<オゾン層保護対策の経緯>
| ●オゾン層の破壊 |
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フロンは人体に毒性がないという特性を持つため1960年代以降,エアコンや冷蔵庫の冷媒,断熱材やクッションの発泡剤,半導体や精密備品の洗浄剤,スプレーの噴射剤などさまざまな用途に大量に消費されるようになった。しかし1974年,フロンがオゾン層を破壊してしまう可能性が指摘され,1982年には日本の南極隊により世界で初めて南極上空のオゾンの極端な減少が観測された。
1985年,南極にオゾンホールが観測された。オゾンホールの面積は1980年代前半から1990年頃にかけて急激に大きくなった。オゾン層の破壊が進むと皮膚がんや白内障など人体への影響がもたらされ、動植物の発育への影響も大きくなってくる。2006年の調査では,オゾンホールの面積が最大となった。
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<オゾンホールの面積>
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| ●モントリオール議定書の経緯 |
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オゾンホールの発見後,オゾン層の保護を目的として,アメリカではエアゾール噴射剤へのフロンの使用を段階的に禁止し,ヨーロッパではCFC-11とCFC-12の生産能力を凍結し使用を削減,日本においてはCFC-11とCFC12の生産能力の凍結と使用削減が勧告されるなどの処置がとられた。さらにオゾン層保護の国際的な取組みとして,1985年には「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が採択された。ウィーン条約により,@オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護するために適当な措置をとること,A研究及び組織的観測などに協力すること,B法律,科学,技術などに関する情報を交換すること,などが規定された。
1987年,ウィーン条約に基づきモントリオール議定書(オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書)が採択され,@オゾン層破壊物質の削減スケジュール,A非締約国との貿易規制,B最新の科学,環境,技術及び経済に関する情報に基づく規制措置の評価及び再検討などの具体的な規制措置等が定められた。同年5月には第1回締約国会合がヘルシンキで開催され,特定フロン(CFC-11,12,113,114,115)の2000年全廃を決定した。
議定書の採択後,オゾン層の破壊が予想以上に進んでいることが判明した等のことから,1990年にロンドン改正,1992年にコペンハーゲン改正,1995年にウィーン調整,1997年にモントリオール改正そして1999年に北京改正と,5回にわたり規制を強化するための改正・調整が行われてきた。 |
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<オゾン層破壊物質の消費量>
 |
| ・ |
ロンドン改正 |
:規制物質の拡大などを含む規制強化が決定した。 |
| ・ |
コペンハーゲン改正 |
:HCFC,HBFC(ハイドロプロモフルオロカーボン),臭化メチルが規制対象となった。また,CFCなどの1996年全廃を骨子とする大幅な前倒しが決定した。 |
| ・ |
ウィーン調整 |
:先進国におけるHCFCの規制が強化され,2020年以降の消費が既設機器の整備用に限定された。臭化メチルの全廃スケジュールが決定した。また,発展途上国におけるCFCなどの規制スケジュールも決定した。 |
| ・ |
モントリオール改正 |
:臭化メチルの貿易規制強化等が決定された。 |
| ・ |
北京改正 |
:HCFCの生産量が規制され,先進各国のCFC管理戦略の策定と提出が決定した。また,プロモクロロメタンが新たに規制対象となった。 |
2007年3月現在の締約国数は,190カ国及びEUとなっている。
<モントリオール議定書による先進国の規制強化の推移>
| 規制物質 |
基準年 |
規制開始 |
規定時
(1987) |
ロンドン
(1990) |
コペンハーゲン
(1992) |
ウイーン
(1995) |
モントリオール
(1997) |
北京
(1999) |
| CFC-11等 |
1986 |
1987.7〜 |
1998〜
50%以下 |
2000〜全廃 |
1996〜全廃 |
|
|
|
| ハロン |
1986 |
1992.1〜 |
1992〜
100%以下 |
2000〜全廃 |
1994〜全廃 |
|
|
|
| その他CFC |
1989 |
1993.1〜 |
− |
2000〜全廃 |
1996〜全廃 |
|
|
|
| 四塩化炭素 |
1989 |
1995.1〜 |
− |
2000〜全廃 |
1996〜全廃 |
|
|
|
| 1,1,1-トリクロロエタン |
1989 |
1993.1〜 |
− |
2005〜全廃 |
1996〜全廃 |
|
|
|
| HCFC |
1989 |
1996.1〜 |
− |
− |
2030〜全廃 |
2020〜全廃
(消費量) |
|
