機関誌「冷凍と空調」 / 2009.12 (NO.583)
海外短信
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HCFC冷媒のフェーズアウトでメーカーの動向に関心集中

 ビルの所有者や管理者は,13年前にCFC(クロロフルオロカーボン)冷媒の生産,使用禁止が発表されたとき,使用中の機器を継続使用するか代替冷媒の機器に新規交換するかについて悩んだ経験を持っている。今回,再びHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)冷媒のフェーズアウトに当たって,オーナー達はその対応に翻弄されている。しかし,その状況は前回ほどシビアなものではないようだ。
 前回はCFC冷媒の新機器への使用禁止と生産禁止が同時に行われたが,今回はR22に関してはサービス用として2020年まで,R123については新製品の製造は2020年まで,サービス用の生産は2030年まで認められており,移行は比較的容易になっている。現在のところユーザー側は,メーカー各社の動向に注目している。
 トレーン社はスクロール式チラーの冷媒をR410Aに転換した。スクリュー式チラーのR134aへの最終的な移行は,2010年の撤廃期日に間に合わせて完了の予定である。ターボ冷凍機については,ここ当分の間,R123を継続して使用する予定であるが,これはR123がオゾン破壊係数(ODP)が低く,2030年まで生産されるからである。(※)
 キヤリアでも今回の規制について,大きな問題は起きないと信じているという。同社では数年前にデザインを総点検し,空冷チラーのアクア,水冷チラーのエバークリーンの各シリーズをHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒の使用が可能となるように転換しているという。
 ヨークでは,最近R22使用の機器を購入した顧客は,将来サービス用の冷媒の購入が割高になることが予想されるが,それ以外の機器については,大小のチラーはすでにHFC冷媒に切り替え済みという。いずれにしても,全面切り替えは今後20年をかけて行われるので,対応には十分の時間があり,問題はないと述べた。
 一方,既存のHCFC機にHFCを適用する場合,使用材料,潤滑油,構成機器の対応性や変換後の容量減少等について,十分な検討が必要だとしている。また,フラデッド型蒸発器を使用している機器を混合冷媒に切り替えることは,冷媒が分離するので不可であるとしている。
 HFCについても楽観できず,2032年には使用制限が目論まれているが,その対策となるアンモニア,CO2,HC系等の自然冷媒にもそれぞれ問題点があり,容易に解決できそうもない。各社とも今後の政府の規制動向を見守っているところである。

※一部,誤解を招く可能性のある内容となっておりました。下線部につきまして訂正し,お詫びいたします。

 

Air Conditioning, Heating and Refrigeration News Oct, 5 2009


欧州での大気関連会議で自然冷媒普及に力点

 2009年大気関連会議で自然冷媒の供給者や規制策定者たちにより,アンモニア,CO2,HC系等の自然冷媒を欧州で冷凍空調分野に普及させることについて,熱心な討論が行われた。これらの自然冷媒は,グリーンピースや環境調査局(EIA:Environmental Investigative Agency)等の環境保護団体が,HFCやその他の合成冷媒の代替として強力に推進している。エルサム(Eltham)社のエフォード氏は,英国のスーパーがHFC冷媒を主流としていることから,2015年までに使用を禁止しなければ,2050年までに1億7500万トン相当の炭酸ガスを削減しなければならなくなると警告している。また,環境保護グループが冷媒の漏えい量を削減することに力を入れているが,その効果はわずかで,全面禁止には及ばないとしている。そして政府の規制によらず,この問題に対する多くの議論から国民の関心を引き出すことが肝要だとした。
 モントリオール議定書の技術・経済評価パネル(TEAP:Technical and Economic Assessment. Panel)のカイパース(Kuipers)氏は空調業界に対して,単に漏えいを問題にするのではなく,HFCから脱却するためにエネルギー効率重視に視点を変えるべきだと述べた。
 欧州委員会のVerheye氏はコペンハーゲンでの国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP 15)で,HFCへの規制が強化されることを期待し,全欧州に対して最大許容漏えい量の規定を制定すべきであると提案した。
 米国からはアメリカ環境保護庁(EPA:Environmental Protection Agency)のウイットマン氏が出席し,同庁の推進するグリーン・チル(Green Chill)計画について発表した。この計画は,顧客に対して自己の漏えい量削減結果と使用冷媒を明示することを推進する認定制度で,全国のスーパー業者に対して環境に優しい冷媒と最新の技術を普及させることを目的としている。現在,米国のスーパーでは英国同様,50〜80%がR22を使用しているが,その約20%の6500店舗が全国平均の漏えい率25%をはるかに下回る12.3%に削減することに同意していることを発表。しかし米国では自然冷媒に対する認識が低く,やっと3カ月前にCO2を重要な新代替計画(SNAP:Significant New Alternatives Policy)として認定したばかりで,プロパンに至っては,未だ空調機器に適用する際は許可が必要である。しかしこの状況の次第に改善され,近くプロパンを使用した家庭用冷蔵庫が登場する見通しである。
 ネッスルのホムシー(Homsy)氏は,同社ではアイスクリーム及びフリーズドライコーヒーの製造に使用してきたすべてのR22設備のCO2・アンモニアのカスケード方式への転換が来年中に完了すると発表した。
 テスコ(Tesco)のキャンベル(Campbel)氏は,トランスクリティカルCO2システムの実施例をあげ,このシステムが普及すれば冷媒の漏えいと発電用エネルギーによる炭酸ガスの大気排出量を全英国で43%,さらにHFCに関してTEWI(Total Equivalent Warming Impact:総等価温暖化影響)を75%,カスケードシステムに関して消費エネルギーを17%も改善できるとしている。
 コカ・コーラのアザール(Azar)氏は,同社が使用する飲料設備を2010年までにネルギー効率を40〜50%改善すると発表した。目下1100万台の販売機をCO2システムに切り替えようとしているが,その他にもHC冷媒を使用した機器を3年の試用期間でテストする予定であるという。

 

RAC−REFRIGERATION AND AIR CONDITIONING DECEMBER 2009

 

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