機関誌「冷凍と空調」 / 2007.9 (NO.556)

資料紹介

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経年劣化による事故防止制度提言
―製品安全小委員会中間とりまとめ案―

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2.事業者による消費者の保守サポート制度の創設


 中間とりまとめ案では,消費者は,長期にわたり製品を使用する場合,適切な保守を行い,安全性を確保していかなければならないが
@ 保守上重要な情報が十分に提供されていない
  A 消費者・事業者間の効率的な情報共有の仕組みがない
  B 質の高い点検を実施する体制の整備が十分になされていない場合がある
などの理由により,消費者自身による保守が困難になっていると考えられるとしている。その対策として,設計・製造情報を持つ製造事業者等や消費者に接し効果的な情報提供ができる販売事業者等が問題点を克服し,これをサポートする仕組みの構築により社会全体で適切な保守を行う仕組みの構築をあげている。

(1) 対象製品の指定
 保守サポート制度の対象製品として,長期にわたって使用される製品のうち,火災や一酸化炭素中毒などの重大製品事故の原因になりやすい燃焼系のガス機器,石油機器又は高圧・大電流系統の電気製品の中で消費者自身による保守が難しく,経年劣化による事故の発生率が高い製品の指定が考えられるとしている。現時点では以下の製品が経年劣化による事故発生率が高く,指定を検討することが妥当であるとしている。
  ○都市ガス用ガス瞬間湯沸器(屋内型)
  ○LPガス用ガス瞬間湯沸器(屋内型)
  ○都市ガス用ガスふろがま(屋内型)
  ○LPガス用ガスふろがま(屋内型)
  ○石油給湯器
  ○石油ふろがま
  ○FF式石油温風暖房機
  ○電気食器洗い乾燥機(ビルトイン型)
  ○電気式浴室換気乾燥暖房機

(2) 保守上重要な情報の表示と説明文の添付
 今回の案では,製造事業者・輸入事業者は,指定製品の本体又は本体に十分なスペースがない場合にはそれに変わる箇所に,@製造年月,A設計上の標準使用期間,B点検期間,C製造事業者・輸入事業者名,連絡先等を表示し,製品カタログ・取扱説明書等にも安全上重要な部分を中心に部品の保有期間や点検料金の目安等,点検後の消費者に対する保守サポートについての対応を記載すべきであるとしている。

(3) 消費者・事業者間の情報伝達サークルの形成
 製品安全小委員会では,消費者の保守に対する意識を喚起するため,点検期間の到来時の点検通知が有用であり,また,事故を未然に防ぐため,指定製品の取扱上の注意点や危害情報が消費者に対して周知されることが有益であるとし,そのためには製造事業者等と消費者とをつなぐ情報伝達サークルを販売事業者等との連携により形成することが重要であるとしている。
 各関係者の役割としては,以下があげられている。

  @ 製造事業者・輸入事業者
 
  • 情報伝達サイクルシステムの説明文を記載したインフォメーション・レジストレーションカード(指定製品説明・所有者連絡カード)を製品に梱包する。
  • 消費者から返送されてきたレジストレーションカードに記載された情報を電子的に一元管理するなどして集約し,適切に管理する。この情報は,点検通知・危害情報の通知等の消費者の安全確保に必要な場合しか使用しない。
  • 点検期間が来る前に,レジストレーションカードを返送した消費者に対して,点検通知を出す。また,指定製品についての取扱上の注意点や,リコール情報,不具合情報,国が公表した場合を含め,経年劣化等に関する危険情報を消費者に通知するよう努める。
  A 製造事業者等
   
  • 情報伝達サークルシステムの説明文を記載したインフォメーション・レジストレーションカードを消費者に交付し,その趣旨について説明する。
  • 消費者の記入したレジストレーションカードを集約して製造事業者等に返送するよう協力する。
  B 消費者
   
