地球と家計にやさしいエコキュート。ついに1,000万台 突破!!
おかげさまで家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機(通称:エコキュート)は
累計出荷台数(※)が1,000万台を突破しました!
※国内累計出荷台数(一社)日本冷凍空調工業会 統計 2025.3 現在
ZEH・ZEH-Mの新たな方向性について
芝浦工業大学 建築学部長・教授
秋元 孝之

政府は2050年までに、既存ストック全体でZEH・ZEB基準相当の省エネルギー性能を確保することを目指している。この実現に向け、建築物省エネ法などの規制と支援策を組み合わせ、省エネ性能の向上と再生可能エネルギー導入の拡大が進められている。
ZEH・ZEH-Mが制定された2010年代前半から10年弱が経過し、政府目標・指針等で「2030年度以降に新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保を目指す」等が掲げられている現状に鑑みると、現在の実態に即し、省エネ基準を上回るトップランナー群の位置付けを目指した定義に見直す必要性があるものと考えられる。そのため住宅・建築物における省エネ基準は2030年度までに段階的な引き上げが予定されており、ZEHの定義についても、さらなるゼロエネルギー化の促進を視野に見直しが行われている。
新たな定義では、断熱性能等級を6以上、一次エネルギー消費量基準(BEI)を0.65以下とすることが示されている。加えて、エネルギーの自給率向上により、系統電力への依存を抑え、経済性と災害時のレジリエンス強化の両面に寄与することから、自家消費型太陽光発電の導入効果も評価対象とする方針である。これらの見直しは、2027年4月頃からの適用が見込まれている。
この新基準の達成において特に重要なのが、家庭内エネルギー消費の大きな割合を占める給湯分野への対応である。高効率な給湯機器である「エコキュート」は、省エネルギー効果が高く、その貢献度合いは非常に大きい。中でも、日中の太陽光発電を活用して湯を沸かす「おひさまエコキュート」は、自家消費型再エネ利用の促進において重要な技術として注目を集めている。
今後は、これらの給湯機器の技術革新と普及拡大を通じて、住宅部門におけるエネルギー効率の一層の向上と、再生可能エネルギーの主力電源化の実現に向けた貢献が大いに期待される。
経歴
1963年東京都生まれ。1988年早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻修了。カリフォルニア大学バークレー校環境計画研究所に留学。博士(工学)、一級建築士。清水建設株式会社、関東学院大学工学部建築学科を経て、現在、芝浦工業大学 建築学部長・教授。空気調和・衛生工学会会長。