機関誌「冷凍と空調」 / 2004.4 (NO.515)
資料紹介
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政府がヒートアイランド対策を決定

 

 政府は3月30日,都市部の気温上昇を抑えるために具体的な目標を掲げた「ヒートアイランド対策大綱」を初めて決定しました。ここではヒートアイランド現象の概略と大綱の要点を紹介します。
(編集係)


●ヒートアイランド現象とは

 ヒートアイランド現象とは,都心部の気温が郊外に比べて高くなる現象のことで,等温線を描くと等高線と同じように,ちょうど「熱の島」のようになるところから名付けられた。
 欧米の大都市では,19世紀末からその存在が知られており,日本でも1930年代から,都心の冬期の朝方の気温が郊外に比べて高いことが報告されている。この現象は都市の発達とともにより広域化している。この現象は,各都市で観測地の都市化が進むほど顕著に現れており,また,高温域の拡大化のみではなく都心部から風下方向に高温域が移動する現象もしばしばおきている。

 ヒートアイランド現象は,まず冬に,そして最低気温で顕著に現れる。東京の冬期(12〜2月)の平均気温はここ40年余りで約3℃上昇している。また,最低気温が0℃未満の日(冬日)の日数を見ると,1960年代には平均で約30日であったが,ここ10年間では10日にも満たない。
 最近は,同様の現象が夏にも見られる。最低気温が25℃以下のいわゆる熱帯夜は1960年代には14.6日であったのに対し,ここ10年間で31.2日に増加し2倍以上となっている。6〜8月の平均気温は,冬期の平均気温ほどではないが,約1℃上昇している。また,他の大都市についても同様の傾向にあり,中小の都市でも熱帯夜は増加している。
 またここ100年では,大都市では平均気温で2〜3℃,最高気温は1℃前後,最低気温は3〜4℃前後上昇している。


●ヒートアイランド現象の要因

 ヒートアイランド現象が起こる要因としては一般的には,(1)建築物・舗装面の増大・集中による緑地・水面の減少等の地表面被覆の人工化と,(2)冷房や自動車の排ガスなどのエネルギー消費増大による人工排熱の増加が挙げられている。

(1)地表面被覆の人工化
 地表面被覆の人工化として,次のようなことが挙げられる。

  1. 土壌部分がコンクリートやアスファルト等に覆われ少なくなってきていることから,従来あった緑被による水分の蒸散による冷却効果が期待できない。
  2. ビルのコンクリートや道路のアスファルトに昼間時に吸収された太陽熱が,夜間に放出され地表部に熱がたまる。
  3. 高層建築物が海や山からの冷気をもたらす風を遮り,都心を熱の溜まりやすい構造にしてしまっている。
  4. 建築物の非木造構造化も,ヒートアイランド現象の要因の一つと指摘されている。

(2)人工排熱の増加
 人工排熱には,1.排煙・冷却水など産業活動に伴う排熱,2.自動車など移動発生源による排熱,3.空調システム・照明・OA機器などから排出される排熱等が挙げられる。空調システムやOA機器など個別機器の省エネ化は進んでいるが,人口・産業の集中や機器の普及がそれを上回り,人工排熱を増加させている。
 その中でも大きな要因として,空調システムからの排熱を指摘する声が強くなっている。気温が上がり暑くなったことでエアコンの使用頻度が上がり,排熱が増えることからヒートアイランド現象がますます進む…という悪循環に陥るといった点をセンセーショナルに取り上げている報道も多くなっている。

●ヒートアイランド対策

 ヒートアイランド現象の緩和には,基本的には都市計画の抜本的見直しによる都市の緑化が挙げられる。東京都杉並区では,公園緑地内とその周辺で最大5℃近くの差が観測されたこともある。また,大阪の目抜き通り「御堂筋」と並行して走る「魚の棚筋」では,緑化された部分とほとんどされていない部分では,8月の測定では全時間帯で気温が低く,最高で2℃の差が観測されている。
 具体的対策としては,建物の屋上や壁面の緑化により,建物の表面温度が下がり,省エネ効果につながるとされ,東京都では自然保護条例により屋上等緑化が義務付けられた。
 その他,コンクリートやアスファルト舗装の道路を保水性の素材による舗装に変える,屋根の建材を保水性のものに変える,水面(河川など)の確保などが挙げられている。

 今回政府が決定した「ヒートアイランド対策大綱」では,都市計画の見直しには直接触れず,そうした対策はこれまで累積してきた都市化全体と深く結びついているため,対策も長期的なものにならざるを得ないとして,当面,実行可能なものから進めていくとし,今後柔軟に見直しを行い,段階的に対策を強化していくとしている。それぞれの目標と具体的業績指標を掲載する。
 なお,大綱は,2002年9月に設置された「ヒートアイランド対策関係府省連絡会議」が検討を進め,2003年6月にパブリックコメントの募集を行い,今回閣議決定の形で公表されたものである。

 

 

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