2004〜100%以下
(生産量) |
| HBFC |
− |
1996.1〜 |
− |
− |
1996〜全廃 |
|
|
|
| 臭化メチル |
1991 |
1995.1〜 |
− |
− |
1995〜
100%以下 |
2020〜全廃 |
2005〜全廃 |
|
| プロモクロロメタン |
− |
2002.1〜 |
|
|
|
|
|
2002〜全廃 |
●フロン類の規制と対策
モントリオール議定書の5回の改正を経て,現在先進国においては主なオゾン層破壊物質については全廃となっている。また,途上国に対しては削減スケジュールの実施に猶予期間が設けられており,1999年より特定フロンの規制が開始されるなど逐次規制が開始されている。
先進国については,エアコンや冷蔵庫などの冷媒として使用されていたCFCに関しても,1996年に全廃されている。CFCはモントリオール議定書採択前からすでに規制が始まっており,その代替としてHCFCが使われていたが,HCFCも破壊力は小さいがオゾン層を破壊するため,1995年のウィーン改正で規制物質に指定された。現在代替フロンとしてオゾン層破壊係数のないHFC(ハイドロフルオロカーボン)が使用されているが,HFCには温室効果が高く,京都議定書の対象物質となっている。
●日本のオゾン層保護対策
日本ではモントリオール議定書の採択を受け,1988年「オゾン層保護法(特定物質の規制などによるオゾン層の保護に関する法律)」が制定され,同年にはウィーン条約とモントリオール議定書へ加入している。
オゾン層保護法は1991年に一部が改正され,1,1,1-トリクロロエタン,その他のCFC,四塩化炭素が製造等の規制物質に追加された。さらに1994年の改正ではHCFC,HBFC,臭化メチルの製造等が規制対象に追加された。
オゾン層保護法に基づきオゾン層破壊物質の生産量及び消費量は削減されてきており,現在,CFCをはじめ,主要なオゾン層破壊物質の生産は全廃された。しかし,過去に生産されエアコンや冷蔵庫の冷媒として出回っているフロンがあり,廃棄時に大気中への排出を抑制することが課題となっている。
「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」は1988年に成立し,リサイクル時のエアコンや冷蔵庫等の冷媒として充てんされているフロン類(CFC,HCFC,HFC)の回収が義務付けられた。
2001年には「フロン回収破壊法(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律)」が成立,業務用空調機器とカーエアコンからフロンを大気中にみだりに放出することを禁止するとともに、機器の廃棄時における適正な回収及び破壊処理の実施等を義務付けた。カーエアコンに関しては,2005年に「自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)」が成立し,自動車リサイクル法に基づき回収・破壊が行われている。
フロン回収破壊法は昨年改正され,行程管理制度が導入されたほか,整備時のフロンの回収も義務付けられた。
フロンの生産規制が始まったのは1989年で,まず特定フロンの規制が開始された。1992年にはハロンの規制を開始,1994年から生産が全廃となった。また,1993年からその他CFCと1,1,1-トリクロロエタン,1995年には四塩化炭素と臭化メチルの規制が開始された。CFC,1,1,1-トリクロロエタン,四塩化炭素は1996年から,臭化メチルは2005年から生産全廃となった。またHBFCは1996年から,プロクロロメタンは2002年から全廃となった。
HCFCについては,消費量は1996年,生産量は2004年にともに基準量を1989年として規制が開始され,2007年には発泡剤向けの生産が全廃されている。
<日本のフロン類の生産・消費の推移>
| <日本におけるオゾン層破壊物質の消費量の推移>
|
(単位:ODPトン) |
|
|
CFC-11,12,
113,114,115 |
ハロン |
その他CFC |
四塩化炭素 |
1,1,1-トリ
クロロエタン |
HCFC |
HBFC |
プロモクロロ
メタン |
臭化メチル |
| 1989年7月〜1990年6月 |
109,916 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 1990年7月〜1991年6月 |
89,056 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 1991年7月〜1992年12月 |
97,989 |
14,786 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 1993年1〜12月 |
47,435 |
7,527 |
788 |
− |
7,546 |
− |
− |
− |
− |
| 1994年1〜12月 |
26,455 |
0 |
136 |
− |
3,973 |
− |
− |
− |
− |
| 1995年1〜12月 |
23,062 |
0 |
135 |
255 |
4,088 |
− |
− |
− |
4,180 |
| 1996年1〜12月 |
-352 |
-2 |
0 |
-670 |
-48 |
4,141 |
0 |
− |
3,421 |
| 1997年1〜12月 |
