機関誌「冷凍と空調」 / 2008.6 (NO.565)
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製品の選択肢,イニシャルコストが評価の第2位?に

 ダンフォス社主催の第7回エンビジョニアリング(EnVisioneering)会議において,消費者が空調機器採用の際,これまでのイニシャルコスト(初期費用)重視から機器のエネルギー効率重視へと変化し始めているとの見方が発表され,注目を集めた。
 パサデナ電力・水道会社の業務用エネルギー計画担当のロバート・トンプソン氏は「消費者の意思決定の流れはすでに変わってきている。我々はこれを踏まえてアプローチを変えなければならない」と述べた。現在同社は,政府,エンジニアリング会社,エンドユーザーを対象に,エネルギー効率改善技術をテーマとしたフェアを開催している。ここでの参加者の関心は省エネが第1で,イニシャルコストは2番目であるという。
 米国環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)の業務・工業部門担当のジーン・ルピナッチ女史も「エネルギー問題に関する消費者の見方は変化しており,住宅オーナーの70%がエネルギー・スター計画を理解している。業務用ビル業界にも浸透してきており,すでにビルのエネルギー・スター賞の受賞は4000件以上にのぼり,40%以上の省エネを達成している」と述べている。
 会議では発表されたその他の意見としては,次のものがある。

米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)の省エネ主任エコノミスト兼再生エネルギー担当のダレン・ベシェーン氏
 DOEはエネルギー・環境問題を解決する再生エネルギー技術開発の努力を継続する。再生エネルギーの追加貢献度は2004年度はわずか2%であったものが2006年度には22%と飛躍的に増加している。我々は限りある資源を有効に利用できる最高の技術を開発している。

○ビル技術コンサル会社のトーマス・ハーツマン氏
 「エネルギー特性を基準としたビルの設計法と運用」と題する資料を発表し,電力会社は電力を売ることに主点を置かず,エネルギー効率の改善法を売り込むべきだ。

 会議の終了に当たって,ダンフォス社アメリカ・カナダ担当社長のロバート・ウィルキンス社長は「すべての関係者は地球規模のエネルギー改善に取り組むべきである。エネルギー効率化の技術はすでに存在し,全世界にインパクトを与えているが,全世界への普及はまだ道半ばに過ぎない。このシンポジウムはその改善のために開催されているのだ」と関係者の一段の協力を求めた。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News May 5 2008



冷凍・空調技術の最良の将来像は?

 RAC主催の会議で,冷凍・空調の未来に関して最良の技術は何かついて,それぞれの分野で活躍する専門家の意見が発表された。

○ジョンソン・コントロールズ社
 アレクサンダ・パチャイ氏からテスコ・エキストラ店に設置されたCO2システムを例に,CO2の排出量を36%軽減できたことが報告された。この値はさらに改善が期待できるという。

○コカ・コーラ社
 2000年にヘリウム,プロパン,CO2の3種類の冷媒についてテストした結果,CO2が最も良好な成績を収めた。以後同社はCO2以外の冷媒は使用しないことになった。550リットルのキャビネットで21.8〜30.0%の省エネが達成できたという。

○AHT社(業務用冷凍キャビネットのメーカー)
 ラインフォルト・レッシュ氏がハイドロカーボンの良さを発表した。同社のプロパンを使用した実績によると,R404A使用のものとの比較でエネルギー消費が8%(圧縮機を往復動にすると25%)改善された。これはTEWI(総等価温暖化影響)で30%の削減になる。プロパンには可燃性,爆発性という欠点があるが,安全基準や充てん量を150g以下に制限することで克服できるとしている。

○エピタ・グループ
 オースチン・デービス氏はプロパンとCO2の組合せシステムが優れているとし,R404 ADXシステムではTEWIがCO2排出量で6015トンであったものが,プロパン(高温側)とCO2(低温側)の組合せ方式の場合,3110トンに低減できると述べた。

○スター・テクニカル・ソリューション
 ロバート・ラム氏はアンモニアシステムの低運転コスト,ライフサイクルでの財務上の利点等を上げて推奨している。唯一の欠点は毒性,可燃性にあるが,人が居住する箇所を避けて大気へ放出する設備を設置すれば対応できるとしている。

○デュポン
 ウルター・ソルグ氏は「HFC冷媒が存続できる唯一の分野は車載用クーラーである。我々は30年という長期を念頭に製品を開発しているのに,政治家は頻繁に法律を改正してしまう。我々は車載用の代替品を開発しなければならない。それも欧州や米国だけでなく,第3世界でも容易に入手できなければならない。」と述べた。同社ではGWP(地球温暖化係数)が非常に低くODP(オゾン層破壊係数)がゼロ,LCCP(ライフサイクル気候特性)も低く,低毒性,微可燃性でHFC-134aとほぼ同様な特性の冷媒HFO-1234yfを開発している。

 以上の他にもケンブリッジ大学のニール・ウィルソン教授が提唱する50%省エネが達成できる電磁冷却法や,ブリストル大学のエバンス教授が提唱する環境上の問題を一切排除できるエア・サイクル冷凍法(圧縮空気の断熱膨張による冷却法。同時に加熱も行える),米国ペン・ステート大学のマシュー・ポーズ教授が提唱する熱・音響効果を利用した冷凍法(高振幅の音波により二次冷媒のヘリウムを圧縮・膨張し冷却を行う)等が発表された。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING May 2008



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