今回はヨーロッパとイスラム圏を結ぶ上で重要な役割を果たす国、トルコです!ダイキン工業の今泉様にトルコ駐在記のご寄稿いただきました。では早速、前編スター
2020年度 省エネ大賞
経済産業大臣賞 シャープ株式会社
No.676 2021年5月
製品・ビジネスモデル部門
空気清浄機搭載家庭用エアコン「Airest(エアレスト)」
1.はじめに
近年、空気への関心の高まりから、エアコンに対して「空気の浄化」「内部の清潔性」が求められる傾向がある。また、エアコン内部に付着・発生するホコリやカビは、部屋に汚れた空気を出すだけではなく、送風効率の悪化につながり、省エネ性能の低下を招く原因となっている。そこで、当社は、従来のエアコン構造を一から見直し、“空気清浄機としても使用できる”、“構造でエアコン内部の清潔を保ち(細かいホコリを入れない、エアコン内部を高湿にしない)省エネ性能を維持する”をコンセプトとして製品開発に取り組み、業界で唯一※、日本電機工業会が定める空気清浄機の基準(JEM1467)を満たした家庭用エアコンとして発売。その特徴について説明する。
※国内家庭用エアコンにおいて。2021年5月現在。
2.製品の技術的特徴
■吸い込み口全面を覆う空気清浄フィルターの搭載を可能とした4連シロッコファン構造
空気清浄機の基準を満たし、内部へのホコリの侵入を防ぐためには、吸い込み口全面を覆う空気清浄フィルターを搭載する必要があるが、空気清浄フィルターは圧力損失が大きい為、従来の静圧が小さい送風機に空気清浄フィルターを取り付けると、風量が50%程度に減少、さらには風を安定して送り出せなくなりエアコンとしての基本機能である冷暖房能力や省エネ性能を満たすことができない。そこで、構造を一から見直し、静圧が大きいシロッコファンを4個配置。吸い込み風速と吹き出し風速が均一になる配置とすることで、エアコンとしての性能を満たす風量を実現。その結果、エアコン内部へのホコリの侵入を従来モデルと比較して99%抑制※することが確認された。
※当社従来モデル<AY-J22D>と<AY-L22P>において、室内機内部に付着したホコリの量を比較。結果<AY-J22D>365.7mg付着、<AY-L22P>1.5mg付着。
<4連シロッコファン構造>
<当社従来モデル> <Airest>
■内部の湿度上昇を抑制する熱交換器吹き付け方式
また、エアコン内部を清潔に保つためには、ホコリだけでなく湿度による結露を抑制する必要がある。従来のエアコン構造は熱交換器が吸い込み口の直下にあり、冷やされた空気がエアコン内部を通るため内部が高湿状態となっていた。本製品は、熱交換器を吹き出し口に配置することで、エアコン内部と部屋をほぼ同じ湿度に保つことを可能としている。
■快適な気流制御を実現する上下両開きロングパネル
しかし、熱交換器に均一に風を当てるため吹き出し口を広くするとエアコンから吹き出される風が面で広がる風となり部屋を循環する気流を作り出すことができない。そこで、大きなパネル構造にすることで、面で広がる風を整流。この上下に開くパネルにより冷房時は上に開き冷気を持ち上げ、また暖房時は下に開き暖気を床面に届ける快適気流を実現した。
3.省エネ効果
前述の空気清浄フィルターによる内部へのホコリ侵入の抑制と、熱交換器吹き付け方式による湿度上昇の抑制によってエアコン内部の清潔を構造で保ち、省エネ性能の維持を可能とした。従来のエアコンは内部が汚れることで風量が低下し、消費電力としては約21%増加するのに対し、本製品では内部の汚れによる風量低下がなく省エネ性能の維持を実現。※また、従来はエアコンと併用していた空気清浄機の電気代を削減することができる。
※エアコン運転状態で、約1年相当のホコリ(約2g)がフィルターに付着するように散布した際に、フィルターを通過するホコリの量を測定し、約10年使用時のエアコン内部へのホコリ侵入量を算出。そのホコリ量がエアコン内部に付着した際の風量低下率を測定し、それと同風量のエアコンを用いて、当社環境試験室にて冷房/暖房運転した際の積算消費電力量を比較。エアコン運転時間、条件は冷房:7時間/日×134日(設定温度26度、室温35度、湿度50%)暖房:7時間/日×159日(設定温度23度、室温7度、湿度50%)積算消費電力量:Airest(AY-L40P):使用初め消費電力量1,125kWh、10年後消費電力量1,125kWh。当社従来モデル(AY-L40D):使用初め消費電力量1,085kWh、10年後消費電力量1,312kWh。
<消費電力量の増加率>(使い方やお部屋の環境により異なります)
4.おわりに
酷暑化等、昨今の環境下においては、エアコンの使用が長期化することが予測される中、当社は、APF数値の向上だけでなく経年使用による省エネ性能の低下の抑制や、IoTを活用した使い方や設置環境などユーザー毎に合わせた省エネ制御など、様々な観点でエアコンの省エネに貢献していきたい。
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以上
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