機関誌「冷凍と空調」 / 2005.11 (NO.534)
資料紹介
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「フロン回収破壊法」の改正を審議
―経済産業省・環境省が合同会議―

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 フロン回収破壊法(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律)の改正・見直し作業が始まっています。経済産業省では,産業構造審議会の化学・バイオ部会/地球温暖化防止対策小委員会内にフロン回収・破壊ワーキンググループを設置,環境省が中央環境審議会の地球環境部会内に設置しているフロン類等対策小委員会と合同で,業務用冷凍空調機器に冷媒として充てんされるフロン類の回収率を向上させるための検討を始めたものです。合同会議は10月からスタートし,急ピッチで審議を進め,年内に報告書案をまとめ,パブリックコメントを実施,合同会議報告の公表を経て,フロン回収破壊法の改正へと続くことになります。合同会議での配布資料をもとに,議論の状況を紹介します。 
(編集係)
 
<日本におけるフロン類の現状>
●出荷量
   環境省の資料によると,現在,日本におけるフロン類の出荷量は着実に減少している。出荷量のうち約7割が冷媒用となっており,過去に生産され現在も使用されているフロン類の量でも,冷媒用は約7割を占めている。また,HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の出荷が減りHFC(ハイドロフルオロカーボン)が増えていることから,HFCへの転換が進んでいることがわかる。
   
<フロン類の出荷量の推移>
(単位:トン)
  合計
CFC HCFC HFC
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
160,721
111,210
95,578
60,604
45,875
31,749
25,525
4,624
1,411
733
267
135
60
57
57
160,721
111,210
95,578
60,604
45,875
31,749
25,468 48 10
4,557 56 11
1,344 56 12
668 52 12
200 53 15
71 48 16
0 42 18
0 34 23
0 33 24
 
●回収量
   環境省の報告では,2003年度に回収された冷媒フロン類は3674トンで,そのうち業務用冷凍空調機器は1889トンで約5割を占めている。2003年度に廃棄された業務用機器の中の冷媒フロン類の量は6811トンと推測されており,このため回収率は約3割程度と低い水準にあり,回収されなかったフロン類が多量に存在し,大気中に放出されていることが懸念されている。
 これまでの合同会議の資料によれば,回収率が低い水準にある原因として次のことが考えられるとしている。
 
 
1. 廃棄者の問題点
(1) 廃棄者が,自らが回収を発注しなければならないことを認識していない。
(2) 廃棄者が引渡義務を認識していても,フロン類の回収を自ら発注しない又は自ら発注したとしても適切な発注ではない。
(3) 廃棄者や取次業者が契約書や見積書にフロン類回収作業の費用項目を明記していない。
(4) 明記してあったとしても,廃棄者が,フロン類の回収費用を値引きの対象と考えることなどによりフロン類の回収に要する費用を十分支払わない。
   
2. 取次業者の問題点
(1) 取次業者に対する義務が明確にされていないため,取次業者にフロン類回収を確実に発注しなければならないとの意識がなく,ワた,回収の発注がなされない。
(2) 廃棄機器が複雑な処理フローの中で複数の取次業者による手続き経ていく中でフロン類回収の発注や必要となる費用が伝わらない。
   
3. その他の問題点
(1) 機器の廃棄時の回収のみ義務化されているが,整備時の回収については義務化されていない。
(2) 整備時に回収されたフロン類の取扱いが明確にされていない。
(3) フロン類回収業者に十分な能力がない業者があることや,フロン類回収に十分な時間が確保されない場合があることなどにより,回収業者による回収が適切に行われないことがある。
 
 また整備時に関しては,フロン回収破壊法では所有者の引渡義務や回収業者による引取業務,回収量等の報告義務は規定されていないが,条例や協会活動として報告されている都道府県がある。これらによると,整備時にも,相当量のフロン類が回収されている。
 
<冷媒として使用されたフロン類の回収量>
  2002 2003 2004
業務用冷凍空調機器
家庭用エアコン
家庭用冷蔵冷凍庫
自動車
1958
807
234
389
1889
860
287
638
995
311
 
※2002年度の自動車は半年(2002年10月〜2003年3月)分の実績
 
●廃棄量
   環境省から報告された回収された機器からの冷媒用フロン類の廃棄量の推計によると,現在HCFCの廃棄量はピークを迎えている。今後,HFCへの転換が進むにつれHFCの廃棄量が増え,将来現在のHCFCの廃棄量を上回ると予想されている。
   
  <冷媒に用いられたフロン類の廃棄量の推移>
 
 
 このように,廃棄時のフロン回収率が低水準にとどまっていることに加え,使用冷媒のHCFCからHFCへの代替が進んでいることから,今後HFCの排出の急増が見込まれる。
 
●フロン類等抑制等の対策の現状
   冷媒等に使用されるフロン類等のオゾン層を破壊する物質は,1987年に採択されたモントリオール議定書とオゾン層保護法(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律)により,生産量と消費量が規制されている。CFCは1996年にすでに生産等が全廃されている。その代替物質として使用されたHCFCもオゾン層破壊物質であり,2030年には全廃される。
 
<オゾン層破壊物質と温室効果ガス>
 
 
      
  <各ガスのオゾン破壊係数と地球温暖化係数>
 
  物質 主な用途 オゾン破壊係数 地球温暖化係数
オゾン層
破壊物質
CFC
HCFC
ハロン
冷蔵庫,エアコン,断熱材,洗浄剤
冷蔵庫,エアコン,断熱材,洗浄剤
消火剤
0.6〜1.0
0.005〜0.52
3.0〜10.0
3800〜8100
90〜1800
5400
代替
フロン等
HFC
PFC
SF6
冷蔵庫,エアコン,断熱材,エアゾール
洗浄剤,半導体製造
電気絶縁ガス,半導体製造,金属鋳造
0
0
0
140〜11700
6500〜9200
23900
      
