機関誌「冷凍と空調」 / 2009.7 (NO.578)
海外短信
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不況下でも地熱利用設備に脚光

 米国では化石燃料の価格高騰と,これに対処するためにとられたオバマ政権による各種の優遇策により,再生利用エネルギー資源—太陽熱,風力などと同様に,地熱利用設備に対する関心が高まっている。
 これまで,業務用分野では地熱利用設備に対する関心はあまり高くなかったが,今年2月“連邦景気刺激法案(the Federal Economic Stimulus Bill)”が通過し様相が一変した。この法案により地熱利用ヒートポンプ(GHPs:Geothermal Heat Pumps)も省エネ対象となり,設置者に対して10%の財産税クレジットと5年間の特別減価償却が認められることになった。さらに2008年と2009年に設置した者には,50%の追加減価償却が与えられる。これにより,GHPsはビルのオーナーや管理者にとって,大変に魅力的なものとなった。GHPsの運転コストや保守費用が,通常の設備と比べ30〜50%削減できることは分かっていたが,設備費用がかさむため,関心が低かった。
 エネルギー消費量が減少するため,電力会社にも大きな影響を及ぼす。発電設備の新規増設が不要になるなど,その影響は大きい。
 結果としてGHPsの売上高は伸びている。学校,軍施設,政府関連オフィスビル等に向けて重点的に活動した業者などは,昨年度売り上げを30%伸ばした。GHPsの設置は過去3年間で倍増しており,業務用分野では,今後,最も大きな伸びが期待されるという。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News May 4 2009

オバマ大統領,業界代表と経済回復・再投資法の効果について懇談

 オバマ大統領は今年2月に発効した2009年アメリカの経済回復・再投資法(ARRA:American Recovery and Reinvestment Act of 2009)で定めている新規住宅購入者に対する税クレジット等がどのように効果をあげ始めているかを問うため,各種業者から8人の代表者を選び,ホワイトハウスで45分間にわたり会談を行った。HVAC業界からは,バージニア州配管・暖冷房コントラクタ協会の州代表アラン・ギブンズ氏が参加した。
 同氏の会社では地熱利用設備に与えられる税クレジットを利用し,今年91%増という画期的な成果をあげている。メリーランド州が提供する各種奨励策(3トン以下の地熱利用設備に対する1000ドル/トンの支援,売上税の免除,ある郡が提供する資産取得税の5000ドルの免除等)の活用が,この成果に寄与していると報告している。
 ギブンズ氏は販売を開始するに当たり,カリフォルニア州バークレー市が行っている奨励策を慎重に検討した。この奨励策は,エネルギー効率化設備を導入する人に対して,認定業者を使うことを条件に,市が設備費の全額を補助するというものである。援助を受けた者は,最長20年のローン(率7.5%)が与えられ,資産所得税で返済する。これをヒントに同氏は各種公共自治体が提供する奨励策の利用を検討した結果,事業の85%がこれら奨励策によるものとなり成功を収めたとし,自治体が提供する奨励策を積極的に活用するよう各業者に提案した。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News May 11 2009


米国議会上院,HFC冷媒の生産削減等規制を検討中

 地球温暖化対策として塩化ふっ化系冷媒の使用制限を強く主張する欧州勢に対して慎重に対処すべきだとの態度を示してきた米国で,HFC系冷媒の生産を制限すべきだとする提案が上院で作成され,注目を集めている。これは「アメリカ・クリーンエネルギー及びエネルギー安全保障法案(ACES:the American Clean Energy and Security Act of 2009)」と呼ばれる上院のエネルギー・通商委員会のワックスマン委員長とエネルギー・環境問題小委員会のマーケイ委員長が取りまとめたもので,600ページに及ぶ膨大な内容となっている。
 この法案は4部門に分かれており,経済各分野に対してエネルギー効率を改善するほか,地球温暖化対策として,電力・製油・大規模工業関係等の大企業に対して温暖化ガスの排出量を2005年を基準として2012年には3%,2020年には20%,2030年には42%,2050年には83%を削減するという大変に厳しい内容となっている。
 中でもHVAC業界にとって等閑視できないものとして,HFC冷媒に関する項目がある。HFC冷媒の生産者,使用者,輸入業者を対象に生産・取引の制限を義務づけ,その使用を85%削減するというものである。業界では,目下,HCFC22をHFCに転換しようと懸命な努力を重ねているところで,明確な代替冷媒が見当たらないのにHFCの生産規制(生産停止ではない)を行おうとするのは大きな問題があるとし、以下を主張している。
 第一に,HFCを京都議定書の対象から除外せよと主張している。HFCは燃焼等の副産物として発生するものではなく,意図的に大気中に排出されるものでもない。冷凍空調機器による温暖化潜在力は,漏えいよりも駆動電力発生時に生ずるCO2による影響の方が大きい。
 第二に,業界に与える影響を最小限にとどめることを望んでいる。最初に上限を定め,以後数年をかけて削減するべきだとしている。これにより,製造業者に代替冷媒を開発する時間を与えることができると主張している。
 すでにCO2,HCs系などにより一部の設備が代替されているが,全面的に代替できる単一の冷媒は存在しない。

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News May 25 2009

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