2005年アメリカ冷凍空調業界トップニュース 2005年のアメリカ冷凍空調業界は,いろいろな問題点を抱えながらも全般的には好調に推移し,機器の出荷台数は年初からの10カ月間で740万台を超え(ARI発表)前年同期比12%増を記録した。そのような中で,数々の話題を呼ぶ出来事が起きた。
- SEER 13問題
何といっても大きな話題を呼んだのはこの問題である。決定までは業界を2分する論争となったが,一方で各社は新製品の開発,製造施設の整備等に注力した結果,新製品の順調な供給体制を整えることができた。
ディストリビュータでは,新旧どちらの機種を在庫すべきかに悩む者が多く,旧仕様のSEER 12以下の製品を在庫する者,逆にSEER 14以上の製品を販売し大きな収益を上げる者等,さまざまな対応が見られた。中には変動期に右往左往するよりは教育に重点を置くべきだとする向きも見られた。
コントラクタも教育には大賛成で,新製品の形状,大きさ,価格,コイルの適応性,市場調査等に関する情報を求めていた。大きさは在庫面積のみならず製品の設置場所に制約があり,大きな影響を受けるからである。
- 健康保険料の高騰問題
保険料の上昇と対応策の遅れにより,従業員の維持と新たな従業員の確保が難しくなった。各社は,収益を確保しながら従来の健康保険制度を維持する方法を模索している。
- 組合の未来像問題
現在,組合は大きな信頼を得てはいるが,大多数のアメリカ人が中級の生活を指向しており,21世紀の労働者は組合離れを起こし始めている。各組合幹部は,これに対処するための方策を真剣に考え始めている。
- 冬期の暖房にトラブルの予測
アメリカの石油精製能力は,需要の88%しかまかなうことができない。しかもその47%がメキシコ湾岸に集中しているため,ハリケーン“カトリーナ”の大被害により,暖房用燃料油の価格が昨年の1バレルあたり1.8ドルから2.46ドルに高騰した。多くの精油所が増産に向け必要なメンテも行わずに操業しているため,さらに故障停止の危険が増している。
- ガソリン・ディーゼル油の高騰
2005年8月の調査で,空調業者の91%が燃料費の高騰により利益に損害が出たと答えた。多くの業者は価格を上乗せしているが,一方でGPSの利用やサービスマンを自宅から現場へ直行させるなど,効率的な車の運用を心がける業者も現れた。
- ジョンソン・コントロールズ,ヨークを買収
ジョンソン・コントロールズは8月,ヨークを買収すると発表。これにより,年商110億ドルの巨大企業が誕生した。
- エネルギー政策条例の法制化
ブッシュ大統領は,自国の石油海外依存度を下げるためにはエネルギー効率の向上が不可欠であるとして,エネルギー政策の法制化に署名した。これにより,パッケージエアコン及びヒートポンプ(容量6.5万〜24万Btuh)に対して効率を26%改善することが求められることになった(2010年1月1日発効)。
さらに大型機,業務用冷蔵庫,フリーザ,自動製氷機等にも効率改善が要求されることになっている。
- ハリケーン“カトリーナ”
最大の話題を提供したこのハリケーンは,重さ5000ポンド(約2.27トン)もある機器を吹き飛ばしてしまうといった大きな被害を与えた。サービスマンは防疫対策の予防注射を受け懸命に復旧のため活動した。
[Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Dec.26 2005]
英国冷凍学会,冷房の未来を予測
英国冷凍学会(IOR)は年次総会で「冷房の将来」と題し,業界の著名人を多数招いて講演と討論会を開催した。
“F-ガスの法規制”について,ロバート・ヒープ氏は「法規制の問題の成否は“F-ガス”の漏洩の監視にかかっている」とし,「もし放出量が予想を下回ったならば,市場の声にかかわらず存続が認められることになるだろう」と述べる一方で,「自然冷媒の使用が増えるとF-ガスは価格面で競争できなくなる」と予想している。
フィル・ジョーンズ氏はビルの消費エネルギーについて,「ビルのエネルギー特性に関する指針が4月に発効し,2002年基準のCO2排出量の28%低減が求められる。このため,ビルは,将来の環境への影響を考慮して設計されなければならない」と述べた。
アラン・クラウチ氏は,未来システムの設計の原則として正確な冷房負荷の算定,不必要な負荷の排除,代替冷房法の開発,日中や季節間の冷房負荷の変動を考慮した部分負荷時の冷房負荷等の求め方等のガイドを作成することを提言した。
テリー・ワイアット氏からは最近完成したビルの環境特性への評価と,建築家があまりにも興味本位に問題の多い建物を建設しているとの意見が発表された。最近オープンしたロンドンのランドマークを例にあげ「技術者としてではなく単なるアーティストとして,非効率でエネルギーがぶ飲みのビルを作ってしまった。まったく恥ずべき代物だ」と酷評し,これらのユーザ無視の無用のビルの建築は止めるべきだと述べた。
昼食後は,R-22の代替としてのR-134やCO2についてのケーススタディが多数発表された。
[RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING January 2006]
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