機関誌「冷凍と空調」 / 2008.11 (NO.570)
海外短信
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HCFC冷媒の使用停止で独創的な新ビジネス

 EU圏内では,すでに新規設備へのHCFC冷媒の使用は禁止されており,2010年からは再生冷媒しか入手できなくなる。しかもその価格は急騰している。その再生冷媒も,2014年以降は全面的に禁止される。
 R22冷媒使用のユーザーは転換計画の促進を求めているが,このような状況下にあっても依然として継続使用しているエンドユーザーは多く,全ヨーロッパでの設置設備の65%はまだR22を使用しているという。また,現在イギリスに設置されている設備は比較的新しく,これまでも有効に使用されてきているという。
 この状況を早期に改善するため,大手空調業者クリーマ・ターム(Klima-Therm)とクール・ターム(Cool-Therm)の2社が新しい取り組みを始めた。この2社は,発展途上国では先進国でHCFC冷媒の使用が禁止されて以降も,さらに10〜15年間もその使用が認められていることに着目した。
 まず,R22使用の設備を持っている顧客に,効率の良い最新の設備を推薦すると同時に,既存の設備を適切な価格で引き取ることを提案した。これらの顧客は往々にして,新設備導入のメリットを過小評価し,交換に際して建物,設備の模様替え等に費用がかさむことを心配している。
 クリーマ・タームでは,こうして買い取った既設の設備を同社のウインブルドンにある工場へ運び,発展途上国へ出荷される前に完全な状態まで十分なメンテナンスを行う。
 クール・タームの幹部は,この方式はイギリスのユーザーには最新式で効率の良い設備が提供され,運転コストと保守費用が軽減される。一方,海外のユーザーも低コストで十分に整備された設備を入手することができ,経済の発展を推進することもできるという一挙両得の結果をもたらすと,自賛している。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING October 2008



金融危機を背景に空調業界の将来に暗雲

 最近全世界を襲った金融危機により,産業界全体の将来に暗い影が投げかけられている。イギリスの調査会社の調べによると,この影響は小型スプリット型エアコンの市場に顕著に現れているという。
 今年は冷夏であったことに経済の不透明さが加わり,昨年同期に比べて需要は30%も落ち込んだ。これらの製品を扱う業者は零細企業が多く,倒産の危機に見舞われている。この結果,製品供給者側では出荷の制限を行っており,余波は設備業者にも及んでいる。
 また,これまで影響をあまり受けていなかったVRF業界にも波及し,約5%の落ち込みを記録。これをカバーし,受注を確保するため,業者間での価格競争が激化し始めている。この業界に対する経済不況の影響は現在のところそれほど大きくはないが,製品のリードタイムが長くなったことから,大型建設プロジェクトの工期管理に影響が出始めている。
 ニッチ分野の製品を扱う業界も,まだ,今回の金融危機の影響をあまり受けていない。特に精密制御,テレコミュニケーション分野では,比較的十分な需要を抱えており,インターネット,通信分野の拡張が続くという追い風にも乗って,好調を維持している。
 このような時期には民間より公共関係の予算に頼らざるを得ず,これに期待する向きは多い。
 多くの企業が今回のような経済危機下での企業運営のノウハウを持っておらず,いかに経費,コストを削減できるかに生き残りの成否がかかっている。

●調査結果
・対前年同月比のビジネス状況
   良   :31%
   不良  :69%

・対前年比業績見通し
   良   :9%
   横ばい :31%
   不良  :60%

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING October 2008



プラスチックで冷却

 これまでの冷却法は蒸気を圧縮・液化し,膨張の際の気化の潜熱を利用する機械圧縮式冷凍が主流で,全世界の冷凍の99%を占めてきた。しかしこの方法は過大なエネルギーを消費し,機械運動によっているため摺動部の磨耗や漏えい等のトラブルの原因となっていた。
 機械式圧縮によらない冷却を研究してきた科学者たちは,電気をオン/オフさせることにより,物質内で温度が変化するという特性を持った熱電気効果物質の開発を行ってきた。これまでにもこの種の特性を持った金属について研究されてきたが,これをプラスチックフィルムで実現しようとする開発がアメリカ・ペンシルベニア州立大学で進められている。
 ここでは,ある種のプラスチック・ポリマーが常温下で劇的な温度効果を持つことを発見した。このフィルムは電気が加えられると,最大で12℃の温度変化を示すことが判明。温度の変化は,加える電流を加減することで自由に変えることができる。研究者たちは,この結果はコンピュータの冷却やその他家庭用冷蔵庫にも応用可能であると期待している。
 ただし,この方法は開発されたばかりのため,ビルの空調や工業用の用途に対しては,さらなる熱交換システムの研究が必要となる。稼動部分がないことから,これが実現すればサービス保守のためのシステム停止が不要となり,機器稼働率,保守費用の面でも利用者に大きなメリットをもたらすことになる。
 この研究を紹介したRAC誌は,この開発を来年開催の展示会“RAC 09”の低カーボン冷却法の読者コンテストの対象にあげている。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING October 2008

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