機関誌「冷凍と空調」 / 2007.8 (NO.555)

資料紹介

back

 

京都議定書目標達成計画を見直し
―環境省・経済産業省の審議会が中間報告案―

 
 
 
3.京都議定書目標達成計画の見直し
 今回の中間報告案では,約束期間の開始を来年度に控えた最後の見直しであり,来年度から着実に削減するため必要な対策・施策の追加・強化を適切に行い,6%削減約束の達成に確実を期すことの必要性をあげている。6%削減目標を達成するためには,全部門で排出量削減のための一層の取組みが必要であり,特に排出量の伸びが著しい業務部門・家庭部門の対策については,抜本的に強化する必要があるとしている。
 追加的に実施を検討する必要があるとしている主な対策・施策として,以下をあげている。

(1) エネルギー起源二酸化炭素の対策・施策
@ 自主行動計画の推進
   自主行動計画については,すべての省庁が所管業種に対する働きかけを一層強め,特に,現時点で取組みが十分でない業種については,その拡大と強化を図っていくことが必要であるとし,以下の具体的取組みをあげ,本年10月中までに実施すべきであるとしている。
 
  • 自主行動計画を策定していない業種に自主行動計画の策定の働きかけを促進する・・・ぱちんこ,ゲームセンター,信用組合,信用金庫,証券,学校,病院,情報サービス,リース,特定規模電気事業者,家電量販店,大規模展示場,産業廃棄物処理,ペット小売り,新聞
  • 数値目標を持たない業種にCO2排出量等の数値目標の設定を促す・・・生保,通信,放送,外食,倉庫,バス,タクシー,港運,舟艇
  • 省庁によるフォローアップが行われていない業種について,厳格なフォローアップを実施する・・・銀行,生保,損保,ビール酒造,たばこ製造,製薬,生協,LPガス,商社
  • 設定された目標を現時点で既に達成している業種は,現状の実績以上のより高い目標値の設定を促進する・・・食品製造,化学,石油,セメント,トラック,住宅生産
  • 目標となる水準をまだ達成していない業種には,今後の対策内容とその効果を可能な限り定量的・具体的に示すなど,目標を確実に達成するための取組みを求める。
  • 原単位のみを目標指数としている業種は,CO2排出量についても合わせて目標指数とすることを積極的に検討する。
   
A 民生(業務・家庭)部門関連
   民生部門については,住宅・建築物の省エネ性能の向上や評価・表示の充実など,以下の対策を実施すべきであるとしている。
  ○住宅・建築物
 
  • 中小規模や既存の住宅・建築物も含めたより実効的な法的規制・誘導策を検討する。
  • 共同住宅の専有部分,戸建住宅について,建築設備を住宅の省エネ評価の対象に追加し,住宅・建築物とともに,運用時も念頭において建築外皮と建築設備を総合化した省エネ評価手法を開発する。
  • 既存ストックの省エネ改修を進めるため,費用対効果の高い改修方策・評価方法,税制優遇措置等によるインセンティブの付与方策等を検討する。
  • 個々の建物だけではなく,複数の建物からなる街区レベルや地区レベルでのエネルギー対策や,まちづくり全体でのエネルギーの運営管理等を行う。
  ○機器対策
 
  • 個別機器やシステムの効率をさらに向上させるための省エネ技術を開発する。
  • トップランナー基準の対象機器の拡大や目標値を強化する。
  • 待機電力の削減等を促進する。
  • 税制優遇措置等を通じて,業務用部門の省エネ設備等の導入を促進する。
  ○産業・業務部門の省エネ対策
 
  • 共通の取組みが可能な一定規模以上のチェーン店等について,一括した取組みの強化を検討する。
  • 中堅・中小企業や一般消費者に対し,省エネ支援の取組みの促進及びESCO事業の一層の活用を検討する。
  ○その他
 
  • 「1人1日1kg」の温室効果ガス削減をモットーに,省エネ機器の普及促進,クールビズの定着,ゴミの減量,白熱球の蛍光ランプへの交換などを推進する。
  • 省CO2効果が目に見えるかたちで消費者等に把握できるように環境家計簿の活用,製品等におけるCO2排出量の表示等を推進する。
 
