機関誌「冷凍と空調」 / 2004.4 (NO.515)

海外短信

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最低エネルギー基準SEER12問題に判決,ARI控訴を検討

 エアコンディショナやヒートポンプの最低エネルギー効率基準について,クリントン政権は2001年1月16日に,それまでの基準値SEER10を30%改善しSEER13とすることを決定,2001年1月22日付で公布した。これに対しARI等は,高効率機器の価格は高騰し,固定収入の一般市民に過大な負担を強いることになると反対意見を提出した。
 このような中,ブッシュ政権がスタートするや2002年5月,突如としてSEERを12とする法案を提出,エネルギー省(DOE)はこれまでの態度を変えてこれを公布してしまった。
 SEER13を推奨してきた自然資源保護協議会(NRDC),10の州自治体,民間保護団体等はこれに対し「DOEはSEER法案を採用するに当たって,適切な手順を踏んでいない」として裁判所に提訴し,審理が行われていた。1月13日,ニューヨーク控訴裁判所は「今回DOEが公布したSEER12の法案は,その時点で効力を持っていた基準SEER13を下回るものであり,このような改悪は禁止されている」とする判決を下した。これにより,2006年1月26日以降に製造される機器はすべて,SEER13をクリアしなければならなくなった。
 この決定に対してARIは「この決定は平均的な消費者に対して,得られるメリットをはるかに上回る支出を促すことになる」とし,裁判所側は今回の決定が法案の内容について決を下したのではなく,手続き上の問題として捉えていることから,次回の控訴巡回法廷で逆転する可能性があるものと見て,控訴することを検討している。
 これに対してエネルギー効率化経済アメリカ評議会(ACEEE)は今回の判決を支持し「これにより,消費者は2030年までに2500億kWhの電力と210億ドルの電力費を節減することができる。これは,電力会社に2万MWのピーク電力向け発電所の建設を不要とし,浮いた資金により将来の電力費を下げることが可能になるばかりではなく,地球温暖化の原因となる炭酸ガスを5000万トン削減することになる」と歓迎している。

[Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Jan. 26]


冷媒の現状と今後について
−使用者側と製造業者で質疑応答−

 冷媒の使用者の抱えている問題点ついて,製造業者の見解を問う試みがAHRN誌主催で行われた。以下,その概要を紹介しよう。

質問1 2003年末に,国連が環境調査局にCFCの密輸についての調査を依頼している。CFCのアメリカでの現状と不法とみなされる製品に対する対応は?
 現状では,CFCの供給には問題はない。どこの卸売業者も十分に在庫を持っているわけではないが,正規の大手業者や製造業者に依頼すれば入手可能である。業界外の不確かな業者等とコンタクトすることはやめるべきだ。

質問2
HCFC-22の供給は?
 HCFC-22の生産制限については各社で定められている。万が一,大手業者の設備に異常が発生する等のトラブルが生じれば別であるが,一般的に,今後10年間は供給の問題はない。さらに,CFCがそうであったように,価格が上昇することにより再生が積極的に行われるようになることからも,大丈夫だと言える。

質問3 現在HCFC-22を使用するシステムを使用しているが,技術者として,今後どのようなHFC類に注目しておくべきか?
 2010年にはR22を使用した新製品の製造が停止されるので,2009年が一つの転機になる。機器の耐用年数は15年以上と見られているが,技術者は常に将来に目を向けているべきだ。代替される冷媒としては空調用にはR410A,冷凍用にはR410A及びR507である。

質問4 冷凍空調コントラクタとして,今後はどのようなHFC冷媒を準備しておかなければならないか?
 フルレンジの冷凍空調コントラクタとして活躍するためにはR134a,R410A,R404A,R507が必要である。同様に業務用,住宅用ユニット向けとしてR401A,R402A,R402B,R408A,R409A等のHCFC冷媒も準備しておく必要がある。

質問5 空調用でR410AがR22を凌駕するのはいつごろか?
 アメリカでは価格差のため遅れているが,日本やヨーロッパでは既に起こっている。R410Aは優れた設計により高効率な機器となっているので,2006年のSEER基準の改定を機に,採用が促進されるものと見られる。そのためにも,今から準備しておかなければならない。

質問6 最近,冷媒としてCO2が注目を集めているが,その理由は?
 ヨーロッパでは一連のロビイストが地球温暖化を軽減する冷媒として推進しているが,CO2はHFCの近未来用の代替冷媒としては,効率の点から扱われていない。1999年にA. D. リトルが行ったエアコンディショナの地球温暖化への影響の試算(漏えいとユニット運転用の所要電力発生のためのものの合計。これを「ライフサイクル気候特性(LCCP)」と言う)はわずかに7%であった。一方,ユニットの効率を20%上げることができれば,地球温暖化を14%も改善することができる。
 したがって,効率の点を無視して単に冷媒の特性だけから影響を云々するのではなく,システム全体から地球温暖化への影響を考えるべきである。この点からCO2の応用は,工業用/業務用に限られると見る。

[Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Feb. 2]

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