機関誌「冷凍と空調」 / 2007.7 (NO.554)

海外短信

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米業務用ビルの需要好調,従来型の踏襲ではなく新形式へ


 アメリカの新築住宅用建設業界の落ち込みが際立っており,最新データ(本年2月度)では対前年同月比で28.6%という猛烈な下落を示した。これに対し業務用分野は好調さを持続しており,2月度の着工額は3220億ドル,対前月比32.3%の増加となり,通年でも12.7%の伸びが期待されている。
 しかし,ビルのオーナーたちは従来型にはまったく興味を持っておらず,環境問題を処理しながらエネルギー問題も解決できる新しいビルを望み,業界が持つ最新の情報の提供を求めている。
 アメリカ環境保護局(EPA)は,業務用ビルが持つ環境への影響度を全米のエネルギー消費量の18%,全米の温室効果ガスの15%とし,その影響力の大きさを認めている。さらにエネルギー費がビルの総運転経費の30%を占めるとあっては,その改善がオーナーにとって不可欠となる。
 もう1つ,ビルのグリーン化も大きな課題である。
 ビルオーナーは,資源を効果的に利用しながら快適環境と室内空気の質を高めるような設備の導入を希望している。このように環境に優しいビル,グリーンなビルを求める声が高まっている。そこでその達成度を示す目安として,グリーンビル評議会が推奨する建築物の環境配慮基準(LEED)が各種検定の裁量の目標として認められてきている。ラスベガスでは,この認定を受けた物件に,各種の奨励制度を与えているほどである。
 その他の大きな問題としては,R22の転換がある。業務用ビルにはルーフトップ型が多く採用されてきた。これらのHFC冷媒への転換においてもエネルギー効率の改善が欠かせない。各メーカーでもこの線に沿った製品シリーズを展開している。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News May 14 2007


ロンドン地下鉄,猛暑対策に懸命

 140年の歴史を持つ世界最古のロンドンの地下鉄は,建設以来大規模な改修を行ってこなかった。そのため,夏季の構内は耐え難い状況にあった。そこで,ロンドン交通局は,1億5000万ポンドを投じて冷房計画を推進することにした。
 まず,トンネル冷房プロジェクトチームが編成され,地下鉄構内を冷房するための技術的な解析を行うことになった。この問題の完全な解決には時間がかかるため,さしあたり着手可能な短期的な解決策を実施することにした。

@ 地下水利用の冷房:ビクトリア駅では豊富に得られる12℃の低温地下水を汲み上げ,3基の熱交換器に供給し,プラットホームとコンコースの冷房を行う。
A 換気ファンの見直し:既存のファンシステムの見直しや高度化を図り,全136台中わずか36台しか稼動していなかったものを,80台稼動させる。

 また,長期計画としては次のものがあげられた。
@ 新空調車両の導入:2010年までに深度の浅い路線用に新規製造の空調車両を導入する。深度の深い路線用としては,最も温度の高い20駅を選び,新しいシステムを開発する。
A 冷却管の設置:トンネル内に冷却管を敷設し,この中に低温の水を循環させ,トンネル内の空気を直接冷却しようとするもので,2008年中に実施に移す。
B プラットホーム排気システム:駅に停車中の車両が発生する熱を排気するため,プラットホーム下の空間をダクトとして活用し,既存の排気シャフトへ連結する。
C エアハンドリングユニットの導入:線路及びプラットホーム上の冷房のために新たにエアハンドリングユニットを開発,製作する。
D 断熱冷却:湿ったパッド又はミストを通して空気を導入し断熱冷却する方法で,2008年中に実施する予定。
E 吸収冷凍機の導入:発電施設で発生する排熱を熱源として吸収冷凍機を稼動,約5℃の冷水を作る。
F 駅舎冷房ユニット:トンネルプラットホームの上部に特殊設計の冷房ユニットを取り付ける。

古い歴史を持つ市民の足の地下鉄の改良は,多大な労力とコストがかかるプロジェクトになる。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING July 2007


チルド・ビーム,効率的な冷房の代替案となるか

 多くの人々が集まる場所や天井の高さが3m以上あるような空間の冷房として,チルド・ビーム法が注目されている。
 外部空気はビームに設けられたプレナムに導かれ,隔壁の多孔板又はノズルを通過する際に加速されて圧力低下を起こす。この圧力低下により,居住空間からの二次空気が誘引され,ビーム内の熱交換器へ入り冷却される。
 この方法はこれまでも知られていたが,いかに効果的に行うかが課題であった。従来の多孔板では,一次空気に対する二次空気の誘引率は1:3であり,この誘引率を増大できれば一次空気の量を減らすことができ,駆動動力を節減することができる。さらにユニットの冷却能力を増大することもでき,製造コストを大幅に低減できる。チルド・ビーム法は新しい技術ではないが,空港などの施設では注目に値する技術と言えよう。


<チルド・ビームの作動図>


RAC-REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING July 2007

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