地球と家計にやさしいエコキュート。ついに1,000万台 突破!!
おかげさまで家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機(通称:エコキュート)は
累計出荷台数(※)が1,000万台を突破しました!
※国内累計出荷台数(一社)日本冷凍空調工業会 統計 2025.3 現在
エコキュート累計出荷1,000万台達成によせて
一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
理事長 小宮山 宏

気候変動は多くの人の実感するところとなり、脱炭素を通じた経済成長や産業競争力強化の動きが世界で広がっています。こうした中、家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の累計出荷台数1,000万台の達成は、画期的な意味を持ちます。
現在日本では、全エネルギーの30%ほどが、給湯や暖房や工場での乾燥など、熱として使われています。エネルギー源のほとんどが化石資源ですから、これを脱炭素化する必要があります。空気から熱をくみ上げるヒートポンプは、脱炭素化のキーテクノロジーの一つであり、最も普及しているのが家庭用の冷暖房器、それにエコキュートが続いたということが言えるでしょう。
ヒートポンプにはもう一つ重要な意味があります。それは、時間変動のある再生可能エネルギーの有効利用に資する点です。九州電力管内のように太陽電池が普及した地域では、発電量が需要を上回る時間帯には、太陽電池を止めさせています。そういった時にエコキュートを動かして湯を沸かせばよいのです。鉄やガラス製造用の電気炉など余剰電力を利用する可能性は多くあるのですが、ヒートポンプもその一つです。スマートグリッド技術と組み合わせることで、電力需要を柔軟に制御し、電力系統全体の効率化に対応できます。
このように、エコキュートが日本社会にもたらす効用は極めて大きいと言えますが、今後、地球温暖化対策を加速するためには、さらなる普及拡大を目指さなければなりません。1,000万台と言っても、潜在的市場は10倍近くあるのではないでしょうか。日本には6千万世帯あるわけですし、拙宅のように、給湯と床暖房と2台入れているところもあるわけです。さらに世界、特にアジアにはぜひ普及させたいものです。そのために、
- 技術革新によるさらなる省エネ性能向上
- 寒冷地や集合住宅等、様々な環境やニーズにも対応した商品開発の促進
- エコキュートのメリットや活用方法等に関するユーザーへの情報発信の強化
などが重要でしょう。機器メーカーやハウスメーカー・デベロッパー等住宅関連事業者、小売電気事業者等の各ステークホルダーが連携して取組むとともに、国・自治体がその活動の下支えをしていくことが必要です。
先般閣議決定された「エネルギー基本計画」においても、カーボンニュートラルに向け、ヒートポンプが需給両面で重要な役割を担う対策であることが明記されました。エコキュートが家庭用分野のデファクトスタンダードとして確立されるべく、普及拡大を進める好機です。エコキュートが、これからも持続可能な社会の実現に貢献し、そして私たちの未来を明るく照らす存在であり続けることを期待しています。
経歴
1972年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、2000年同大学大学院工学系研究科長・工学部長、2003年同大学副学長を経て、2005年4月から2009年3月まで東京大学総長。2009年4月より三菱総合研究所理事長に就任。一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターでは2009年7月より理事長を務める。