機関誌「冷凍と空調」 / 2008.3 (NO.562)
資料紹介
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業務用エアコンで,18%の改善求める

―省エネ基準中間とりまとめ―
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2.製造事業者等の判断の基準となるべき事項等


(1) 目標年度
 一般的にエアコンディショナーは,モデルチェンジの際にエネルギー消費効率の大幅な向上が行われるため,目標年度までに少なくとも1〜2回程度のモデルチェンジの機会が得られるよう配慮する必要があるとし,次のようにするとしている。

(ⅰ) 家庭用のものについて
 家庭用エアコンディショナーの新製品開発は通常2〜3年程度であることから,今回の検討範囲のエアコンディショナーの次期目標年度は,
@ 直吹き壁掛けのもの: 冷房能力4.0kW以下の目標年度が2010年度としていることから,2010(平成22)年度
A その他のもの: 基準設定から5年を経た時期として,2012(平成24)年度
とすることが適当であるとしている。
 なお,2006年度の出荷台数実績及び区分ごとの構成に変化がないとの前提で,目標年度のエネルギー消費効率は直吹き壁掛けのもの17.8%,その他のもの13.6%,全体では15.6%の改善が見込まれるとしている。
(ⅱ) 業務用のものについて
 業務用エアコンディショナーの新製品開発サイクルは,四方向カセットなどの主力製品については通常3〜4年程度であるが,業務用エアコンディショナー全体でみると,出荷台数が少ないにかかわらず種類が多いため,モデルチェンジのサイクルがより長期的になっているとし,2015(平成27)年度とすることが適当であるとしている。
 なお,2006年度の出荷台数実績及び区分ごとの構成に変化がないという前提で目標年度におけるエネルギー消費効率の改善率をみると,店舗用18.2%,ビル用マルチ19.0%,設備用29.7%,業務用エアコン全体で18.2%の改善が見込まれるとしている。

(2) 区分と目標基準値

(ⅰ) エアコンディショナーの区分
 現行のエアコンディショナーは,
@ 基本機能による区分,
A ユニット形態による区分,
B 冷房能力による区分
に基づきそれぞれの区分ごとに基準が設定されており,家庭用及び業務用では区分されていない。しかし,測定方法の負荷,製品の設計・仕様及び開発期間などが異なるため,今回の基準策定においては,区別して区分を設定するとしている。

(ⅱ) 目標基準値
 目標基準値は,以下に基づき設定するとしている。
@ 目標基準値は,適切に定められた区分ごとに設定する。
A 将来の技術進歩による効率の改善が見込めるものについては,極力その改善を見込んだ目標基準値とする。
B 目標基準値は区分間で矛盾がないものとする。
 なお,家庭用エアコンの区分と目標基準値を表1に,業務用エアコンの区分と目標基準値を表2に示す。

表1 家庭用エアコンディショナーの目標基準値

区分名
ユニットの形態
冷房能力
トップ
ランナー値
改善率
(%)
目標基準値
(APF)
1
直吹き形で壁掛け形のもの
(マルチタイプのもののうち室内機の運転を個別制御するものを除く。)
4.0kW超5.0kW以下
5.4
2.0
5.5
2
5.0kW超6.3kW以下
4.9
2.0
5.0
3
6.3kW超28.0kW以下
4.4
2.0
4.5
4
直吹き形で壁掛け形のもの以外の分離形のもの
(マルチタイプのもののうち室内機の運転を個別制御するものを除く。)
3.2kW以下
5.0
3.0
5.2
5
3.2kW超4.0kW以下
4.7
3.0
4.8
6
4.0kW超28.0kW以下
4.2
3.0
4.3
7
マルチタイプのものであって
室内機の運転を個別制御するもの
4.0kW以下
5.1
5.0
5.4
8
7.0kW超7.1kW以下
5.3
2.0
5.4
9
7.1kW超28.0kW以下
5.4
0.0
5.4

表2業務用エアコンの目標基準値と目標基準値算定式
区分名
 形態及び機能 
室内機の種類
冷房能力
目標基準値及び目標基準値算定式
1
セパレート形で複数組み合わせのもの及び下記の形態及び機能の区分のいずれにも含まれないもの(いわゆる店舗用エアコン)
四方向カセット形
3.6kW未満 E=6.0
2
3.6kW以上10.0kW未満 E=6.0−0.083×(A−3.6)
3
10.0kW以上20.0kW未満 E=6.0−0.12×(A−10)
4
20.0kW以上28.0kW以下 E=5.1−0.060×(A−20)
5
四方向カセット形以外
3.6kW未満 E=5.1
6
3.6kW以上10.0kW未満 E=5.1−0.083×(A−3.6)
7
10.0kW以上20.0kW未満 E=5.1−0.10×(A−10)
8
20.0kW以上28.0kW以下 E=4.3−0.050×(A−20)
9
マルチタイプのもので室内機の運転を個別制御するもの(いわゆるビル用マルチエアコン)
10.0kW未満 E=5.7
10
10.0kW以上20.0kW未満 E=5.7−0.11×(A−10)
11
20.0kW以上40.0kW未満 E=5.7−0.065×(A−20)
12
40.0kW以上50.4kW以下 E=4.8−0.040×(A−40)
13
室内機が床置き形でダクト接続のもの及びこれに類するもの(いわゆる設備用エアコン)
直吹き形
20.0kW未満 E=4.9
14
20.0kW以上28.0kW以下 E=4.9
15
ダクト形
20.0kW未満 E=4.7
16
20.0kW以上28.0kW以下 E=4.7
注1)E: 通年エネルギー消費効率(APF)。
なお,目標基準算定式により算出する際は,小数点以下2桁を切り捨てた小数点以下1桁で表した数値とする。
注2)A: 当該機種の冷房能力(kW)


