機関誌「冷凍と空調」 / 2006.2 (NO.537)
資料紹介
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2010年度に向けさらに22.4%改善
―エアコンの省エネ基準中間取りまとめ―

 

 経済産業省の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の省エネルギー基準部会・エアコンディショナー判断基準小委員会は,2004年のエアコンの省エネ目標の次の基準の検討を進めていましたが,このほど中間取りまとめを行い,パブリックコメント制度による意見の募集を始めました。この中間取りまとめによると,エアコンの目標基準値は通年エネルギー消費効率(APF)で4.9〜6.6,目標達成年度を2010年度としています。中間とりまとめの内容を紹介します。
(編集係)

<現行基準について>

 エアコンディショナーは1998年にトップランナー基準の特定機器に指定され,「冷暖房の用に供するエアコンディショナーのうち直吹き形で壁掛け形のもので冷房能力が4.0kW以下のもの」が2004冷凍年度,「その他のもの」が2007冷凍年度が目標年度となった。すでに目標年度を迎えた冷暖房兼用・直吹き形・壁掛け形・冷房能力が4.0kW以下のものは,2004冷凍年度でエネルギー効率(冷暖房平均COP)の出荷台数による加重調和平均値が5.05となり,トップランナー基準導入前の1997冷凍年度の加重調和平均値の3.01から67.8%改善したことになる。これは,当時想定していたトップランナー基準を達成した場合のエネルギー消費効率5.00と改善率66.1%を上回ったことになる。

<対象となる範囲>

 今回新たに目標を設定するのは,2004年度に目標年度を迎えた直吹き形・壁掛け形・冷房能力4.0kW以下のもののうち家庭用のものについてで,この範囲で以下のものは適用除外となっている。

 @ 電気以外のエネルギーを暖房の熱源とするもの
 A 高気密・高断熱住宅用ダクト空調システム
 B 多機能ヒートポンプシステムエアコン

<製造事業者等の判断基準となるべき事項>


1.目標年度

 一般的にエアコンディショナーのエネルギー消費効率の大幅な向上は,モデルチェンジの際に行われる。エアコンディショナーの新製品の開発は通常2〜3年程度であり,目標年度までに少なくとも1〜2回のモデルチェンジの機会が得られるように配慮する必要があるとし,次期目標年度を基準設定から5年を経過する2010年が適当であるとしている。

2.目標基準値


(1) エアコンディショナーの区分
 エアコンディショナー全体における現行の基準は,

 @ 基本機能による区分
 A ユニット形態による区分
 B 冷房能力による区分

に基づき設定され,今回の範囲ではさらに冷房能力で2.5kW以下,2.5kW超3.2kW以下,3.2kW超4.0kW以下に3区分されている。今回の見直しでは,省エネルギー性能の向上を図るため,熱交換器の大型化が進んでいることから,この点に考慮して区分を行うとしている。
 具体的には,

 @ 省エネルギー性は現行基準値をクリアするが据付サイズや省資源にも配慮する機種
 A 据付サイズや省資源の面で制限をかけずに省エネルギー性を追及する機種

の区分を行う。この両タイプの区分を行わない場合,省エネルギー性に優れているAのタイプだけが市場に残り,日本の標準的な木造住宅との不調和が危惧されるため,次のような区分を追加することにした。

 @ 寸法規定タイプ :室内機の横幅寸法800mm以下かつ高さ295mm以下の機種
 A 寸法フリータイプ:それ以外の機種

(2) 目標基準値

 エアコンディショナーの目標基準値について,区分ごとにエネルギー消費効率の最も優れた値をトップランナー値とし,現行のトップランナー値から寸法規定タイプについては3%,寸法フリータイプについては4%の効率改善分を加味した値を目標基準値とするとしている。
 また,冷房能力2.5kW以下の区分と2.5kW超3.2kW以下の区分のトップランナー値は,同程度であることから寸法規定タイプ及び寸法フリータイプそれぞれにおいて統合している。

<コンディショナーの目標基準値>

区分名
ユニットの形態
冷房能力
室内機の寸法タイプ
トップラ
ンナー値
効率改善分
(%)
目標基準値
(APF)
A
直吹き形で壁掛け形のもの(マルチタイプのもののうち室内機の運転を個別制御するものを除く。)
3.2kW
以下
寸法規定
5.65
3.0
5.8
B
寸法フリー
6.40
4.0
6.6
C

3.2kW超
4.0kW以下

寸法規定
4.80
3.0
4.9
D
寸法フリー
5.80
4.0
6.0


3.エネルギー消費効率の測定方法


 エネルギー消費効率について,現行の省エネルギー法の性能指標ではCOP(Coefficient of Performance)が使われているが,エアコンの効率は,現在の主流であるインバータ機においては圧縮機の回転数によって性能が変化するため,より実態に適した省エネルギー評価基準である通年エネルギー消費効率(APF:Annual Performance Factor)を新たに採用するのが妥当であるとしている。
 また,測定方法については日本工業規格C9612:2005「ルームエアコンディショナ」に規定する算出方法によるものとしている。

<COPとAPFの比較>

 
冷暖房平均COP
通年エネルギー消費効率(APF)
計算方法 冷暖房平均COP=
  (冷房定格COP+暖房定格COP)/2
ここで定格COPとは,定格点における能力(W)をそのときの消費電力(W)で除した値(冷房条件,暖房条件にて評価)
冷房期間及び暖房期間を通じて室内側空気から除去する熱量及び室内側空気に加える熱量の総和(Wh)と同期間内に消費する電力量の総和(Wh)の比
測定点
2点 冷房定格 暖房定格
5点 冷房定格 冷房中間 暖房定格 暖房中間 暖房低温
特徴 測定点が2点と少なく,容易である。
定点から効率であり,実使用の代表とはいえない。
測定点が5点と多く,測定時間がかかる。
実使用時には発生頻度が高い中間性能を考慮して効率を算出するため,実際に近い効率が算出可能。

