機関誌「冷凍と空調」 / 2009.6 (NO.577)
海外短信
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ビルのグリーン化推進には高効率HVACシステムの導入が鍵

 2008年版「アメリカ建築家協会(AIA)グリーン・インデックス/オートデスク」によると,グリーンビルディングの設計,開発には高効率のHVACシステムが不可欠であると考えている建築家が多いという。
 この協会の所属建築家は287名で,このうち63%がこの分野で15年以上の経験を持っている。これらの人々を対象に評価・手法・設計原理等16の分野で最もグリーン化推進に寄与すると思われる項目について,調査を行った。それによると,25%が高効率空調システムが最も重要だと答えており,44%が上位2位に,73%が上位5位以内に挙げていた。
 このように専門家グループではこの問題の重要性が認識されているが,一般の認識は大幅にずれている。オートデスク社の依頼でハリス・インタラクティブ社が行った調査では,ビル関連が温室効果ガス発生の主原因であると認識しているアメリカ人はわずか4%に過ぎないという。この調査の結果からも,気候変動問題におけるビル分野の役割を周知徹底することが当面の急務であることが分かる。
 オートデスク社のジェイ・バット副社長は,現在アメリカに存在するビルの半数は2030年時点でも使用されていると予想されるので,我々はよりコスト効率がよく,よりエネルギー効率の高いビルの創造,促進に努めるべきだとしている。
 18歳以上の成人2682名を対象に昨年9月30日から10月6日にかけて行われた調査では,77%がグリーンビル建設には一般のビルよりもコストがかかると思っている。しかし,カリフォルニア州が行った調査では,その差額はわずかに投資額の2%にすぎないことが判明している。一方,グリーンビル化することによってビルのライフサイクルコストは20%も低減し,初期投資額との差の10倍の効果が得られることも分かっている。早急に多くの人々に,グリーン化はエネルギー消費・支出の削減,究極的には気候変動問題の解決につながる改革であることを知らしめるべきだと警鐘を鳴らしている。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News April 20 2009

HVAC業界の未来対応と拡大のチャンス

 ロンドン・サウスバンク大学のメイドメント教授とチェラー博士は,空調業界は環境問題を改善するための役割を過小評価してはならず,関連技術や製品の改善の先頭に立って活躍すべきだと主張している。現在HVAC業界は不況の中で生き残りのため懸命な努力を重ねている。しかし他の業界と比べると,この業界は人間生活に密接に関わっているため,はるかにましな状況にある。そしてこの業界は全英の電力消費量の16%,平均的なスーパーマーケットの消費量の50%を消費している。そのため業界は,将来に向けて最新技術の開発が欠かせない。
 地球温暖化とエネルギー供給は,さらに厳しい状況に追い込まれている。温室効果ガスの排出が低レベルの場合,2080年における温度上昇はイングランド南部で2〜3℃,高レベルになると4〜5℃と予想されている。
 これまでロンドン市内の典型的なフラットでは,室温が28℃以上になる日はほとんどなかった。これが2050年には1日の15%が28℃以上になるという。このため,十分な冷房を効果的に低コストで供給することがますます要求されてくる。近年,環境問題を軽減するべく機器の設計,運転,保守の改善に努めてきたが,これらはコストアップにつながる。一方で,この傾向は高効率の製品が売れることを示している。
 このような不況下でも,炭酸ガスの排出削減を目指す国際間の動きは止まることはない。EU諸国では,HFC冷媒のさらなる使用抑制と低GWPでHFCに代替する冷媒の開発と求めている。しかし,大多数の冷凍システムの地球温暖化への影響度は,そのエネルギー消費による間接的な影響であって,冷媒自身の影響ははるかに少ないことを忘れてはならない。代替冷媒の開発は望ましいことであるが,そのシステム効率を無視することができない。
 効率改善には,より効果的な部品やシステムの採用が欠かせない。例えばマイクロチャンネル型の熱交換器は大口径のチューブ型より10倍も熱交換性能が優れている。目下,冷・熱・電力併給システム(CCHP)やトランス臨界CO2システム等が未来型として有望視されている。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING MAY 2009


全世界の空調機器販売高,700億ドルを突破

 BSRIA(建築設備情報協会)の調査によると,2008年度の世界全体での空調機器の販売高は,前年比で2.5%増加し700億ドルを超えたという。アジア・太平洋地域は最大の販売高を示し全体の40%を占め,次いで米国,欧州の順となっている。
 米国はポータブル型の最大市場となっているが,販売高では欧州が最大となっている。スプリット型(全販売高471億ドル)はインドが最大で,今後数カ年間にわたり年率40%という大きな伸びが予想されている。
 チラー部門は昨年は低調で台数で2%,販売高で6%の下落となったが,ターボは例外的に伸びて190億ドルを売り上げた。今後,インド,UAE,サウジアラビアでの伸びが期待されている。エアサイド部門は8%増の660億ドルを達成した。

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING MAY 2009

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