機関誌「冷凍と空調」 / 2005.10 (NO.533)
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温室効果ガスの排出量,1990年度比7.4%増
―2004年度温室効果ガス排出量速報―

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 2004年度(平成16年度)の温室効果ガス排出量の速報が10月21日,環境省から発表されました。それによると,温室効果ガスの排出量は二酸化炭素換算で13億2900万トンで,前年度比で0.8%の減少となっていますが,1990年度比では7.4%の増加となっています。概要を紹介します。
(編集係)
 
      
1.温室効果ガスの総排出量
   2004年度の温室効果ガスの総排出量(各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数[GWP(注1)]を乗じ,それらを合算したもの)は,二酸化炭素換算で13億2,900万トンで,前年度比0.8%の減少であった。これは,原子力発電所の利用率が前年度より回復(59.7%→68.9%)したことにより,使用電力量の伸びに伴う二酸化炭素排出量が抑制され,ほぼ横ばいで推移したことに加え,電力分野以外の燃料消費量の減少等に伴い温室効果ガスが減少したことによる。
 また,京都議定書の規定による基準年(1990年。ただし,HFCs,PFCs及びSF6については1995年)(注2)の総排出量(12億3700万トン)と比べ7.4%上回っている。

注1) 地球温暖化係数(GWP:GlobalWarmingPotential):温室効果ガスの温室効果をもたらす程度を,二酸化炭素の当該程度に対する比で示した係数。数値は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2次評価報告書(1995)によるもの。
注2) 京都議定書第3条第8項の規定によると,HFCs等3種類の温室効果ガスに係る基準年は1995年とすることができるとされている。
 
<温室効果ガスの排出量の推移>
 
 
2.各温室効果ガスの排出状況
 
<各温室効果ガス排出量の推移>
(百万CO2換算)
 
GWP
京都議定書
の基準年
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
二酸化炭素(CO2
排出
メタン(CH4
一酸化二窒素(N2O)
ハイドロフルオロ
カーボン類(HFCs)
パーフルオロ
カーボン類(PFCs)
六ふっ化硫黄(SF6
1
21
310
HFC-134a:
1,300など
PFC-14:
6,500など
23,900
1,122.3
24.8
40.2
20.2
12.6
16.9
1,242.0 1,195.2 1,228.4 1,239.0 1,213.6 1,247.8 1,259.3 1,251.7
22.1 21.5 21.1 20.7 20.2 19.5 19.3 19.1
41.9 40.6 35.1 37.5 34.6 34.7 34.6 34.6
19.8 19.3 19.8 18.5 15.8 12.9 12.3 9.0
16.9 16.6 14.9 13.7 11.5 9.8 9.0 9.9
14.8 13.4 9.1 6.8 5.7 5.3 4.7 4.5
1,237.0
1,357.5 1,306.6 1,328.4 1,336.2 1,301.4 1,330.0 1,339.3 1,328.8
 
<温室効果ガスの総排出量>
(百万CO2換算)
 
京都議定書
の基準年
2003年度
(基準年比)
2003年度からの
増減
2004年度速報値
(基準年比)
(参考)目標達成計画
における目標*1
(基準年比)
合計
1,237
1,339
(+8.3%)
−0.8%
1,329
(+7.4%)
1,231
(−0.5%)*2
二酸化炭素(CO2
   エネルギー起源CO2
   非エネルギー起源CO2
1,122
1,048
73.9
1,259
(+12.2%)
1,188
(+13.3%)
71.2
(−3.7%)
−0.6%
−0.6%
−0.4%
1,252
(+11.5%)
1,181
(+12.6%)
70.9
(−4.1%)
1,126
1,056
70
メタン(CN4
24.8
19.3
(−22.1%)
−0.8%
19.1
(−22.8%)
20
一酸化二窒素(N2O)
40.2
34.6
(−13.9%)
−0.2%
34.6
(−14.0%)
34
代替フロン等3ガス
   ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
   パーフルオロカーボン類(PFC)
   六ふっ化硫黄(SF6
49.7
20.2
12.6
16.9
26.1
(−48.1%)
12.3
(−39.2%)
9.0
(−28.2%)
4.7
(−72.0%)
−10.4%
−27.0%
+9.8%
−5.8%
23.4
(−53.0%)
9.0
(−55.6%)
9.9
(−21.1%)
4.5
(−73.6%)
51
34
9
8
*1 京都議定書目標達成計画(2005年4月閣議決定)における目標。同計画においては,エネルギー起源二酸化炭素の部門別内訳及び代替フロン等3ガスの内訳は,目標の目安として設定されている。
*2 目標達成計画では,温室効果ガスの排出を基準年比−0.5%に抑制することに加え,吸収源で3.9%確保し,さらに不足する差分について京都メカニズムを活用することで,基準比6%削減することを目標としている。
      
 
<2004年度の各温室効果ガス排出量の部門別内訳>
 
 
注1: 内側の円は各部門の直接の排出量の割合(下段カッコ内の数字)を,また,外側の円は,電気事業者の発電に伴う排出量及び熱供給事業者の熱発生に伴う排出量を,使用電力量及び熱消費量に応じて最終需要部門に配分した後の割合(上段の数字)を,それぞれ示している
注2: 統計誤差,四捨五入等のため,排出量割合の合計は必ずしも100%にならないことがある。
 
      
  (1)二酸化炭素(CO2
   2004年度の二酸化炭素排出量は12億5200万トンで,前年度比0.6%の減少であった。基準年と比べると11.5%の増加で,エネルギー起源の排出量の増加が主な原因となっている。その中でも,運輸部門(自動車・船舶),業務その他部門(オフィスビル等),家庭部門からの排出量が基準年と比べて大幅に増加した。
 
