機関誌「冷凍と空調」 / 2006.4 (NO.539)
資料紹介
back

 

フロン回収破壊法,改正へ
―整備時のフロン回収も義務化―

 

 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊に実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)の一部を改正する法律案が3月7日,閣議決定され,国会に提出されました。ここでは,改正案と1月31日に発表された「今後のフロン類の排出抑制対策の在り方について(答申)」の概要を,昨年末に発表された業務用機器からのフロン類の回収実績を交えて紹介します。
(編集係)

1.フロン回収破壊法改正の骨子


 業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収は,現在回収率が3割程度となっている。「京都議定書目標達成計画」(2005年4月閣議決定)においてもその回収率の向上が目標とされた。
 業務用冷凍空調機器からフロン類を適切に回収するため,行程管理制度(フロン類の引渡しを書面で捕捉し,管理する制度)の導入,整備時のフロン類の回収の義務を明確化などが盛り込まれている。

(1) 業務用冷凍空調機器の廃棄時におけるフロン類回収の適正化
  • 機器中の部品の再利用を目的に業務用冷凍空調機器を譲渡する場合についても,廃棄時と同様,フロン類の引渡し等の義務を適用する。
  • 建築物の解体時に,解体工事の元請業者に対し,フロン類が充てんされたままの業務用冷凍空調機器の残存を確認し,その結果を工事発注者に説明 することを義務づける。
  • 廃棄される業務用冷凍空調機器に充てんされているフロン類を回収業者に引き渡す行程の委託確認書と引取証明書での管理を制度化する。
(2) 業務用冷凍空調機器の整備時におけるフロン類回収の適正化
  • 従来は技術基準のみが定められていた機器整備時のフロン類回収に関し,回収業者への回収委託義務,引き取ったフロン類の破壊業者への引渡義 務等を追加する。

(3) 施行期日  
  • 施行期日は平成19年10月1日とする。

<フロン回収破壊法改正案の概要>



2.今後のフロン排出抑制対策のあり方―答申の概要―

 オゾン層破壊物質であるCFCとHCFCはモントリオール議定書(オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書)やオゾン層保護法(特定物質の規制によるオゾン層の保護に関する法律)により,生産量や消費量が規制され,オゾン層破壊物質ではないHFCへの転換が進んでいる。HFCは温室効果ガスとして,京都議定書(気候変動に関する国際枠組条約の京都議定書)により,排出量の削減対象となっている。
 冷媒用のフロン類は,家庭用エアコン,家庭用電気冷蔵庫・冷凍庫については家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法),カーエアコンについては自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律),業務用冷凍空調機器についてはフロン回収破壊法により,使用済み機器からのフロン類の回収・破壊が義務づけられている。また,昨年4月に閣議決定された京都議定書達成計画では,2008年度からの5年間平均で冷凍空調機器からの冷媒回収率を60%とすることになっている。

<第一種フロン類回収業者の報告の集計結果>

単位台数=kg
2002年度
2003年度
2004年度
回収した第一種特定製品の台数
300,679
865,878
951,005
回収した量
387,313
1,889,221
2,102,454
年度当初の保管量
110,466
148,148
破壊業者に引き渡された量
272,758
1,508,617
1,713,891
再利用等された量
83,516
335,547
370,722
年度末の保管量
31,038
155,516
165,984


<ガス別の台数及び回収量>

単位台数=kg
CFC
HCFC
HFC
台数
回収量
台数
回収量
台数
回収量
2002年度
300,679
387,313
487,084
1,505,267
38,957
65,650
2003年度
244,827
337,740
558,709
1,457,827
62,342
93,654
2004年度
174,551
297,567
688,846
1,665,282
87,608
139,605


 業務用冷凍空調機器(ビル空調,食品のショーケース,大型冷凍・冷蔵庫,冷凍倉庫など)からの2004年度のフロン類の回収実績は2102トンで, 2003年度の1889トンと比べ213トン,11.3%増である。しかし,この回収率は廃棄される機器に含まれるフロン類の31%と推測され,昨年の28%を3ポイント上回ったものの,低い水準となっているとの指摘もある。
 答申は,フロン類の回収が低迷している理由として以下のことをあげている。
  • 機器の廃棄者がフロン回収業者へのフロン類の引渡しを適切に発注していない可能性がある。
  • 廃棄者がフロン類の引渡しを第三者に委託した場合,その発注等がその第三者からさらに下請けの事業者を経る過程で途切れ,回収業者まで 到達しない可能性がある。
 これらの課題を解決するためには,以下のような総合的な取組みが有効であるとしている。