 


4.表示事項等

 表示に関する事項は家庭用品品質表示法の定めるところによるとし,省エネルギーに関連する事項として,以下をあげている。

(1) 表示事項
 
  @ 区分名
A 冷房能力
B 冷房消費電力
C 冷房エネルギー消費効率
D 暖房能力
E 暖房消費電力
F 暖房エネルギー消費効率
G 冷暖房平均エネルギー消費効率
H 通年エネルギー消費効率
I 製造時業者等の指名又は名簿
注:@及びHの表示にあたっては,電気機械器具品質表示規程の改正を要する。

(2) 遵守事項
   
  @  冷房能力は,日本工業規格B8615-1の「冷房能力の試験」に規定する方法により測定した数値をキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は,冷房能力の95分の100以下とする。
  A  暖房能力は,日本工業規格B8615-1の「暖房能力の試験」に規定する方法により測定した数値をキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は,暖房能力の95分の100以下とする。
  B  冷房消費電力は,日本工業規格B8615-1の「冷房消費電力の試験」に規定する方法により測定した数値をワット又はキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は,冷房消費電力の110分の100以上とする。
  C  暖房消費電力は,日本工業規格B8615-1の「暖房消費電力の試験」に規定する方法により測定した数値をワット又はキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は,暖房消費電力の110分の100以上とする。
  D  冷房エネルギー消費効率又は暖房エネルギー消費効率は,上記@の規定による方法により測定した冷房能力をキロワットで表した数値を上記Bの規定による方法により測定した冷房消費電力をキロワットの単位で表した数値で除して得られる数値を小数点以下2桁まで表示する。
  E  暖房エネルギー消費効率は,上記Aの規定による方法により測定した暖房能力をキロワットで表した数値を上記Cの規定による方法により測定した暖房消費電力をキロワットの単位で表した数値で除して得られる数値を小数点以下2桁まで表示する。
 
F 
冷暖房平均エネルギー消費効率は,冷房エネルギー消費効率と暖房エネルギー消費効率との和を2で除して得られる数値を小数点2桁まで表示する。
 
G 
通年エネルギー消費効率は,日本工業規格C9612:2005の「期間エネルギー消費効率算定のための試験及び算出方法」により算出された冷房期間及び暖房期間を通じて室内側空気から除去する熱量及び室内側空気に加える熱量との総和を同期間内に消費する総電力量で除した数値を小数点1桁まで表示する。
  H  上記@からGにおいて,定格周波数の違いによって測定される数値に相違が生じる場合には,それぞれの定格周波数ごとに測定された数値を表示するものとする。
  I  @に掲げる表示事項の表示は,消費者が機器の選定に当たり,性能に関する表示のあるカタログ及び取扱説明書の見やすい箇所にわかりやすく表示する。

<省エネルギーに向けた提言>

 使用者,販売事業者,製造時業者等,政府の取組みとして,それぞれ以下をあげている。

(1) 使用者の取組み
   
  @  「省エネルギーラベル」等の情報を有効に利用し,エネルギー消費効率の優れたエアコンディショナーの選択に努めるとともに,エアコンディショナーの使用に当たっては,適切かつ効率的な使用によりエネルギーの削減に努める。
  A  エアコンディショナーの能力を最大限発揮するために,設置する部屋の環境やサイズ等を考慮して,エアコンディショナーの選択に努める。

(2) 販売事業者の取組み
 
   エネルギー消費効率の優れたエアコンディショナーの販売に努めるとともに,「省エネルギーラベル」を利用し,使用者がエネルギー消費効率の優れたエアコンディショナーを選択するよう適切な情報の提供に努める。なお,省エネルギーラベルの利用に当たっては,使用する地域の違いなどによりエアコンディショナーの性能が異なることから,エネルギー消費効率の算出条件を表示するなど,使用者に分かりやすく誤解を与えないよう配慮した表示を行う。

(3) 製造事業者等の取組み
   
  @  エアコンディショナーの省エネルギー化のための技術開発を促進し,エネルギー消費効率の優れた製品の開発に努める。
  A  エネルギー消費効率の優れたエアコンディショナーの普及を図る観点から,カタログ等に「省エネルギーラベル」を記載するなど,使用者がエネルギー消費効率の優れたエアコンディショナーを選択するよう適切な情報の提供に努める。なお,省エネルギーラベルの実施に当たっては,使用する地域の違いなどによりエアコンディショナーの性能が異なることから,エネルギー消費効率の算出条件を表示するなど,使用者に分かりやすく誤解を与えないよう配慮した表示とする。
  B  近年,建物の断熱性能等省エネルギー性能が向上していることから,冷房能力及び暖房能力による部屋のサイズの適用の目安について見直しの検討を行う。
  C  今回採用した通年エネルギー消費効率(APF)の測定方法は,ある一定条件の下に算出された値となっていることから,より実使用に近い状態で評価が行えるように,今後とも測定方法の改善に努める。

(4) 政府の取組み
   
  @  エネルギー消費効率の優れたエアコンディショナーの普及を図る観点から,使用者及び製造事業者等の取組を促進すべく,普及啓発等の必要な措置を講ずるよう努める。
  A  製造事業者等の表示の実施状況を定期的・継続的に把握し,使用者に対してエネルギー消費効率に関する,正しく分かりやすい情報の提供がなされるよう適切な法運用に努める。
 
B 
トップランナー方式に基づく省エネルギー基準については,機器の省エネルギーを図る上で大変有効な手法であることから,適切な機会を捉えながら,これを国際的に普及させるよう努める。

 

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