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代替フロン等3ガスの排出目標+0.2%に
―第1約束期間の代替フロン3ガスの排出見通し― |
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| 経済産業省の産業構造審議会・化学バイオ部会は11月8日,2010年前後の代替フロン3ガスの排出見通しを発表しました。それによると,民間の一層の努力により,1995年の基準比で現大綱の目標である基準年総排出量対比で2%分増との目標より1.8%分少ない0.2%分増に抑えることが可能であるとしています。ここでは,発表内容について紹介します。 |
| (編集係) |
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1.概要
経済産業省はHFC,PFC,SF6の代替フロン3ガスについて,すでに本誌「地球温暖化対策強化を提言」(8月号)でみてきたように,「地球温暖化対策推進大綱」の目標である基準年総排出量(エネルギー起源CO2を含むCO2換算の総排出量12.37億トン)対比で2%分増の74百万トンに抑えるとの目標達成は可能とみていた。11月8日の産業構造審議会の化学・バイオ部会の発表よると,代替フロン3ガスの排出対策は,産業界の自主行動計画が当初の見通し以上に成果をあげているとし,今後もこの傾向が継続した場合(現行対策ケース)では,2010年前後の排出見通しは経済成長を2%と想定した場合CO2換算で67.3百万トンとなり,1995年の基準年総排出量対比で1.4%分の増と,0.6%分の超過達成を見込んでいる(図1参照)。
また,これまでの各関係業界の自主行動計画は現大綱の排出目標達成を主眼としたものであったが,今回排出抑制対策を見直すにあたり,さらなる削減の可能性を検討し,その結果,現行対策ケースの1.4%分増よりさらに1.2%分削減した0.2%分増の51.7百万トンに押さえることが可能との見通しを示している。現大綱の目標からは,1.8%分の削減となる(図1参照)。
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| 図1 代替フロン等3ガス分野の排出見通し |
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図2 3ガス別排出見通し |
2.現行対策ベースでの見通し
現大綱の達成目標の中で,HFC,PFC,SF6の代替フロン等3ガスのみが増加となっている。これは,温室効果ガスであるとともにオゾン層破壊物質でもあるCFC,HCFCがモントリオール議定書に基づくオゾン層保護対策によって規制され*オゾン層を破壊しない代替フロンHFCへの転換が進んでいるためである。
代替フロン等3ガスの現大綱目標は2%分増であるが,今回の見直しでは,経済成長率1〜3%の前提での排出見通しをCO2換算で61〜74百万トン,基準年総排出量対比で0.9〜1.9%分の増としている。これを2001年1月に閣議決定された「構造改革と経済財政の中期展望」での経済成長率見通し2%で見ると,CO2換算で総排出量67.3百万トン,基準年比1.4%分増となり,目標を達成する見込みとなっている。
これは,(1)産業界の自主行動計画が着実に実施されたこと,(2)個別業界において自主行動計画の目標が常に前向きに見直されたこと等をあげ,産業界の努力を認めている(表1参照)。
*CFCは1996年1月1日以降全廃,HCFCは現在段階的に規制されているところ。
表1 現在の自主行動計画の取組み
| 分 野 |
内 容 |
| HFC等製造 |
2010年の排出原単位削減目標を1995年比でHFC-23:−70%,その他HFC:−14%,PFC:−30%,SF6:−75% |
| 発泡・断熱材 |
2010年HFC使用見込み量よりウレタンフォーム:−20%,押出発泡ポリスチレン:−11.8%,高発泡ポリエチレン:−30%,フェノールフォーム:−68% |
| エアゾール等 |
エアゾール:2010年排出見込み量を30%削減ほか
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| 冷凍空調機器 |
業務用冷凍空調機器:生産工場における2010年度の冷媒漏洩率2002冷凍年度基準で−10% |
| 自動販売機:冷媒充てん時の漏洩量1台あたり0.75以下,使用時のガスリーク故障率0.3%以下,ほか |
| カーエアコン:2010年の冷媒使用量原単位を1995年比の−20%以上 |
| 家庭用エアコン:2010年度の生産時フロン類漏洩率を2002冷凍年度基準で−10% |
| 家庭用冷蔵庫:製造時の排出量を使用量の0.5%,非フロン系断熱材発泡剤の2010年における使用割合100% |
| 洗浄剤・溶剤 |
1995年を基準として2010年の総排出量をGWP(地球温暖化係数)換算で60%以上削減 |