(1) 機器の廃棄者に係るフロン類の適正な回収強化策

 フロン回収破壊法により,業務用冷凍空調機器の廃棄者は機器の廃棄時に自ら又は他の者に委託して,機器に含まれるフロン類を回収業者に引き渡さなければならない。今回の答申では,その引渡しが適切に発注されていない可能性があるとし,廃棄者から回収業者へのフロン類の引渡しを徹底するために,次のような措置が必要であるとしている。

@ 法制度の周知活動の推進:国,地方公共団体,業務用冷凍空調機器に係る業界団体,地域の協議会等が積極的に業務用冷凍空調機器の使用者やその業界団体への法制度の周知活動を推進する。
 
A 解体工事の際の機器関連情報の提供:廃棄者が確実にフロン類を回収業者に引き渡せるよう,解体工事を請け負う者が,解体される建築物に残存している機器に関する情報を施主に対して提供する仕組みを設ける。
 
B 廃棄から回収に至る行程管理制度の導入:廃棄から回収に至る経路について管理する制度(例えば,フロン類回収管理帳(マニフェスト)制度)を導入する。また,廃棄者が回収終了を確認できるような仕組みをつくり,不適正な処理があった場合,行政が速やかに把握できるような仕組みを導入する。
 
C 行政による担保措置:廃棄者がフロン類の引渡しや上記Bに基づく行程管理制度上の事務を適正に行っていないことが明らかになった場合,行政が指導等を行うことにより,その廃棄者に対して適正な引渡し又は事務の履行を促すことができる仕組みを導入する。
 
D 有価で取引される機器からのフロン類回収:有価かどうかにかかわらず,使用を終えた機器をスクラップ業者等に譲渡するすべての者に対しフロン類の回収を義務づける。中古販売業者等がリユース目的で引き取った機器をスクラップ業者等に譲渡する場合も含む。

(2) 第三者が介在した場合のフロン類の適正な回収強化策

 今回の答申によると,冷凍空調機器の廃棄時に,建物の解体・建替え,店舗改造時等に他の機器,構造物等と一括して処分される場合も多く,廃棄者がフロン類の引渡しを第三者に委託しても,その発注が下請けの事業者を経る過程で途切れ,回収業者まで到達しないことが懸念される。
 この懸念を解決するため,以下のことが必要であるとしている。
@ 廃棄者が第三者にフロン類引渡しを委託する場合の契約の適正化:廃棄者が第三者に委託する際に遵守すべき基準を定め,その基準に従った契約を義務づける。また,この委託基準が遵守されることで,廃棄者が適切に委託を行ったかを確認できる。
 
A 廃棄者からフロン類の引渡しを受託した者の責任の明確化:廃棄者の業務用冷凍空調機器の処分に加え,機器中の冷媒フロン類を回収業者に引き渡すよう委託された解体工事やリフォーム工事を請け負う者,廃棄物処理業者等をフロン回収破壊法上に位置づけ,下記Bに基づく行程管理制度上の役割(例えば,マニフェストを回収業者へ送付する等)など,一定の役割を担わせる。
 
B 廃棄から回収に至る行程管理制度の導入:業務用冷凍空調機器の廃棄時に第三者が介在する場合も,介在する第三者を含めた行程管理制度を導入する。
 
C 行政による担保措置:廃棄者から回収業者へのフロン類の引渡しに関する一定の事務を受託した者が,その受託事務や上記Bに基づく行程管理制度上の事務を適正に行っていないことが明らかになった場合,行政が指導等を行うことにより,その廃棄者に対して適正な引渡し又は事務の履行を促すことができる仕組みを導入する。

