機関誌「冷凍と空調」 / 2008.8 (NO.567)
海外短信
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アメリカ西部諸州,低エネルギー消費冷房システムにチャレンジ

 6月5日にデンバーで開催された米国エネルギー省(DOE)主催の第1回エネルギー・アライアンス・サプライヤー会議で,USデービス西部冷房効率センター後援の非居住用建物の地域に適した空調技術の採用を促進する “ウェスタン・クーリング・チャレンジ”が紹介された。
 西部諸州の多くは,夏季には高温で乾燥した天候が続く。現在の空調機器は,高温多湿な気候を対象に製造されている。高温乾燥に特化した機器を開発すれば,エネルギー消費を大幅に改善できる。
 2030年を目標に,冷房による消費電力の40%削減を目指す。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News June 16 2008



超高級住宅の空調に高効率ガス吸収ヒートポンプ

 アメリカ・コネチカット州グラストンバリーに新築された延べ面積9000ft2(810m2)のコロニアル風の高級住宅に豪華な空調設備が導入され,注目を集めている。
 当初この住宅には,通常のエアハンドラー6台を使う設備が予定されていたが,オーナーはこれに納得せず,エネルギー効率の高い設備にするよう求めた。この結果,総額12.5万ドルの設備(ガス吸収ヒートポンプ2台から供給される高温水により作動する輻射暖房システム,冷暖房システム,高効率空気清浄機,加湿器,プログラマブル・サーモスタット等)が取り付けられた。
 システムの中核はローバー社製の空気熱源のアンモニア・水吸収ヒートポンプGAHP-ARで,天然ガスを燃料にサイクルを切り替え,60℃の高温水から3℃の冷水までを供給できる。効率は暖房定格時126%で,暖房シーズンの長い当地にあっては予想外の効果を示している。当初,この新システムにいささか危惧を抱いていたオーナーも,この結果には大満足だという。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News June 23 2008




15エーカーの人造湖で,病院・ビル群をグリーン化

 イリノイ州エルギンにあるシャーマン病院の改修工事で,15エーカー(6ヘクタール)の人造湖から得られる地熱エネルギーを利用した冷暖房システムが採用された。
 このシステムを提唱したメカニカル社のブライアン・フェルム社長は「人造湖の地熱利用は,経済的にも環境面でも賢明な選択で,これにより年間のガス,電気の支出を100万ドルも削減することに成功した」と述べた。
 深さ5mの人造湖には,直径2インチ(5cm)のパイプで構成された延べ面積27万5000ft2(2万4750m2)の熱交換器が設置され,湖底の定常温度の水を病院の冷暖房の排熱,吸熱に利用している。
 この計画のプロジェクト・マネージャーのセレナ・ウォースター氏は,米国グリーンビル協会(USGBC)の建築物の環境配慮基準(LEED)のプロフェッショナルに認定されている。また,シカゴ地区の評議会運営委員会のメンバーで,ビルのグリーン化推進の大役を担っており,この設備が中西部のビルのグリーン化の手本になるとみている。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News June 30 2008



冷凍空調における持続可能な技術革新(SIRAC)の開発援助会議を開催

 先端的研究を冷凍空調の持続可能な技術革新に取り入れ,普及させることを目的にイギリス政府と冷凍学会(IOR)が共同で行っている産学協同会議が6月,オックスフォード大学で開催された。
 ケンブリッジ大学のサンデマン教授は磁気冷凍研究の現状について,「これまで磁気冷凍効果を持つ金属はガドリニウムだけで,極低温域でのみ効果を示していたが,常温でも作動する新たな金属が発見され,コストがキログラムあたり10ドル程度となり,冷凍空調への道が開けた。現在は,それらの中から最適な金属を選定する段階にある」と発表した。また,同大学からのスピンオフ・グループが試作機のテスト中であることも発表された。
 これに関連してマーサー教授が,物質に電気を通すことにより冷却・加熱効果を示す電子熱量効果について,これまで研究者は効果を過小評価しており,可能性を見直す必要があると発表した。
 オックスフォード大学のベーリー教授は,宇宙衛星や宇宙望遠鏡のような高度に集積された設備に使用されている冷凍設備について「これらの設備に用いられている冷却設備は,従来のものに比べて強力・コンパクト・頑丈でなければならない。現在,第三世代のオイルレス・リニア圧縮機を開発中で,ハッブル望遠鏡,ジェームズ・ウェッブ望遠鏡の後継となる予定である。衛星内では300℃の熱のもとで運転を行わなければならない。NASAではこの熱から電力を取り出すことを研究中である」と発表した。
 またコンピュータ分野では演算能力の向上により,プロセッサで発生する熱をより早く処理することを目的としたリニア圧縮機の研究が第三期に入っていることも紹介された。
 研究者側と製造者側によるネットワーキングセッションでは,機器の漏えい防止が将来のSIRACの最大の課題となることで一致を見た。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING July 2008

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