  • レジストレーションカードに指定製品の所有者の連絡先を記入し,販売事業者の協力を得つつ,製造事業者・輸入事業者に返送する。

(4) 製品の保守点検について

  @ 点検期間の設定
   今回の中間とりまとめ案では,製造事業者・輸入事業者は,消費者の自主的な保守を促すため,製品の安全使用にとって最低限必要な点検目安時期として一定期間の点検期間を設定し,消費者に対して示すべきであるとしている。
 ただし,同品目の製品であっても,標準的な耐久性・価格のもの,高耐久性・高価格のものといったように多様な商品戦略の下で製品が製造されていることから,点検期間を一律ではなく個々に設定をするべきであるとしている。また,製品の使用地域や使用目的などに十分考慮するなど,細やかな対応を求めている。
  A 消費者による点検の要請
     原則として,「指定製品の所有者」が点検の要請を行い,指定製品の所有者が賃貸業者である場合には,より責任を持って指定製品の保守を行うことが必要であるとしている。
  B 点検の意義と内容
     点検は,「製品の安全性を客観的に確認し,消費者にその結果を通知するもの」と捉え,安全性にとって重要な部分について行われるべきであり,そのために,指定製品の点検における適切な「技術基準」を設定するべきであるとしている。
  C 安全確保のために点検後に取るべき措置等
     消費者の長期使用時の安全確保を強化するためには,点検後,製造事業者等がその結果を消費者に適切に提供し,消費者が点検により顕在化した安全上の問題を解消する措置を整備し,買い換えなど複数の選択肢から選択できるようにすることが必要であるとしている。
  D 点検のための技術情報の適切な伝達
     製造事業者・輸入事業者は,点検等を他の事業者に委託する際には,委託先事業者に技術情報を提供するなど適切な点検等が行われる仕組みを構築すべきであるとしている。
 また,製造事業者・輸入事業者は点検に必要な技術情報を公的機関などに事前に提出し,製造事業者・輸入事業者が事業を廃止した場合に限り,その情報を点検事業者に開示するなどの一定の仕組みの検討の必要性をあげている。
  E 点検の実効性の確保に向けて
     この点検制度は,消費者の自主的な保守を製造事業者・輸入事業者,販売事業者等がサポートすることにより事故の未然防止を図るものであることから,消費者が点検要請を行う割合の重要性をあげている。
 現在,ガス機器や電気製品等について製造事業者等が任意に行っている点検等の保守サービスの実施率が低いものに止まっているのは,その費用が抑制力になっているのではとの指摘があるとし,消費者に対して販売時に,例えばその販売時点での点検料金を参考として示すなど,一定の目安を明示する取組みを求めている。また,料金以外で点検受検率を上げるためには,以下の取組みが求められるとしている。
   
  • 既販品についても製造事業者・輸入事業者は,推奨される点検期間についての十分な周知活動や点検料金の明示により消費者の点検意識を高めること
  • 製造事業者・輸入事業者は,既販品について,消費者からの点検要請があった場合には,指定製品のみならずそれ以外の機器についても真摯に対応できるだけの体制を自主的に整備すること
  • 異なる事業者によって製造された機器であっても点検できるように,業界としての資格制度を創設するなどして,消費者側の利便性に資するものとすること

(5) 経年劣化に関する情報の提供

  @ 国による情報提供
   今回の案では,指定製品に関しては,重大製品事故情報の公表制度に加え,国又は独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が設計上の標準使用期間を超えた指定製品について,経年劣化による製品の事故情報や製品の点検結果等の収集を通じて分析を行い,その危険性を公表することが重要であるとしている。また,製造事業者等が事業を廃止した場合,国が業界等の協力を得ながら点検事業者の情報を収集し,公表することが求められるとしている。
  A 事業者による情報提供
     経年劣化による事故を未然に防止するため,重大事故だけでなく,経年劣化に関する情報の収集と提供の必要性をあげている。また,消費者への啓発の一環として,経年劣化による事故リスクの高まりについて製品そのものへの表示を行うなど,消費者に適切な行動を促すことが適切であるとしている。

(6) 既販品等についての取組みとITの活用

  @ 既販品等についての取組みの必要性
 
  • 製造事業者・輸入事業者
     現在でも,製品には消費者の購入後1年間は無料保証を,その後の故障・不具合については有償で点検・修理を行っており,引き続きこれらの取組みを続けていくことが重要であるとしている。また既販品についても,販売事業者等と連携し,消費者への啓蒙活動の推進やお客様相談窓口の充実,点検体制の強化を行い,点検をより広範に実施し,保守サポートビジネスの構築・拡大を進めていく必要があるとしている。
  • 販売事業者等
     市場出荷前に技術基準適合の規制対象外の製品についても安全基準に適合した自主認証マーク製品を自主的に販売する取組み等を実施している事業者があり,引き続きこれらの取組みを続けていくことが重要であるとしている。
  •  さらに,製造事業者・輸入事業者の行う既販品についての点検サービスの提供に協力するよう努め,消費者に接する立場にあることを活かして消費者サポートを行う独自のビジネススタイルの模索や地域密着型の取組み等を行うよう努めるべきであるとしている。
  A ITの活用
     情報伝達サークルにおけるレジストレーションの電子的な伝達のほか,電子タグ等の新たな技術を活用して所有者・所在地情報や機器の状態等,電子的に伝達・制御するリモートメンテナンスによる保守の実現に向けて,必要な技術開発や実証実験等,国と事業者が協力して取り組んでいくべきであるとしている。

(7) 製品安全分野における個人情報保護法に関する問題
 製品安全小委員会では,製品安全分野においては,今後,事故の拡大防止に加え,事故の未然防止が極めて重要となってくると考えている。例えばリコールに至らないような場合であっても,製造事業者等が事故を未然に防止するために消費者に連絡して総点検しようと,販売事業者等が有している購入者の個人情報の提供を受ける必要がある場合等,どのような要件を満たせば個人情報保護法上の「本人の同意なくして第三者に提供できる場合」に該当するのかを明確にするための検討を進める必要があるとしている。


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