機関誌「冷凍と空調」 / 2004.2 (NO.513)

海外短信

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21世紀レポート,新規内容に―国際冷凍会議(ICR)にて

 最近開催されたICRの総会には50カ国以上の国から750名を超える専門技術者,科学者らが参加し,席上で現在アメリカが取り組んでいる大掛かりなプロジェクト「21世紀レポート」の最新版が公表された。
 このレポートは,冷凍空調業者が今後10年以内に製品化・サービス化するシステムについて,ビルの居住者に快適さを与えながら,現存するものよりも遥かに省エネルギー性の高いシステムを提供することを目的にしている。今回の会議では,世界中の研究者の重複を避けるために,すでに完了したあるいは進行中のプロジェクトについて,その状況を発表している。
 その中で注目されたのは,次の4つのプロジェクトである。

●スマート冷媒ディストリビュータ
 このプロジェクトは,冷媒の分配を制御することにより,蒸発器における熱伝達を改善することを目的にしている。これまでの研究では,コイル特性を大幅に改善でき,コア容量を40%に削減することに成功している。

●ビル躯体
 「全ビルディング,ビル躯体と空調システムのシミュレーションと設計ツール」と題するプロジェクトでは,各個に設計,最適化されたコンポーネントを組み合わせるのではなく,全体を最適化したビルができれば,現行のエネルギー消費量の10〜30%を削減できるとして,その研究が進められている。

●UVGI(紫外線殺菌発光ランプ)
 この技術は低圧損・非浸透性の技術で,最近問題化しているバイオエアゾルや生物化学兵器に対する特性についての研究が求められている。

●ビル排気
 このプロジェクトでは,ビルの排気口やボイラー等から排出されるガスが,近接する空調システムに与える影響について調査している。空調装置の新鮮空気取入口と装置排気口との関係について,各種の形状についてテストし,排気ガスが再混入する比率や,適切な分離距離を策定することを目的にしている。

[Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Dec. 1]


ARI創立50周年記念式典でエコノミスト明るい展望を

 ARIは,このたび創立50周年を迎え,記念式典が開催された。ここで招かれた商務省主任エコノミストのマーチン・レガリア氏が記念講演を行い「アメリカの経済は,昨年第3四半期に7%の伸びを記録し,GDPも誠に堅調である。このような3%以上の伸びは過去の経済回復と異なり,雇用の拡大が期待できる」と述べ,現在の大量失業は逆に,労働力の不足に転ずると予測している。
 新たに今後2年間会長を務めるトム・ベッチャー氏(コープランド社社長兼CEO)は就任のあいさつで「現ARI会員が製作するセントラルエアコン及びヒートポンプは年間680万台に達し,全米で稼動中のものは6500万台に上っている。これはひとえに,我々が製品に加えてきた改良努力の賜物である」と,その成果を称えている。
 続いて記念行事として作られたタイムカプセルを披露し,100周年には次世代の人々が収納された技術を見て,我々がどのように人類の発展に貢献してきたかを知り驚くだろうとも述べている。今回収納されたものは,

  • 近代空調の祖Dr.ウィリス・キャリアとキャリア社の100年に及ぶ貢献に捧げられた合衆国議会表彰状
  • 1953〜2003年にレノックス社が製作したエアコンディショナの広告
  • ARI作成の「50年にわたるビルディングに関するリーダーシップ」と題するニュース
  • CD-ROMに収められたARI基準及びガイドライン一式

等である。

[Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Dec. 15]


炭酸ガスの危険性に忠告

 古典的な冷媒の炭酸ガスは,オゾン層を破壊しないという特性から代替冷媒として有望視されているが,一方で隠れた危険性について注意を喚起するレポートが発表された。
 1986年にカメルーンのNyos湖で起こった災害は,その規模から最大級の惨事と言えよう。この湖は,約400年前の噴火に伴ってできたクレータの上にあり,深さは210mある。湖底から噴き出す地下水には大量の炭酸ガスが含まれているが,20Barという高圧に押しつけられて湖底の静止層に止まっている。この深層水が地殻変動や火山活動等の刺激を受けると,蓄えられた高圧炭酸ガスが100km/hr以上の猛スピードで湖面に噴き出す。
 8月12日午前9時30分に突然噴出したガスは100万トンにも達し,高さ50mの炭酸ガスの雲となって50km/hrの猛スピードで25kmの谷を下って行った。そして湖面全体は,厚さ1mの炭酸ガスに覆われることになった。この谷に住む住民や動物は,何が起こったのかも分からぬうちに窒息死し,その数は1700名以上に達した。
 この事故以来,湖にはサイホンが設置され,湖底の水を50mの高さから噴き出すようにした。濃度はサイホンの出口でも短時間被ばく許容限度の30000ppmを超えることはなく,湖岸の濃度も500ppm以下に止まり,毎日100トンの炭酸ガスが安全に放出されている。
 このような窒息の危険は,炭酸ガスに限らずどのようなガスにもいえることである。ガス検知装置が毒性,可燃ガスに対してのみ必要と考えることは間違いで,大形設備に対する安全基準には,この点についての配慮が欠かせないと忠告している。

[RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING December]

 

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