機関誌「冷凍と空調」 / 2009.2 (NO.573)
資料紹介
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自主リコール,消費者の視点から
―リコール促進の共通指針案―

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2.リコール促進の共通指針案の概要

 リコール促進の共通指針は,消費者の視点から望まれるリコールのあり方として,リコールの開始決定や方法の選択等に関する目安や手順,留意点等について定めるもので,迅速,的確なリコールの促進を図ることが目的であるという。

(1) 基本的な考え方
 消費者の視点から望まれるリコールの基本的な考え方として,以下の5点をあげている。

  • 製品,食品,施設・設備の各分野に共通して参考されるものとする。
  • リコールの方法としては,消費者の安全・安心の確保につながる取り組みを幅広くとらえる。
  • 事業者は,消費者の安全・安心に係る情報について適切な収集・分析・評価を行い,その評価に基づいて,適切なリコールを実施する。
  • 事業者は,リコールに関する情報を正確にわかりやすく消費者に伝える。
  • リコール開始を決定した事業者と製造・輸入事業者,流通・販売事業者,点検・修理事業者,部品・原材料供給事業者,設置・施工・管理事業者等の関係する事業者は,適切な連携・協力を図る。

(2) 定義
 この指針で用いられる主な用語の定義を,以下のとおりとしている。

安全: 消費者の生命又は身体に被害が生ずる危険性が,許容可能な水準までに抑えられていること。
リコール: 消費者による消費,使用又は利用される対象品が安全性を欠く場合,その対象品が流通後又は消費者に提供された後に,消費者に生ずる影響を最小限とするために必要となる是正措置。
リコールの対象品: 消費者が消費,使用又は利用の対象となる物品(事業者がその事業として供給する食品や製品,その事業のために利用に供する製品,施設・設備等)で,安全性を欠くもの。
リコールの方法: リコールの対象品による影響を最小限とするために必要となる是正措置の内容。具体的な内容としては,対象品の危険性に関する消費者への情報提供のほか,消費者から対象品を引き取り(代金返還),あるいは交換すること,耐久財や設置・施工を伴う対象品の点検・修理・部品交換を行うこと,流通・販売段階から対象品を収去することなど。
リコールの情報提供:

直接伝達…対象品を購入した特定の消費者に直接に情報提供すること。
広報…新聞やホームページへの社告の掲載,マスメディアを通じた発信,その他様々な媒体によって,一般の消費者を対象として幅広く情報提供すること。

モニタリング: 事業者自らが,リコールの進捗状況を把握すること。

(3) リコールを開始する

@開始の判断
 事業者は,消費者の安全・安心に係る情報の適切な収集・分析・評価につとめ,安全性を欠く対象品によって消費者被害が生じたこと,あるいは生ずるおそれがあることを認めた場合,リコールの開始を決定するとしている。またリコールの開始の判断は,被害の大きさ,多発性,単品不良など被害の性格,製品に起因する,消費者の使い方に起因するなど被害発生の原因に応じて,迅速・的確に行うとし,具体的目安として次の2点をあげている。

クラスT: 死亡,重篤,ないし不可逆的な被害の発生,もしくはそのおそれがある場合,特に速やかに開始の判断を行う。
クラスU: 軽度,治癒可能な被害の発生,もしくはそのおそれがある場合,拡大可能性,多発性,特異性などの要素をも勘案して,速やかに開始の判断を行う。

 リコールの開始の決定に際しては,乳幼児,妊婦,胎児,高齢者,障害者が被害者である場合,傷害の程度が重症となる傾向があることなどから,通常より危険度を高く評価するとしている。また,事業者の想定しない消費・使用・利用方法によって被害が生じたと考えられる場合でも,被害の大きさや頻度を踏まえたうえで,事業者はリコールを実施するほか,対象品の構造の変更や,警告表示を改訂してより具体的な注意情報を提供するなどの改善措置をとり,被害発生の要因の除去につとめることとしている。

A開始の判断主体
 リコール開始の判断を行う主体として,基本的には食品・製品分野では最終品製造・輸入事業者,施設・設備分野では管理事業者をあげている。ただし,OEM(相手先商標製品供給)製品やPB(プライベート・ブランド)製品については,販売・流通事業者や製造・輸入事業者がリコールの開始の判断を行うとしている。
 また,複数の事業者が関係している場合は,事業者間での連携・協力に努めるとしている。

