機関誌「冷凍と空調」 / 2006.12 (NO.547)

海外短信

back    

銅の高騰でエアコン破壊泥棒急増


 エアコンは依然として市場の脚光を浴びているが,昨今アメリカでは住宅やビルの空調としてではなく,銅泥棒の対象として話題を集めている。銅の価格は今年に入って高騰を続け,特に夏以降,記録的な高値を示している。銅さえ手に入れば容易に金が得られることを知った泥棒連中は,住宅の裏庭やビルの屋上に設置されたエアコンから銅のコイルを盗むという荒っぽいやり方を始めた。
 銅の価格はこの2カ月,沈静化してきているが,泥棒の方は依然としてその活動を止めず,廃品置場,建設現場,エアコンの室外機等が絶好のターゲットとなっている。盗まれる銅の一件あたりの量はわずかでも,被害総額は数万ドルに達する。
 南カロライナ州の小さな町の教会は,2日間連続して被害にあった。ある日の午後,教会の管理人は集会を開いていた人たちから冷房が効かないとクレームを付けられた。調べてみると室外機が破壊され,コイルが持ち去られていた。翌朝5時40分,管理人から警察に教会に泥棒が入ったとの通報があった。調べによると,教会の入口のドアが石で破壊され内部が荒らされていたが,特に被害はなかった。ところが外部のエアコン室外機からは,多くの部品が持ち去られていた。この教会は,わずか2日間で3700ドルもの被害を受けた。
 アトランタの空調業界の場合は,製品倉庫が狙われた。8月のある夜,1時40分ごろ,倉庫でコイルを取り外し,持ち出そうとしている2人組を見つけた管理人が詰め寄ると「持ち出すよう命じられた」と答えた。しかし翌朝,嘘だと判明。この会社では,他の倉庫でも同じような被害にあっており,見過ごすわけにはいかないと考えた幹部は,夜間に倉庫を監視することにした。数日後の夜,前回と同じ車両番号をつけたジープで2人組がやって来て,1台のエアコンから配線をはずし始めた。監視者の通報で駆けつけた警官が問いただすと,泥棒は前と同様に「会社から指示されてやっている」と答えた。そこへ隠れていた監視者が登場し,お縄を頂戴する結果となった。
 この種の被害が頻発し,対応策を求める声が高まってきた。自治体の中にはスクラップ業者をライセンス制にし,スクラップ売却人の素性を明確にすることを義務付ける等の対策を取るところも出てきた。
 一方で,製品に警報機を取り付ける方法も採られ始めている。ある技術者が考案した装置は,機器の冷媒圧力が規定以下に下がると警報音を発するというもので,いったん警報が鳴り出すと,遠隔に設置されたユニットで操作しないと鳴り止まない仕組みになっており,盗難対策以外にも漏えい監視の面でも効果が期待されている。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Oct. 30 2006


より良い技術でエネルギー効率改善を

 「家庭のエネルギー効率性に関するパートナーシップ(PHEE)」は年次報告書で,これまでに全米各地で32万5000戸の住宅,アパートが何らかの技術改善や効率改善の手法を採用してきたという調査結果を発表した。この結果,昨年度ユーザは総額1億5000万ドルの経費削減に成功したことになる。この報告にはエネルギー省(DOE),住宅・都市開発省(HUD),環境保護局(EPA)の努力により達成された内容が網羅されている。
 現在アメリカ人は空調,照明,その他生活のために年間1600万ドルを費やしている。これは,アメリカ全体のエネルギー消費量の21%にあたり,アメリカ全体で発生する温室効果ガスの17%に相当する。これを改善し,2005年度「エネルギースター賞」に合格した住宅は16万7000戸となり,前年度の13万2000戸を大幅に上回り,新記録を樹立した。
 また,高効率機の購入や,DOE,EPA,HUDが推奨する新技術を採用したことにより,ユーザ側は10億ドル相当のコストを削減することができた。
 その他,このレポートでは「ビル特性学会(BPI:the Building Performance Institute)」が行うコントラクタのエネルギー効率検定についても報告している。
 機構側ではエネルギー高効率機器や応用製品の購入,建物を出入りする空気の遮断,断熱処理の改善等の住宅改善によりエネルギーコストを現状より20〜30%改善することができるとしている。
 PHEEでは「2015年までに全米の住宅でエネルギー消費を10%削減する」というゴールを設定している。これが達成されると年間200億ドルのエネルギーコストの削減,より快適な住宅の増加,1000兆Btu以上の天然ガス需要の削減となる。これは,2500万台の車両から発生する温室効果ガスを削減したのと同じ効果をもたらすことになる。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Nov. 20 2006



欧州の夏の空調ブーム,秋にも継続

 欧州を襲った猛暑は,空調業界に大きな恵みをもたらしたが,その一方で,在庫が払底するとかメーカが需要に応えられなくなるなど,小さな波紋が起きた。
 RACの調査では,空調業者の91%が前年同期よりも「よい」と答えており,今期に対する予想でも,市場の好調さにより85%の業者が「よい」と答え,「悪化」を予想する業者は皆無であった。回答の中には,これまで保守や修繕を怠ってきた顧客が,今回のラッシュにより態度を変えると期待する者,2007年のR134a,R404Aの規制を深刻に考えていない者が多いことを懸念する声も上っていた。


RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING November 2006

top