-173 |
0 |
0 |
-1 |
-55 |
4,152 |
0 |
− |
3,318 |
| 1998年1〜12月 |
-312 |
0 |
0 |
-2 |
-52 |
3,633 |
0 |
− |
3,112 |
| 1999年1〜12月 |
-21 |
0 |
0 |
-1 |
-38 |
3,899 |
0 |
− |
2,746 |
| 2000年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
-1 |
-34 |
3,531 |
0 |
− |
2,564 |
| 2001年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
-1 |
-326 |
3,500 |
0 |
− |
1,702 |
| 2002年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
-4 |
-29 |
2,907 |
0 |
0 |
1,702 |
| 2003年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
-2 |
-19 |
2,810 |
0 |
0 |
969 |
| 2004年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
-1 |
-30 |
1,473 |
0 |
0 |
1,019 |
| 2005年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
-1 |
0 |
1,118 |
0 |
0 |
357 |
| 2006年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
754 |
0 |
0 |
293 |
|
| <日本におけるオゾン層破壊物質の生産量の推移>
|
(単位:ODPトン) |
|
|
CFC-11,12,
113,114,115 |
ハロン |
その他CFC |
四塩化炭素 |
1,1,1-トリ
クロロエタン |
HCFC |
HBFC |
プロモクロロ
メタン |
臭化メチル |
| 1989年7月〜1990年6月 |
119,070 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 1990年7月〜1991年6月 |
101,288 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 1991年7月〜1992年12月 |
109,531 |
20,140 |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
− |
| 1993年1〜12月 |
51,212 |
9,288 |
808 |
− |
7,146 |
− |
− |
− |
− |
| 1994年1〜12月 |
28,392 |
0 |
136 |
− |
4,637 |
− |
− |
− |
− |
| 1995年1〜12月 |
24,347 |
0 |
135 |
2,463 |
5,248 |
− |
− |
− |
3,689 |
| 1996年1〜12月 |
786 |
0 |
0 |
539 |
868 |
4,377 |
0 |
− |
3,009 |
| 1997年1〜12月 |
166 |
0 |
0 |
0 |
1,079 |
4,195 |
0 |
− |
2,905 |
| 1998年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
899 |
3,966 |
0 |
− |
2,741 |
| 1999年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,048 |
4,608 |
0 |
− |
2,420 |
| 2000年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
876 |
3,928 |
0 |
− |
2,259 |
| 2001年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
735 |
3,792 |
0 |
− |
1,571 |
| 2002年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,250 |
3,195 |
0 |
0 |
1,571 |
| 2003年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
596 |
3,145 |
0 |
0 |
883 |
| 2004年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
565 |
1,921 |
0 |
0 |
897 |
| 2005年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
400 |
1,344 |
0 |
0 |
346 |
| 2006年1〜12月 |
0 |
0 |
0 |
0 |
348 |
878 |
0 |
0 |
287 |
|
|