<行程管理制度の概要>


(3) 機器の整備時におけるフロン類の回収について

 フロン回収破壊法で回収業者によるフロン類の回収が義務づけられているのは,機器の廃棄時のみである。機器の修理・整備時の冷媒フロン類については基準に従った回収・運搬は規定されているが,回収業者への引渡義務,回収量の都道府県への報告義務は課せられていないため,修理・整備時に回収されたフロン類の流れを行政が把握できる仕組みになっていない。条例などで修理・整備時の回収量を報告させている地方公共団体もあるが,それによると,修理・整備時にも相当量が回収されている。
 そのため答申では,修理・整備時にも廃棄時の措置のうち,以下の仕組みを導入する必要があるとし,これにより機器の修理・整備時にもフロン類の回収が義務化され,回収量等の実態が把握できることになるとしている。

@ 修理・整備時におけるフロン類の回収義務:修理・整備時にフロン類の抜取りが必要な場合,回収業者による回収を義務づける。また,回収後にその機器に再充てんされないフロン類については,廃棄時と同様,確実に回収業者に引き渡され処理される仕組みとする。その際,機器の所有者は,修理・整備時にフロン類の回収が必要かどうかを判断できないと考えられることに配慮した,適切な仕組みとする。
 
A 都道府県知事の登録を受けた回収業者による回収の実施:廃棄時にフロン類の回収を行う者は,都道府県知事への登録が必要であるが,同様に機器の修理・整備時にフロンの抜取りを行う者も回収業者として都道府県知事への登録が必要である。また,回収業者は修理・整備時に引き渡されたフロン類について,廃棄時同様,再利用されるものを除き破壊業者に引き渡さなければならない。
 
B 修理・整備時における回収量の報告等:修理・整備時に回収したフロン類の量等についても都道府県知事への報告等,廃棄時と同様の措置を講ずる。修理・整備時に回収したフロン類の扱いについては多様な形態が考えられ,報告の内容については検討を要する。


(4) 回収業者によるフロン類回収の適正化方策

 今回の答申では,業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収率を向上させるためには,回収業者に関しても事業の適正化を図るとともに,回収業者の技術水準の確保についての検討が必要とし,次のことをあげている。

@ 報告,立入検査の徹底等:都道府県知事は,回収量報告や行程管理制度等を活用し,回収業者がフロン回収破壊法の回収に関する基準を遵守していることを確認する。
 
A 回収業者の技術水準の確保:回収基準に従った適切な回収を推進するために,回収業者に一定の技術水準を確保させるための方策を検討する。
 
B フロン類回収に要する時間の確保:廃棄者,修理・整備の発注者及び受託者は,フロン類の回収に要する時間を考慮の上,必要な作業時間が確保されるよう配慮する。

(5) 関係者の自主的取組みの推進

@ 関係者による自主的な取組みの継続・強化:関係者による自主的な取組みの継続・強化による法制度の補完が重要とし,以下をあげている。
 
 
  • 製造時業者等による冷媒必要量の少ない機器,冷媒漏洩のしにくい機器及び修理・整備時又は廃棄時に冷媒を回収しやすい機器の設計等の取組み
  • フロン回収破壊法施行前に製造販売された機器に関係情報を表示するため,製造事業者団体等によるシール頒布や設備工事業者団体によるフロン類を回収した機器への回収済みシール頒布の取組み
  • 冷媒回収促進・技術センター(RRC)や地域の協議会等による講習会などの回収技術普及のための取組み
 
A 排出抑制努力の適正な評価:関係者による排出抑制の努力が,評価・反映される社会的機運の醸成や仕組みを検討する。

(6) ノンフロン化に係る技術開発・普及

 現在,CFCとHCFCはHFCに転換される場合が多いと思われるが,HFCは温室効果ガスであり,地球温暖化防止の観点から,答申では以下の2点をあげている。
@ 代替冷媒等に係る技術開発の推進:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネノンフロン型冷凍空調システムのプロジェクト等の代替冷媒等の技術開発・普及を推進していく。
 
A ノンフロン冷媒等利用装置・機器の普及促進:一部にはノンフロン冷媒等を利用した装置・機器が実用化されている分野があり,さらなる普及を図るため,官民一体となって取り組んでいくことが必要である。

