地球と家計にやさしいエコキュート。ついに1,000万台 突破!!

おかげさまで家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機(通称:エコキュート)は
累計出荷台数(※)が1,000万台を突破しました!
※国内累計出荷台数(一社)日本冷凍空調工業会 統計 2025.3 現在
再生可能な熱を利用した省エネ機器エコキュートの重要性
東北大学 工学研究科 電気エネルギーシステム専攻
先端電力工学共同研究講座 客員教授
山本 博巳

エコキュートの累積1000万台出荷おめでとうございます。ご存知のようにエコキュート(EcoCute)は家庭用CO2冷媒ヒートポンプ給湯機の愛称です。ヒートポンプは、われわれの周りに存在する再生可能な熱(環境熱と呼ばれます)を利用することで、投入電力エネルギーに対して数倍の熱エネルギーを供給する省エネ機器です。
ヒートポンプで利用する環境熱に関しては、国際的に再生可能エネルギーの一つとする動きがあります。欧州連合(EU)では、2009年のEU指令で、ヒートポンプで利用する環境熱を再生可能エネルギーと位置づけました。国際エネルギー機関(IEA)では、2020年からヒートポンプで利用する環境熱を再生可能な熱に含めました。EUでは、2019年公開のエネルギー統計から、環境熱(温熱供給向け)をEU域内産の再生可能な一次エネルギーとして計上し、再生可能エネルギー普及の政策目標に環境熱を含めています。IEAでは、2024年から、世界の地域別の環境熱(温熱供給向け)の利用量の推計値を公表しています。わが国では、2009年制定の「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(高度化法)」で、「再生可能エネルギー源」に「大気中の熱その他の自然界に存する熱」を含めています。
ヒートポンプで利用する環境熱は、空気熱、地中熱、河川の水の熱(水熱)から構成され、エコキュートは空気熱を利用しています。IEAおよびEUでは、環境熱は空気熱、地中熱、水熱から構成されるとしています。わが国においても、資源エネルギー庁のホームページ(HP)で、再生可能エネルギーとして、空気熱、地中熱、水熱(HPでは温度差利用の用語を使用)が紹介されています。空気熱に関しては、「ヒートポンプを利用することにより、空気から熱を吸収することによる温熱供給や、熱を捨てることによる冷熱供給ができる再生可能エネルギー源です。空気熱を利用した設備としてヒートポンプ給湯器や空調用エアコン等があります。」と紹介されています(文献1)。
このように、エコキュートは、エネルギー効率を100%に近づける省エネ機器とは異なり、ヒートポンプのメカニズムで再生可能な熱(環境熱)を利用することでエネルギー効率 数百%を実現する、省エネ機器でありかつ再エネ利用機器です。この特徴を持つエコキュートは、カーボンニュートラルの実現に向けてさらに重要性が高まると期待されます。
文献1
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/other/index.html
経歴
1965年高知県生まれ。1990年東京工業大学修士課程終了。電力中央研究所入所。2021年電力中央研究所グリッドイノベーション研究本部ENIC研究部門上席研究員。2024年東北大学工学研究科電気エネルギーシステム専攻先端電力工学共同研究講座客員教授。博士(工学)。

















