JRA GL-20について
平成28年9月26日に制定した、日本冷凍空調工業会ガイドラインJRA GL-20(特定不活性ガスを使用した冷媒設備の冷媒ガスが漏えいしたときの燃焼を防止するための適切な措置)は、平成30年3月14日に、経済産業省が提言している高圧ガス保安のスマート化の一環である、「ファストトラック制度」の活用第1号案件となり、冷凍則第十五条第1項第二号の例示基準相当の規格として承認されました。
ここでは、JRA GL-20を作成した背景からJRA GL-20で規定している概要までを紹介したいと思います。
1.JRA GL-20 作成の背景
2011年より、当工業会では、微燃性冷媒(A2L)を用いた冷凍空調機器のリスクアセスメントを実施し、微燃性冷媒の機器を安全に運用する方法を構築した。その結果を踏まえ、2015年3月12日の産業構造審議会 高圧ガス小委員会で、経済産業省から、R32、R1234yf及びR1234ze(E)(微燃性冷媒)を高圧ガス保安法冷凍保安規則で不活性ガスに位置づけることを検討する方針が示された。
2016年3月9日の産業構造審議会 高圧ガス小委員会でその方針が承認され、その後、これらの冷媒を不活性ガス及び特定不活性ガスに掲名することが決定された。
今回の一連の法改正等を整理すると図1の様になり、色枠にした部分が規制緩和された部分となる。
図1 - 法体系
特定不活性ガスは、不活性ガスのうちのわずかな燃焼性を有するガスに対する区分である。そして、届け出が不要となる冷凍能力5トン以上20トン未満の高圧ガス製造者(その他製造)が保有する特定不活性ガスの冷媒設備には、冷媒ガスが漏えいしたときの燃焼を防止するための適切な措置を講じる必要性が経済産業省より示された。これを受けて、特定不活性ガスを使用したその他製造の冷媒設備における冷媒ガスが漏えいしたときの燃焼を防止するための適切な措置について、当工業会でガイドラインを作成し、運用することになった。
特定不活性ガスは、不活性ガスのうちのわずかな燃焼性を有するガスに対する区分である。そのため、第一種製造者については冷凍則第七条の三により滞留しない構造とすること、及び同条の十五により滞留する恐れのある場所に、当該ガスの漏えいを検知し、かつ、警報するための設備を設けることが規定された。第二種製造者は冷凍則第十二条により、第七条に適合とされている。
その他製造に係る技術上の基準は、冷凍則第十五条第1項第二号において、「冷媒ガスが漏えいしたとき燃焼を防止するための適切な措置を講ずること」と規定され、2016年3月9日の産業構造審議会 高圧ガス小委員会において、その他製造の安全性を確保するために具体的な手法をJRA規格に定め、その規格を関係規則等で参照し、JRA規格を活用するということが示された。
よって、当工業会では、規制改革対応WGを立ち上げ、高圧ガス保安協会及び経済産業省と協力して規制緩和についての具体的な検討を行い、特定不活性ガスを使用した機器を安全に運用する方法をガイドラインとしてまとめた。
2.JRA GL-20の位置づけ(JRA関連規格ガイドラインとの関係性)
JRA GL-20の適用範囲は、冷凍保安規則法定冷凍能力5トン以上20トン未満のその他製造にあたる部分を製品群問わず全般としてカバーする。製品規格ガイドラインとの位置付けを整理すると、表1の通りとなる。
【参考】
高圧ガス保安協会ホームページでの掲載箇所
https://www.khk.or.jp/inspection_certification/about_exemplified_standard/notice.html