにした結果,従来40エーカーを要する苺の収穫量をわずか1エーカーで達成している。
 トンネル栽培は夏季の熱負荷が極端に大きいためその制御には困難を極めたが,専門の空調業者の協力によりシステムを完成した。このシステムでは蓄冷システムを備え,タンデム型スクロール圧縮機を用いた容量26kWのチラーから長さ42mのテント内のファンコイルに冷水が供給され80kWの負荷を処理している。
 環境に寄与する空調技術開発が望まれる今日,この農業に対する技術革新には多くの注目が寄せられている。

[RAC―REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING August]

 

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