機関誌「冷凍と空調」 / 2007.10 (NO.557)

海外短信

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ユニークなファンの採用で大幅な省エネルギーを達成


 フロリダ州オーランドのオレンジ郡コンベンションセンターの経営陣は,展示品の搬入日と搬出日における展示場の空調に要するエネルギー消費をいかに改善するかに悩まされてきた。展示品の搬入,搬出は短時間で行わなければならないので,広大な展示場の開口部はすべて開放される。従って,この際の環境維持には膨大なエネルギーを消費する。モットーとして掲げている「我々は何時も事業遂行に当たって改善を心がけている」からみても,この問題を解決する必要があった。経営陣とプランナーらが整理した問題点は以下のとおりである。
不経済ではあるが,不可避なこの費用を負担し続けなければならないのか?
これらの価格を出品者へ転嫁できないか?
ただしその場合,展示企画者側が他の会場へ移る危険を伴う。
他に何か代替策はあるか?
 検討を進めている時期に,この会場で政府サービス管理展が開催され,その展示品の中のパターソン社製のファンの性能(高速,低騒音,高エネルギー効率)が目に留まった。この会社は1989年以来,単機処理風量が大で高効率のファンを開発してきた。これらの特徴が効率改善の目的に適うと判断した経営陣は,試験的に採用することを決定,総計48台のファンが4台ずつ12本の柱に設置されることになった。これらのファンは遠隔で運転操作できるようになっている。
 運転を開始すると,従来運転していたエアハンドリングユニットのうち数台の運転を停止しても効果が変わらないことが判明した。この結果,経営側は無駄なエネルギー代の節約に成功し,出展者側も余分な負担を受けずに済んだ。さらに電力会社がこの省エネのおかげで発電設備の新設・拡大をしなくて済み,電力料金の値上げを回避でき,周辺の住民にも恩恵をもたらすことができた。


Air Conditioning, Heating and Refrigeration News August 27 2007



ITビジネスに朗報,ビル全体でなく机を空調

 1986年にイギリス証券取引所が行った証券制度の大改革(ビッグ・バン)により,ディーラーはこれまでのペーパーワークからコンピュータを活用するようになった。この結果,ディーラーの事務所ビルは,IT機器から発生する膨大な熱負荷により既存の空調設備では足りず,作業環境が悪化してきた。この解決には空調設備の更新が必要となるが,費用が大変にかさむという欠点があった。そこで今回登場してきたのが,熱を発生元のディーラーの机の周辺で処理するというシステムである。
 トロックスAITCS(アドバンスドITクーリングシステムズ)社が開発したこのシステムは,サーバーの冷却にCO2溶液を用い,CO2 OLデスクと呼ばれる。CO2は冷水の7倍以上の冷却能力を持つので,エネルギー消費量を10〜30%も節約できる。この結果,従来の冷却方法に比べてCO2の換算排出量を約1トン/kWh削減することができた。
 代表的なCO2 OLデスクの設置例では机の中に小型温度調節機構を設置し,PCの背後に断熱空間を形成してある。この結果,作業するディーラーに直接冷気を当てずに機器を冷却することができる。
 システムは自己調整型で負荷自動配分機能を備えているので,オフィスの拡張・模様替えにも自由に対応できる。また,循環するCO2溶液は室温よりも14℃高く設定されているので,結露の心配もない。回収された熱は,既存の設備に余裕があれば,その熱交換器を通じて外部へ放出される。現在容量80〜400kWのものが販売されている。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING September 2007



EU,空調設備の定期点検を法制化


 EUは,新たに空調設備の定期点検を義務付ける法案「ビルエネルギー特性指針(EPBI)」を制定し,住宅用,非住宅用のすべてのビルの所有者,管理者,開発業者に対して包括的に適用すると発表した。これはビルで消費するエネルギーの改善を目指したもので,その第9条では空調システムの定期点検を義務付けている。
 この規制は,すべての新築,改装ビルに適用され,その建設時,販売時,賃貸時(10年ごと)にエネルギー検証(CO2放出換算値で表示)の提出が求められる。ここで定期点検が義務付けられる空調システムは,単体ではなくビル全体に設置される機器の合計値で12kWを超えるものと規定されている。
 今回の規制では点検が義務付けられ,それに基づいて勧告がなされるが,所有者に対し実施は強制されていない。
 この法律を担当する地方・コミュニティ省では,法律の実施に当たっては膨大な数の検査官を要するため,その準備が整うまで実施を延期するとしている。目下のところ法の施行は2008年1月とし,容量250kW以上の設備の点検は2009年1月まで,それ以下は2011年1月までに決まるものと見られている。以後,5年ごとの点検が求められる。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING September 2007

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