 |
住宅事業建築主の判断にもトップランナー基準
―住宅・建築物に関する基準・指針等,改正へ―
|
 |
| 今年5月,改正省エネルギー法が公布されましたが,この改正法では工場・オフィス等と住宅・建築物に対する省エネルギー対策の強化が行われています。これを受け,経済産業省と国土交通省では住宅・建築物に関する建築主等の判断基準の改正と,住宅事業建築主の判断基準の制定について検討を始めました。ここでは,各判断基準案の概要について,また改正省エネルギー法についても併せて紹介します。 |
| (編集係) |
|
<改正省エネルギー法について>
1.これまでの経緯
省エネルギー法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)は,1979年の第二次石油危機を契機に,工場・建築物・機械器具ついて,エネルギーの使用の合理化を総合的に進めるための必要な措置を講ずることを目的に制定された。当初,建築物の基準は,建築主の努力義務であり,法的措置として住宅の建築主には,指針の公表,住宅以外の建築主には基準に照らしての指導・助言のみであった。1993年,住宅以外の建築主に対して,2000m2以上を特定建築主として大臣による改善の指示と氏名公表ができることにし,報告の聴取・立入りの権限が与えられた。
1998年には1997年に京都議定書が採択されたことに伴い,民生(家庭・業務)部門と運輸部門の省エネルギーを図るため機器の基準に「トップランナー方式」が導入された。また,大規模工場への省エネルギー計画の作成・提出の義務づけ,中規模工場に対する対策の導入など,大規模な改正が行われた。
さらに2002年には,特定建築物に対し省エネルギー措置の届出が義務づけられ,これまで大臣にあった権限は所管行政庁(建築基準法に基づく建築主事をおく市町村長等)に委譲された。また,届出を行う際の判断基準として,5000m2以下の建築物に関しては,省エネルギー性能の簡単な評価方法「ポイント法(仕様基準)」が認められるようになった。
さらに2005年には「京都議定書達成計画」を受け,工場・事業場に関するエネルギー管理についての規制の一本化,運輸分野への省エネルギー対策の導入,建築物への対策の強化などの改正が行われた。
2.今回の改正の背景
2006年度のエネルギーの消費量は,産業部門が1990年度比で2.5%増,運輸部門が16.6%増と増加しており,民生部門においては家庭部門が27.2%増,業務部門が46.1%増,民生部門全体では37.6%と大幅に増加している。
また,2006年度の日本におけるエネルギー起源二酸化炭素の排出量は,これまで重点的に省エネルギーを進めてきた産業部門では1990年度と比べ4.6%減少したものの,運輸部門は17.1%増,民生部門においては35.7%増,このうち家庭部門が39.6%増,業務部門が30.7%増となっており,大幅に増加している。
京都議定書では,日本は2008年から2012年の第1約束期間に温室効果ガスを1990年比で6%削減することになっている。温室効果ガスの約9割はエネルギー起源の二酸化炭素であり,一層の地球温暖化対策の推進のためにも京都議定書の約束達成のためにも,省エネルギー対策の強化が求められている。
そのため,エネルギー使用量とエネルギー起源の二酸化炭素の排出量がともに大幅に増えている民生部門においてもエネルギーの使用の合理化を一層進めるため,5月に改正省エネルギー法が公布された。この改正では工場・オフィスと住宅・建築物に対し,省エネルギー対策の強化が図られている。

3.改正の概要
(1) 工場・オフィス等に対する省エネルギー対策の強化
現行の省エネルギー法では大規模な工場・オフィスに対し,工場単位でのエネルギー管理義務が定められている。今回の改正省エネルギー法では工場・オフィスの産業部門だけでなく,業務部門のオフィスやコンビニなどの省エネルギー対策を強化するため,以下の措置が追加された。
- 事業者単位(企業単位)のエネルギー管理義務を導入
- フランチャイズチェーンも一事業者とし,事業者単位の規制と同様の規制を導入
- 各企業の省エネルギーの取組みについては,業種ごとの省エネルギーの状況(セクター別ベンチマークの策定)や複数の事業者が共同で省エネルギーを行う取組み(共同省エネルギー事業)を勘案して,総合的に評価することを規定
(2) 住宅・建築物に対する省エネルギー対策の強化
現行の省エネルギー法では床面積が2000m2以上の大規模な住宅・建築物の建築をしようとする者等に対し,省エネルギーの取組みに関する届出の提出義務等が定められている。5月に公布された改正法では,これに加え,家庭部門・業務部門の省エネルギー対策を強化するための措置として,以下の項目が規定された。
- 大規模な住宅・建築物に係る担保措置の強化―指示,公表に加え命令を導入
- 床面積2000m2未満の中小規模の住宅・建築物(300m2以上を予定)も届出義務等の対象に追加
- 住宅を建築し販売する事業者に対し,住宅の省エネ性能向上を促す措置を導入―多数の住宅を建築・販売する者には,勧告,命令等による担保
- 住宅・建築物の省エネルギー性能の表示等を推進
(3) 施行期日
施行期日は2009年4月1日となっている。ただし,工場・オフィス等の省エネルギー対策の強化,中小規模の建築物の届出義務などの規定については2010年4月1日となっている。
|