(3) エネルギー消費効率と測定方法
(ⅰ) エネルギー消費効率
 現行の基準では,エネルギー消費効率に係る指標としてCOPが採用されている。COPは冷房能力(kW)を冷房消費電力(kW)で除して得られる「冷房COP」と,暖房能力(kW)を暖房消費電力(kW)で除して得られる「暖房COP」として表され,冷暖房兼用のものは,冷房COPと暖房COPの平均値となっている。
 しかしこの指標は,インバータ機種が大多数を占めるようになり,必ずしも最適な評価方法ではないと指摘されている。そのため,より実態に適した省エネルギー評価基準であるAPFを新たに採用することが妥当であるとしている。
 なお,既に新基準が策定されている冷房能力4kW以下の家庭用エアコンディショナーでは,すでにAPFが採用されている。

(ⅱ) 測定方法
 測定方法は,家庭用のものはJIS C 9612:2005(ルームエアコンディショナ),業務用のものはJIS B 8616:2006(パッケージエアコンディショナ)に規定する算出方法よるとしている。
 なお,APFは,各製造事業者等が目標年度に国内向けに出荷するエアコンディショナーについて,表1,表2の区分ごとに事業者ごとの出荷台数で加重調和平均した値が目標基準値を下回らないようにしなければならない。
 COPとAPFの比較を表3に示す。

表3 COPとAPFの比較
 
冷暖房平均 COP
通年エネルギー消費効率 APF
計算方法 冷暖房平均COP=(冷房定格COP+暖房定格COP)/2
ここで定格COPとは,定格点における能力(W)をそのときの消費電力(W)で除した値(冷房条件,暖房条件にて評価)
冷房期間及び暖房期間を通じて室内側空気から除去する熱量及び室内側空気に加える熱量の総和(Wh)と同期間内に消費する電力量の総和(Wh)の比
測定点
2点  冷房定格
暖房定格
5点  冷房定格 冷房中間
暖房定格 暖房中間 暖房低温
 
特徴
  • 測定点が2点と少なく,容易である。
  • 定点の効率であり,実使用の代表とはいえない。
  • 測定点が5点と多く,測定時間がかかる。
  • 実使用時に発生頻度が高い,中間性能を考慮して効率を算出するため,実際に近い効率が算出可能。

(4) 表示事項等

(ⅰ) 表示事項
@区分名
A冷房能力
B冷房消費電力
C暖房能力
D暖房消費電力
E通年エネルギー消費効率
F製造事業者等の氏名又は名称
 なお,家庭用のものの表示に関する事項は,家庭用品品質表示法の定めるところによるものであり,@及びEの表示に当たっては,電気機械器具品質表示規程の改正が必要であるとしている。

(ⅱ) 遵守事項

 遵守事項として,以下の7項目をあげている。

@ 冷房能力:JIS B 8615-1又はB8615-2の冷房能力の試験に規定する方法(温度条件はT1とする。)により測定した数値をキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は冷房能力の95分の100以下とする。
A 暖房能力:JIS B 8615-1又はB8615-2の暖房能力の試験に規定する方法(温度条件は標準とする。)により測定した数値をキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は暖房能力の95分の100以下とする。
B 冷房消費電力:JIS B 8615-1又はB8615-2の冷房消費電力の試験に規定する方法により測定した数値をワット又はキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は,冷房消費電力の110分の100以上とする。
C 暖房消費電力:JIS B 8615-1又はB8615-2の暖房消費電力の試験に規定する方法により測定した数値をワット又はキロワット単位で表示する。この場合において,表示値は,暖房消費電力の110分の100以上とする。
D 通年エネルギー消費効率:JIS C 9612:2005及びJIS B 8616:2006の期間エネルギー消費効率算定のための試験及び算出方法により,算出された冷房期間及び暖房期間を通じて室内側空気から除去する熱量及び室内側空気に加える熱量との総和を同期間内に消費する総電力量で除した数値を小数点1桁まで表示する。
E 上記@からDにおいて,定格周波数の違いによって測定される数値に相違が生じる場合には,それぞれの定格周波数ごとに測定された数値を表示する。
F  (1)に掲げる表示事項の表示:消費者が機器の選定に当たり,性能に関する表示のあるカタログ及び取扱説明書等の見やすい箇所にわかりやすく表示する。
 



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