機関誌「冷凍と空調」 / 2009.5 (NO.576)
海外短信
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住宅のエネルギー効率化推進を目的に非営利団体を設立

 ビルディング性能学会(BPI:The Building Performance Institute)は,住宅のエネルギー効率改善の普及を目指して新たに設立された非営利団体“エフィシエンシー・ファースト(Efficiency First)”のスポンサーとして活動していくことになった。エフィシエンシー・ファーストは全米1億2800万戸の住宅を改善するため,全国規模でインフラを整備することを目標にし,エネルギーの海外依存の削減,住宅所有者の快適性・健康度・安全性・財務の健全性の改善等と併せ,クリーンエネルギー技術の革新支援を目的としている。
 この目的を達成させるため,会員は気候変動との戦いの第一線で活躍するコントラクタから製品製造業,各種ベンダー,計画管理者,政策作成者,インセンティブ提供者等,住宅性能関連業界にかかわる人々すべてにより構成されている。
 空調用として消費するエネルギーは,家庭用エネルギー消費の41%に当たる。住居用ビルで年間に消費するエネルギーは全米の電気消費量の36.5%,全米で排出するCO2の21%に相当する。また,平均的な家庭が年間に消費する電力量は1万700kWh,天然ガスは830サーム(therm(th):1サーム=約2.29m3)に達し,これを生産するために26トンのCO2を発生させている。もし住宅の効率を25〜50%改善できれば,全米のCO2排出量の5〜10%を節減でき,30年償却の製品では使用期間全体で2万1000〜3万8000ドル削減できる。
 住宅の効率化には,住居者へのインタビュー,赤外線サーモグラフィ,エネルギー請求書の調査,ダクトの検査,燃焼・バックドラフトの検査,断熱状況の調査,空調システム・応用製品の検査等により住宅が抱える諸問題を調べ,オーナーが自己の財務上のペースで改良できる計画書を作成し,援助を行うこととしている。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News March 2 2009

業務用CO2カスケードシステム,米スーパーマーケットに初登場

 アメリカ大手スーパーマーケットチェーンのプライス・チョッパーは設備業者のヒル・フェニックスと共同で,ニューヨーク州サラトガ店に全米で初めて業務用CO2カスケードシステムを採用した。今回採用されたシステムでは,R404Aを使用した中温用冷凍システム(乳製品,飲料水冷却用のプロピレン・グリコールの冷却も行う)によりCO2ガスが冷却・凝縮され,冷凍食品・アイスクリームの冷却に向けられる。
 ヒル・フェニックスは,2006年以来CO2を二次冷媒とするシステム“SNLT2”をテストしていたが,プライス・チョッパー側は最新のシステム“SNLTX2”の採用にこだわった。そのほかにも高効率ECMモーター,すべてのショーケースにLED照明を採用する等,現時点で可能な最高の省エネ化を求めた。サラトガ店では今後数カ月間実績を調査し,他の店舗への採用も考慮している。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News March 9 2009


景気刺激政策にHVAC業界,大きな期待

 オバマ政権による経済刺激の一括法案が2月13日に,また2009年アメリカ経済回復・再投資法(ARRA:American Recovery and Reinvestment Act of 2009)が2月17日に署名された。総額7890億ドルに上る政府支出により,今後2年間に350万の職が確保される見通しである。政権側では免税,私的分野でのインセンティブ,国全体のインフラに焦点を当てた公的分野での投資等を促進することにより,成果が得られると期待している。
 政権側は,国家のインフラ整備に1500億ドルを投ずることにしているが,これは1950年代に州間高速道路を建設して以来の高額投資である。教育部門や芸術部門でも各種のファンドを得ようとしているが,当面の急務はエネルギー効率の改善,合衆国政府機関のエネルギー消費削減,低所得者住宅の気密化,各州へのエネルギー効率改善等に当てられるべきである。また,既存の住宅やシステムの高度化,公的ビルや学校の改良のための合衆国政府,各州,各市へのファンドの提供等が準備されている。
 HVAC業界でも,これらの施策により税クレジットによる製品販売の支援や高効率製品への需要の増加が得られると大きな期待を抱いている。
 アメリカ冷凍空調暖房工業会(AHRI)では政策起案者側のこの業界への見方が変化した証と見ており,良き国を再建するためには,我々の提供する省エネ策を活用することが賢明なやり方であると,この措置に大きな期待をかけている。
 今回の施策では,これまでセントラルエアコンやヒートポンプに対して300ドル,ファーネスに対しては150ドル止まりであった税クレジットが,高効率機の設置には増加費の30%(最高1500ドル,2009及び2010課税年度の時限措置)に拡大され,さらに代替エネルギーや住宅用空調設備に対する税クレジットの上限額2000ドルも撤廃された。また,新たに風力,地熱利用,住宅用太陽熱利用システムについても,全設置価格の30%まで税クレジットが認められることになった。
 一方,これまでのエネルギー税クレジットも変更されることになった。スプリット型エアコンやヒートポンプ効率レベルが向上した(2009年版CEE基準)ことにより,適用範囲が変更され,年間燃料利用効率(AFUE:Annual Fuel Utilization Efficiency)が95%以上のガスファーネス,同90%以上の油焚きファーネス,16SEER/13EERのセントラルエアコン,15SEER/12.5EER/8.5HSPFのスプリット・ヒートポンプ等が対象として認められた。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News March 16 2009


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