3.フロン回収破壊法の概要―改正案要綱―


@ 定義及び責務の改正
  • 法律において,「第一種特定製品の廃棄等」とは,第一種特定製品を廃棄すること又は再資源化することを目的として有償若しくは無償で 譲渡することとする。
  • 事業者及び国民の責務として,特定製品が整備される場合,使用されているフロン類の排出の抑制のために必要な措置を講ずることを明確にする。
A 第一種フロン類回収業者の登録が必要な業務の追加
  • 第一種特定製品の整備,廃棄等が行われる場合,冷媒として充てんされているフロン類を回収することを業として行う者は,第一種フロン 類回収業者の登録を受けなければならないこととする。
B 第一種特定製品の整備の際のフロン類排出抑制施策の強化
  • 第一種特定製品の整備を行う者は,製品中のフロン類を回収する必要があるとき,回収作業を第一種フロン類回収業者に委託,再充てんされなかった フロン類があるときは,その第一種フロン類回収業者に引き渡さなければならないこととする。また,フロン類の回収を受託したものは,基準に従って回収を行い,再充てんされなかったフロン類の引取りを求められたものは,それを引き取らなければならないこととすること。
  • 第一種フロン類回収業者は,第一種特定製品整備者からフロン類を引き取ったとき,自らフロン類の再利用をする場合その他省令で定める場合を除き,フロン類破壊業者に対し,フロン類を引き渡さなければならないこととする。
  • 第一種フロン類回収業者は,第一種特定製品の整備が行われる場合において回収したフロン類の量を記録し,都道府県知事に報告しなければならないこ ととする。
  • 第一種特定製品の整備が行われる場合におけるフロン類の回収等の費用の負担に関し,所要の規定を整備する。
C 第一種特定製品の廃棄等の際のフロン類排出抑制対策
  • 第一種特定製品の廃棄等を行おうとする者は,第一種フロン類回収業者に対し,冷媒として充てんされているフロン類を引き渡さなければならないこととする。
  • 工作物の全部又は一部を解体する工事を発注しようとする者から直接建設工事を請け負おうとする建設業者は,工作物における第一種特定製品 の設置の有無について確認を行った上で,工事の発注者に説明しなければならないこととする。
  • 第一種特定製品の廃棄等が行われる際のフロン類の第一種フロン類回収業者への引渡しの委託等を書面で管理する制度
第一種特定製品廃棄等実施者又は第一種フロン類引渡受託者は,委託確認書又は再委託承諾書面等を交付又は回付,その書面又は写しを一定期間保存しなければならないこととする。
     
  第一種フロン類回収業者は,第一種特定製品廃棄等実施者からフロン類の引取りを求められたとき,正当な理由がある場合を除き,フロン類を引き取らなければならないこととする。
     
  第一種フロン類回収業者は,フロン類を引き取ったとき,引取証明書又はその写しを交付又は送付し,その関係者は書面又は写しを一定期間保存しなければならないこととすること。

D 担保措置の強化等
  • 都道府県知事は,第一種特定製品整備者,第一種特定製品廃棄等実施者又は特定解体工事元請業者等に対し,必要な指導及び助言をすることができる こととする。
  • 都道府県知事は,第一種特定製品整備者,第一種特定製品廃棄等実施者又は第一種フロン類引渡受託者等に対し,必要な勧告をすることができ,正当な理由 がなくてその勧告に係る措置をとらなかったとき,勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることとする。
  • 主務大臣又は都道府県知事は,この法律の施行に必要な限度において,第一種特定製品整備者,第一種特定製品廃棄等実施者又は第一種フロン類引渡受託者等に対し,報告を求め,立入検査を行うことができることとする。
  • 主務大臣は,この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは,関係都道府県知事又は第一種特定製品整備者,第一種特定製品廃棄等実施者,第一種フロン類引渡受託者若しくは特定解体工事元請業者等に対し,必要な資料の提出及び説明を求めることができることとする。
E その他
  • 第一種フロン類回収業者又はフロン類破壊業者は,第一種特定製品の整備の発注者,第一種特定製品整備者,第一種特定製品廃棄等実施者又は第一種フロン類引渡受託者等から,これらの者に係る記録を閲覧したい旨の申出があったときは,正当な理由がなければ,これを拒んではならないこととする。

 

top