 
 CFC,HCFCの代替物質としてオゾン層破壊物質ではないHFCへの転換が進んでいるが,HFCは温室効果ガスとしてCO2(二酸化炭素)などとともに,本年2月に発効した京都議定書により削減が義務付けられることとなった。国内でも,「地球温暖化対策推進法(地球温暖化対策の推進に関する法律)」において,HFCやCO2などの温室効果ガスの排出削減を義務付けている。
 フロン類の大気中への排出を抑制するため,業務用冷凍空調機器(第1種特定製品)に関してはフロン回収破壊法において,カーエアコン(第2種特定製品)に関しては自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)において,使用されている冷媒フロンを大気中にみだりに放出することが禁止されるとともに,機器廃棄時における冷媒フロンの適正な回収及び破壊の実施等が義務付けられている。
 家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)では家電メーカー等に対して家電製品のリサイクルが義務化され,機器のリサイクルと一体的に,ルームエアコンなどからの冷媒フロンの回収等も実施されている。
 一方で,過去に生産され現在も使用されているオゾン層破壊物質が,市中に多量に存在している。また,HFC等の代替物質は,今後も生産・使用され市中に多量に存在することとなる。
 
      
  <フロン類等への各種対策>
 
オゾン層保護
  1985年 モントリオール議定書 ・オゾン層破壊物質の製造等の規制
1988年 オゾン層保護法 ・特定物質の製造等の規制と大気中の濃度の監視
・オゾン層の監視
1998年 家電リサイクル法 ・特定家電4品目からのフロン類の回収
2001年 フロン回収破壊法 ・CFC使用機器からの排出抑制・回収の推進
国家CFC管理戦略 ・使用済自動車からの冷媒フロン類の回収・破壊
2002年 自動車リサイクル法 ・使用済自動車からの冷媒フロン類の回収・破壊
地球温暖化防止
  1994年 気候変動枠組条約 ・大気中の温室効果ガスの濃度を安定化
1997年 京都議定書 ・代替フロン等3ガスの削減
1998年 地球温暖化対策推進法 ・温室効果ガスの排出抑制等
2005年 京都議定書目標達成計画 ・法律に基づく冷媒として機器に充てんされたHFCの回収等
      
 
<業務用冷凍空調機器からのフロン類排出抑制対策>
   冷媒として使用されているフロン類の大気中への排出量を削減することは,オゾン層保護だけでなく,地球温暖化防止の点からも重要である。
 京都議定書の発効に伴い,4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定された。この中で,代替フロン等3ガスについて,目標値を基準年(1995年)比+0.1%(CO2換算で約5100万トン)としている。この目標を達成するための具体的指標のひとつとして,業務用冷凍空調機器からの冷媒フロン類の回収率を2008年からの5年間の平均で60%とすることも定められた。
 これを達成するために,以下の対応の方向性が示された。
   
 
1. 機器の廃棄時
(1) 機器の廃棄者に係るフロン類の適正な回収の強化策:
廃棄者への法制度の周知を図る。
回収作業が適切に発注できるような環境を整える。
廃棄者の責任を明確にし,適正な回収を徹底するために必要な措置を導入する。
(2) 第三者が介在した場合のフロン類の適正な回収の強化策:
廃棄者から機器の処理を含む作業を受注する建物解体業者,リフォーム業者,廃棄物処理業者等の位置づけを明確にする。
フロン類回収に至る流れを関係者が確認できる仕組み等を導入する。
   
2. 機器の修理・整備時
   機器の修理・整備時のフロン回収についても,機器廃棄時のフロン回収と同様の措置を講ずることにより回収・破壊等を推進する。
   
3. その他
(1) 回収業者によるフロン類回収の適正化策:
立入検査の徹底等により事業の適正化を図る。
回収業者の技術水準の確保について検討を行う。
(2) 冷媒のノンフロン化の推進策:
高効率かつ安全な自然冷媒型省エネ冷凍空調システムの技術開発を行う。
安全性の確保をはじめ総合的観点から適切な分野で,温暖化係数のより小さい自然冷媒への転換を促進する。
   
 また,回収促進の面からは,業務用冷凍空調機器を大きく3つのカテゴリーに分け,それぞれに適している措置等として次のように示している。
   
(1) 大型冷凍空調機器…冷凍倉庫の冷凍機器,大規模ビルの空調機器等:既販機器の設置箇所の特定が容易と考えられることから,所有者による届出,冷媒管理の義務化及び回収業者への直接発注とフロン類回収証明書の組合せが有効。また機器中の冷媒量が多いことから,整備時の回収義務付けが重要。
   
(2) 設置の際に設備工事を行う機器((1)の大型機器を除く)…エアコン,冷蔵ショーケース等:既販の市中台数が非常に多いことを考慮しなければならず,機器の廃棄の際には設備業者等に依頼することとなるので,そうした業者を取次業者として位置付けることが有効。また整備時の回収義務も有効。
   
(3) 小型の冷凍空調機器…業務用冷蔵庫,冷水器等:1台当たりの冷媒量が少なく,機器が多種多様で数も多い。機器の廃棄の際には販売店や産廃業者等に依頼することとなるので,そうした業者を取次業者として位置付けることが有効。
   
<今後の予定>
 現在,合同会議報告の素案を作成中であり,次回の合同会議で審議した後,パブリックコメントの実施となる。京都議定書目標達成計画では,「制度面の抜本的見直しを含めた回収率向上対策を講じる」となっており,今後,フロン回収破壊法の改正へと進んでいくこととなる。


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