<二酸化炭素の総排出量>
(百万CO2換算)
 
京都議定書
の基準年
2003年度
(基準年比)
2003年度からの
増減
2004年度速報値
(基準年比)
(参考)目標達成計画
における目標*
(基準年比)
合計
1,122
1,259
(+12.2%)
−0.6%
1,252
(+11.5%)
1,126
エネルギー起源CO2
   産業部門(工場等)
   運輸部門(自動車・船舶等)
  業務その他部門(オフィスビル等)
  家庭部門
  エネルギー転換部門(発電所等)
1,048
476
217
144
129
82.2
1,188
(+13.3%)
478
(+0.3%)
260
(+19.8%)
196
(+36.1%)
170
(+31.4%)
85.8
(+4.3%)
−0.6%
−1.1%
+0.7%
−0.5%
−1.1%
−0.5%
1,181
(+12.6%)
472
(−0.8%)
262
(+20.6%)
195
(+35.5%)
168
(+30.0%)
83.5
(+3.8%)
1,056
435
(−8.6%)
250
(+15.1%)
165
(+15.0%)
137
(+6.0%)
69.0
(−16.1%)
非エネルギー起源CO2
   工業プロセス
   廃棄物(焼却等)
   燃料からの漏出
73.9
57.0
16.9
0.0005
71.8
(−3.7%)
47.8
(−16.1%)
23.3
(+37.8%)
0.0007
(+29.4%)
−0.4%
±0.0%
−1.2%
+3.9%
70.9
(−4.1%)
47.8
(−16.1%)
23.1
(+36.2%)
0.0007
(+34.4%)
70
 
 
 
1人当たりの排出量
9.08
8.70
(+12.2%)
−0.7%
9.80
(+8.0%)
 
*1 目標達成計画における目標のうち、エネルギー起源CO2の部門別内訳は目標のめやすとして設定されている。
注: エネルギー起源の部門別排出量は、発電及び熱発生に伴うCO2排出量を書く最終消費部門に配分した排出量。
 
 2004年度の1人当たりの二酸化炭素排出量は9.80トン/人で,前年比8.0%の増加,基準年比0.7%の減少であった。
 
<二酸化炭素排出量の推移>
  1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
排出量
(100万トン)
1,122.3 1,131.4 1,148.9 1,138.7 1,198.2 1,213.1 1,234.8 1,242.0 1,195.2 1,228.4 1,239.0 1,213.6 1,247.8 1,259.3 1,251.7
1人当たりの排出量
(トン/人)
9.08 9.12 9.23 9.13 9.58 9.66 9.81 9.84 9.45 9.70 9.76 9.53 9.79 9.87 9.80
 
  (2)メタン(CH4
   2004年度のメタン排出量は,二酸化炭素換算で1910万トンで,前年度比0.8%の減少となった。基準年比では22.8%の減少で,石炭採掘に伴う排出量の減少が主な要因である。
   
  (3)一酸化二窒素(N2O)
   2004年度の一酸化二窒素(亜酸化窒素)排出量は二酸化炭素換算で3,460万トンで,前年度比0.2%減であった。基準年比では14.0%の減少で,アジピン酸製造に伴う排出量の減少が主な要因である。
   
  (4)ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)
   2004年度のHFCs排出量は二酸化炭素換算で900万トンであり,前年度と比べ27.0%減少した。基準年(1995年)比では55.6%減少となっており,HCFC22の製造時の副生物による排出が前年度より大幅に減少した。
   
<HFCs排出量の内訳>
(百万CO2換算)
 
京都議定書
の基準年
2003年度
(基準年比)
2003年度からの
増減
2004年度速報値
(基準年比)
合計
20.2
12.3
(−39.2%)
−27.0%
9.0
(−55.6%)
HCFC22製造時の副生HFC23
エアゾール・MDI*
冷媒
発泡
HFC等3ガス製造
半導体製造等
17.0
1.4
0.8
0.5
0.5
0.1
5.0
(−70.4%)
2.6
(+92.2%)
3.4
(+326.1%)
0.7
(+42.9%)
0.4
(−10.6%)
0.1
(−21.8%)
−79.7%
−15.9%
+16.5%
+60.3%
+26.5%
+14.5%
1.0
(−94.0%)
2.2
(+61.8%)
4.0
(+396.6%)
1.0
(+129.1%)
0.6
(+13.1%)
0.1
(−10.4%)
*MDI(Meterd Dose Inhalers):医療用定量噴射剤
 
      
<HFCs排出量の内訳>
 
 
  (5)パーフルオロカーボン類(PFCs)
   PFCs排出量は二酸化炭素換算で990万トンで,前年度比で9.8%増加となり,溶剤の使用に伴う排出が前年度より増加した。基準年(1995年)比では21.2%の減少となった。
   
  (6)六ふっ化硫黄(SF6
   SF6排出量は二酸化炭素換算で450万トンで,前年度比5.8%減,基準年(1995年)比では73.6%減となった。
   

速報値の算定について:
  温室効果ガス排出量の確報値は各種統計の年報値に基づいて算定されるが,現段階では年報値は公表されていないものがある。この速報値の算定に当たっては各種統計の月報値を積算し,月報値がないものについては2003年度値等を代用している。このため,政府としてとりまとめる確報値(2006年4月に報告予定)との間に数%の誤差が生じる可能性がある。また,基準年の排出量の確定に向けて,現在,排出量の算定方法の精査を行っており,来年報告される排出量の確報値には,その結果も反映されることに留意が必要である。


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