| 半導体等製造 |
半導体:温室効果ガスの排出量を1995年比で10%削減,
液晶:総排出量を2000年以下に抑える |
| 電気絶縁ガス使用機器 |
機器点検時の排出量の割合:1995年実績40%→2005年3% |
| 機器廃棄時の排出量の割合:1995年実績100%→2005年1% |
| 金属製品 |
2010年までに2001年の単位使用量(1t当たり熔解量に対するSF6ガス使用量)以下に削減を図る |
3.追加対策による削減効果
今回,代替フロン等3ガスの排出抑制対策を見直すにあたって,分野ごとの追加的削減の可能性について検討している。その量を合計すると,CO2換算で約15百万トン相当であり,基準年総排出量比で1.2%分程度の削減潜在量が見込まれるとしている。また,この追加対策ケースが順調に推移すれば,2010年前後の排出量は基準年総排出量対比0.2%分増程度となり,現大綱目標の2%分の増加と比較して1.8%分の削減となり,第1約束期間において代替フロン等の排出量全体と比べ,大網の目標に比べ約3割の削減が見込まれるとしている。
  
  
図3 主な分野の見通し
(1)政府
代替フロン等3ガス排出抑制に資する対策として,次のものを掲げている。
- 予算措置
- 脱フロン化技術の開発
- グリーン購入対象化支援
- 排出抑制設備導入の補助
- フロン回収制度の見直し検討
- 予算以外の措置
- 断熱材のノンフロン化の推進
- 業務用冷凍空調機器からのフロン類回収制度の見直し
- 代替フロン等3ガスに関する普及啓発活動の実施
(2)政府及び産業界
政府の追加対策の実施に関しては,対象となる事業者やユーザーの協力なしには効果があがらないとし,関係業界と政府の追加対策を活用した取組みにより,追加的削減可能性を表2のように見込んでいる。
表2 代替フロン3ガスにおける主な追加対策
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可能量 |
内 容 |
| HFC等製造 |
1.0百万
t-CO2 |
HFC23回収設備導入補助及び民間によるさらなる削減努力により,HFCの回収量をさらに増加させると見込む。 |
| 発泡・断熱材 |
3.4百万
t-CO2 |
ウレタンフォーム等断熱材について,ノンフロン品への切り替えを推進(設備導入補助,購入促進策)。結果として,現時点以上にフロン品が増えないものと見込む。 |
| 冷凍空調機器 |
6.8百万
t-CO2 |
自動車リサイクル法の施行により,回収率を最大限(80%)まで上昇させると見込む。 |
| 業務用冷凍空調機器の回収システム導入による冷媒回収率を60%まで引き上げると見込む。 |
| 金属製品 |
4.1百万
t-CO2 |
マグネシウム圧延分野におけるSF6フリー高機能発現マグネシウム合金組織制御技術開発の成果普及及びマグネシウム鋳造分野におけるSF6代替ガスへの転換に伴う設備導入が進むと見込む。 |
4.追加対策の効果試算
経済産業省オゾン層保護等推進室と環境省フロン等対策推進室による,冷凍空調機器の現行対策ケースと追加対策ケースの効果試算を表3に示す。この推計値について,現行対策ケースは産業界の自主行動計画による目標がすべて達成されることが前提であり,また,追加対策ケースは政府の追加対策による効果及び産業界のさらなる努力による効果を見込んだもので,今後の地球温暖化対策推進大綱の見直し作業において,この推計値を前提に目標達成のシナリオを描いていくことになる。
表3 冷凍空調機器の効果試算
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現行対策ケース |
追加対策ケース |
| 見通し値:26.1百万t-CO2 |
見通し値:19.3百万t-CO2 |
| 業務用冷凍空調機器からの廃棄時冷媒回収率 |
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| 28.8% |
(平成14年度の回収量実績1958トン及び環境省15年度調査結果による平成14年の使用済み業務用冷凍空調機器の冷媒保有量6787トンから算出。) |
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業務用冷凍空調機器の回収システム導入により,2008年度からの5年間平均で60%に改善されるとして推計。 → 288万t-CO2削減 |
| 補修用の冷媒の量と回収率 |
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冷媒用フロンの出荷量と機器への初期充てん量の差から業務用冷凍空調機器及びカーエアコンの補修用冷媒の量を推定。補修用冷媒としては,漏洩時の補充及び整備の際の再充てんが考えられ,前者は回収不能,後者は回収可能であり,回収率としては,安全率をみて業務用冷凍空調機器の廃棄時回収率の1/2の14.4%として推計した。 |