B 運輸部門関連
   運輸部門の対策としては,公共交通機関の利用や物流の効率化など,以下のような対策が必要であるとしている。
 
  • クリーンエネルギー自動車の普及やエコドライブの普及を促進する。
  • 円滑な都市内物流を実現する。
  • 「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき,地方鉄道の活性化など地域住民の移動を確保する。
  • 都市部において,LRT(Light Rail Transit:次世代型路面電車)やBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)を導入する。
  • 乗り継ぎの改善等についての総合的な支援を行う。
  • 通勤,営業,出張に伴う温室効果ガス排出量の低減に向けた取組みを強化する。
  • コンパクトな街づくり等交通需要管理施策を促進する。
  • モーダルシフトを一層推進する。
 
C 産業・エネルギー転換部門関連
   産業・エネルギー転換部門として,新エネルギー対策や中小企業の排出量の削減など,以下の対策の推進が必要であるとしている。
 
  • 太陽光発電・太陽熱利用・風力発電等の導入支援策を充実させる。
  • 全国の官庁施設における太陽光発電・建物緑化等のグリーン化を集中的に推進する。
  • 道路空間における太陽光発電の活用等を促進する。
  • バイオマス燃料の普及を促進する。
  • 上下水道における小水力発電等の活用や下水道における固形燃料化等による汚泥の利用を推進する。
  • 上下水道分野の地球温暖化対策の徹底に向けて,省エネ対策に資する新技術の開発,省エネ機器の導入,処理プロセス全体の最適化等,省エネ対策を促進する。
  • 中小企業の排出削減設備の導入に対し,資金面での公的支援を一層充実させる。
  • 大企業の技術・資金等を提供して中小企業等が行った排出削減量を,自主行動計画等の目標達成のために活用する仕組みを構築する。

(2) 非エネルギー起源二酸化炭素,メタン及び一酸化二窒素の対策・施策
  • 3Rのさらに推進する。
  • 廃棄物発電・バイオガス発電・熱回収等の施設整備,車両対策,排出事業者による有機性廃棄物の埋立抑制等を推進する。
  • 一般破棄物・・・プラスチックの分別収集を推進する。
  • 産業廃棄物・・・産業廃棄物処理業者の業界団体による自主行動計画の策定と産業廃棄物排出事業者の業界団体による自主行動計画の見直しを進める。

(3) 代替フロン等3ガスの対策・施策
 代替フロン等3ガスについては,産業界による排出削減計画の目標を達成し,さらに目標を引き上げた分野もあるなど対策の効果が上っているとした上で,以下の対策の必要性をあげている。
  • 排出量削減の計画のフォローアップにより,各業界の目標達成の蓋然性の向上を図る。
  • 代替ガスの実用化や排出抑制設備の導入促進等に対する事業費用の支援等を進める。
  • 冷媒等は今後,排出の増加が見込まれる分野があり,ノンフロンへの転換のための技術開発やノンフロン技術の普及等を進める。
  • 改正フロン回収破壊法の普及啓発を行う。
  • 現場設置型機器やカーエアコン使用時の冷媒漏えい対策に向けた実態把握等を推進する。
  • 必要に応じ管理体制を強化し,液体PFC等の適正処理対策を推進する。

(4) 吸収源の対策・施策
  • 森林吸収量確保のため,国産材利用を通じた適切な森林整備,森林を支える活き活きとした担い手・地域づくり,都市住民・企業等幅広い森林づくりへの参画など,間伐等の森林整備の加速化を図るための支援策を推進する。
  • 都市緑化を引き続き推進する。

(5) 京都メカニズムに関する施策・施策
  • 京都議定書の約束達成不足差分について,京都メカニズム(CDM(クリーン開発メカニズム)),JI(共同実施),排出量取引の仕組みであるGIS(グリーン投資スキーム)により対応する。
  • 必要なクレジットを取得する。
  •  今回の中間報告案では,最終報告に向けて検討すべき事項として「国内排出量取引」と「環境税」があげられており,総合的に検討していくべき課題として残された。
top