B実施体制
 リコールを決定した場合,経営責任者の判断のもと,速やかに実施の体制を整えるとしている。また,事業者は,リコールが必要となる場合に備えて,日頃から事業活動の中で準備しておくことが望ましいとし,リコールの開始決定から終了までの一連の手順を文書化することや,重要な情報が経営責任者に迅速に伝わる仕組みの構築などをあげている。

(4) リコールを徹底する

@リコール方法の最適化
 リコール方法の選択は,危険性の程度や拡大可能性,被害発生の原因などに応じて適切に行われる必要があるとし,具体的な目安として,以下をあげている。

クラスT: 消費者に危険性を緊急に知らせ,使用の中止や廃棄を呼びかける。また,消費者の手元からの引き取り・交換を行うほか,耐久財や設置・施工された対象品については緊急の点検・修理・部品交換を行い,危険性の除去を行う。この場合,緊急点検等は,事業者が訪問して行う。
クラスU: 消費者に危険性の程度や正しい使い方などについて情報提供する。また,流通・販売段階から対象品を収去し,必要に応じて点検・修理・部品交換を行う。

 さらに,選択した方法を計画的に実施するため,リコール実施計画を作成し,それに沿ってリコールを実施するとしている。

Aリコールの情報提供
 リコールの情報提供は,消費者や対象品の特性,情報提供の内容等に応じて,直接伝達,広報等適切に選択して組み合わせ,情報提供の内容を具体的にわかりやすく伝えるとしている。また,新聞社告をする場合,文字の大きさ,対象品・危険部位・型式表記のイラスト・写真,対象品の見分け方(特定方法),危険性の有無と程度,事故防止のため消費者に緊急に求める行動,問い合わせ先などを,わかりやすく記載するなどの工夫が必要であるとしている。
 また,マスメディアの利用には多額の費用を要するため,リコール保険制度の整備,普及の促進など,関係者により環境整備の取り組みが必要であるとしている。

Bモニタリング
 事業者は,リコールを開始した後,適時モニタリングを実施し,実施計画上の目標に向けた進捗状況のほか,リコール開始後の事故発生の状況,消費者への情報の浸透度などを把握することとしている。

(5) 関係者間の連携・協力

@事業者団体
 事業者団体について,リコールの開始の判断や実施について会員事業者の相談に応じ,情報提供や助言などを行い,サポートすることが重要であるとしている。
 また,日頃から事業分野の物品の安全性に関わる情報を収集・分析し,団体内での共有に取り組むほか,消費者に対する情報提供に取り組むことが望ましいとしている。

A消費者団体
 消費者団体について,事業者・事業者団体からリコールに関する情報を得て,対象品の危険性その他の情報を収集し,消費者へのわかりやすい情報提供に協力することが望ましいとしている。
 また,事業者や事業者団体,海外の消費者団体と連携・協力してリコールに関する情報を収集し,消費者へ情報提供するなどの活動の強化・拡大が期待されるとしている。

(6) リコールを終了する

@リコール終了の意思決定
 事業者は,リコール対象数の達成,リコール実施期間の経過等の実施計画上の目標達成を目安として,リコール開始後に事故が発生していないことを確認のうえ,社内の実施体制を解除する(実施計画上のリコールの終了)としている。また,リコールの対象品が市場や家庭に残っているとみられるときは,引き続き,消費者からの問い合わせに対応するなどのフォローをする体制をとることが望ましいとしている。

A検証
 事業者は,リコール終了後,以下のような項目について検証を行うこととしている。

  • 事故情報の収集・分析は適切だったか
  • リコール開始の意思決定はスムースに行われたか
  • 実施体制は十分だったか,経営責任者の関与は必要十分だったか
  • 方法の選択は適切だったか,より効果的な方法はなかったか
  • 実施計画上の目標達成に向けた取り組みは迅速に進められたか,関係者との連携協力は適切に行われたか
  • 消費者への対応において問題やトラブルはなかったか,情報提供は適切だったか
  • 終了及び終了後のフォローは適切だったか

(7) その他

 この指針を参考に,未整備な分野について,対象分野ごとの特性に応じた指針を官民の協働により作成するとしている。また,望ましいリコールのあり方は,技術,経済社会のあり様や,消費者,事業者の意識などによって変化するため,適時適切に改訂される必要があるとしている。

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