機関誌「冷凍と空調」 / 2007.1 (NO.547)

海外短信

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アメリカ住宅建設市場の景気後退,経済全般の不況を招くか?


 アメリカ経済の動向に大きな影響を及ぼす住宅建設業界の今後に大きな関心が寄せられている。全米住宅建設業者協会(NAHB)は2006年秋に需要予測会議を開催し,「建設業界がアメリカ経済に不況をもたらすか?」をテーマに,この分野で著名なアナリストたちを招き,将来予測を聞いた。
 協会のチーフエコノミストのデビッド・サイダーズ氏は「協会の住宅市場指標(会員の現状,将来の見通しを優・良・可に分類し,統計処理した数値)が2005年半ばの約“70”から2006年9月には“30”にまで下落した。個人住宅は,一見十分な契約があるように見えるがバイヤーからのかなりの解約が隠れており,実際の未販売物件数はもっと大きい。住宅市場は景気後退に入っており,国の経済を不況に追い込むだろう。住宅価格の高騰も急激に鈍化し,まだ不況でもないのに下落に転じ,その傾向は2007年も続く」と予想し,悲観的な意見を述べた。
 スタンダード&プアーズのエコノミストのデビッド・ワイス氏は「経済全体は依然として好調ではあるが,ところどころで下落が起きている。GDPの成長率は今後2年間,2.5%程度に止まるだろう。経済に大きな影響をもたらす石油価格は,目下,正しい方向に向かっているが,中近東の情勢は急激に変動するので注意を要する。住宅価格は所得に比べて高く,可処分所得の3.5%という記録的な高さに達している。この数値はサンディエゴ,ロサンジェルス,サンフランシスコ,サンジョゼ等が最も高い地区にランクされている。そのため人々は高額な新築よりも新しい技法を取り入れたリフォームに目を向けており,この分野の需要が伸びている」と述べた。
 UBSウォーバーグ研究所のチーフエコノミスト,モーリー・ハリス氏は最も悲観的で「GDPの実質成長率は,2006年後半は2%台であったが,2007年いっぱいは2.4%となるだろう。経済の基盤として住宅建設が最も重要で,今までGDPの成長率の1%を担ってきた。それがかつて見たこともない状況に陥った。石油価格はバレル当たり68ドル台となるが,大きな影響を及ぼさないだろう。ドルの下落,賃上げ幅の伸び悩み,支出の低迷,需要の停滞等により,大きなインフレは起きないと見る。住宅価格の高騰により賃貸は増えるが,中規模住宅の価格の落ち込みが激しく,顧客の購買力を低下させている」と指摘した。
 ムーディーズのチーフエコノミスト,マーク・ザンディ氏は「住宅市場が経済の推進力で,これが安定すれば経済も安定する。2006年はGDPを1/4下げ,2007年は3/4下げるだろう。住宅市場の下落には3つの原因が挙げられる。第1は住宅の供給能力で,金融業者は独自の金利を設定していたが,連邦準備金の金利引上げにより需要が低迷することとなった。第2の要因は投資家の過大投資により価格が高騰したことで,その結果,価格の下落を招いた。第3の要因は,過大な建設である。現在40万戸が余剰となっており,解消には2年以上かかるものと見ている。」と述べた。
 いずれも2007年の動向は非常に険しいものと予想している。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Nov. 27 2006


2006年ユニタリー型出荷台数,記録更新ならず?

 2005年は季節エネルギ−消費効率の最低基準が改正され,SEER10機の販売停止とSEER13が実施されたことにより画期的なペースでユニタリー型の出荷台数が伸びたが,06年はこの状況が続かず,1〜2月は顕著な減少を示した。この傾向は第一四半期も続き,9月のエアコンディショナとヒートポンプの合計出荷台数は51万2314台となり,対前年同月比38.2%という大きな減少となった。1月からの通算も598万6482台で対前年比10%の減となった。空気熱源ヒートポンプは,9月度は17万742台で対前年同月比10%の減とはなったが,1月からの通算では175万6255台となり,対前年比9%増を記録した。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Nov. 27 2006


サウジアラビアの砂漠地帯に特殊冷凍設備

 サウジアラビアの紅海に面するヤンブー工業団地にあるクリスタル社では,メタノールを冷却する工業冷凍設備を建設することになった。この会社では輝くような白色と対紫外線能力の優れた塗料,インク,プラスチック,ゴム等の原料となる二酸化チタニウムを製造している。施主はこのプロジェクトの冷却媒体として,メタノールを指定した。その理由として,入手しやすいこと,低温においても凍結しないこと,他の冷却媒体よりも安価なことが挙げられる。しかし,この流体は可燃性が高く,特に過酷な砂漠の状況下で危険度が高い。しかも,このメタノールを常時−23℃に保っていないとプラントが停止してしまうという過酷な条件が課せられた。
 このプロジェクトを担当したJ&Eホール社は,1998年に同じ客先の同種のプラントを手掛け称賛を得ており,今回の増設も担当することになった。
 計画には危険物に対する安全性の確保に重点が置かれるのはもちろんであるが,今回はさらに砂漠地帯の極端な高温,荒々しい砂,腐食性の高い化学物質を考慮した塗料を使用し,すべての計器にも耐久性の高いものを使用した。容量600kWの冷凍機2台(冷媒R134a)には,通常のツイン型に比べてバランスが良く推力も少ないため,機器の耐久性が高まるとしてシングル型スクリューが採用された。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING December 2006

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