補修用冷媒の量は現状対策ケースと同じ方法で推定。回収率は,安全率をみて上記の廃棄時回収率の1/2の30%として推計した。 → 194万t-CO2削減 |
| カーエアコンからの冷媒回収率 |
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| 29.1% |
(14年度の推定フロン回収量246トン及び推定排気量844トンを分母として算出。) |
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自動車リサイクルの施行により,2010年には80%に改善されると推計 → 191万t-CO2削減 |
| 家庭用ルームエアコンからの冷媒回収率 |
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| 67.1% |
(1台当たりの充てん量を800g(平成12年環境庁発行の「フロン回収の手引き」による),回収量を15年度実績の1台当たりの量である537gとして算出) |
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基準ケースと同じ |
| 家庭用冷蔵庫からの冷媒回収率 |
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| 70.7% |
(1台当たりの充てん量を150g(平成12年環境庁発行の「フロン回収の手引き」による),回収量を15年度実績の1台当たりの量である106gとして算出) |
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基準ケースと同じ |
(参考)
主要国の代替フロン等3ガスの冷凍冷蔵・空調機器からの排出状況
(1)HFCの排出量
主要国の2001年の冷凍冷蔵・空調機器からのHFCの排出量は,各国とも増加している。特にフランスは5.9百万t-CO2トンと1995年の基準年の約28倍と際立っており,ついでドイツの4.5百万t-CO2トンで約13倍となっている。また,アメリカ44.1百万t-CO2トン,イギリス3.5百万t-CO2トン,日本2.6百万t-CO2トンも約4倍に増加している(参考表1参照)。 参考表1 主要国の冷凍冷蔵・空調機器からのHFC排出量の推移
| (単位:百万t-CO2) |
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1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
| 日本 |
0.7 |
1.0 |
1.3 |
1.6 |
1.9 |
2.2 |
2.6 |
| カナダ |
0.4 |
0.8 |
0.6 |
0.6 |
0.6 |
0.6 |
0.6 |
| アメリカ |
11.3 |
16.7 |
22.3 |
28.2 |
33.4 |
38.8 |
44.1 |
| イギリス |
0.8 |
1.2 |
1.7 |
2.3 |
2.8 |
3.2 |
3.5 |
| ドイツ |
0.4 |
0.8 |
1.4 |
2.2 |
3.0 |
3.7 |
4.5 |
| スウェーデン |
0.1 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
| フランス |
0.2 |
0.5 |
1.0 |
1.5 |
2.5 |
5.0 |
5.9 |
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(2)2000年における人口一人当たりの排出量
2000年の人口一人当たりの排出量は,日本の1とした場合,アメリカ7.6,フランス4.7,イギリス3.1,ドイツ2.6となった(参考表2参照)。 参考表2 主要国における冷凍冷蔵・空調機器からの人口一人当たりの排出量(2000年)
| (単位:百万t-CO2) |
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排出量
(HFC+PFC)
(1) |
人口
(百万人)
(2) |
排出量/人口
(百万t-CO2/人)
(1)÷(2) |
日本を1とした場合
の相対値 |
| 日本 |
2.2 |
127 |
0.018 |
1 |
| カナダ |
0.6 |
31 |
0.020 |
1.1 |
| アメリカ |
38.8 |
283 |
0.137 |
7.6 |
| イギリス |
3.3 |
60 |
0.055 |
3.1 |
| ドイツ |
3.8 |
82 |
0.047 |
2.6 |
| スウェーデン |
0.2 |
9 |
0.028 |
1.6 |
| フランス |
5.0 |
59 |
0.085 |
4.7 |
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