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未来技術遺産にエアコン関連製品2件が登録されました!
No.659 2018年9月
8月28日上野の国立科学博物館にて開催されました平成30年度「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」登録授与式に参加しました。今回で11回目となる本授与式は、平成20年より開催され、今回は19件登録、累計259件となりました。
今回は初のエアコン関連製品として、当会会員メーカーから2件、三菱電機殿の壁掛セパレート型エアコンMS-22SA、東芝キヤリア殿のロータリーコンプレッサB型シリーズが登録となりました。
写真1:国立科学博物館
写真2:重要科学技術史資料登録証授与式
写真3:受賞した三菱電機 課長 吉川氏(右側)
写真4:三菱電機課長 吉川氏 パネル前にて
写真5:受賞した東芝キヤリア 代表取締役社長 久保氏(中央)
写真6:東芝キヤリア ロータリーコンプレッサ B型シリーズ パネル
以下、登録された2製品の選定理由を紹介します。
1.現場の技術開発で薄型化を実現(三菱電機株式会社)
世界で初めて「ラインフローファン」を用いた室内機の画期的な薄型化に成功した家庭用壁掛セパレート型エアコンである。当時、「ラインフローファン」は、エアコンの室内機など圧損のある用途には適さないと理論的には考えられていたが、実験で検証を重ねて実用化に成功した。これにより、エアコン室内機の壁掛けが可能となり、省スペース化の流れが前進した。現在主流となっているエアコンの形のさきがけとして重要である。
写真7:壁掛セパレート型エアコン MS-22SA(製作年1968年)
2.国内最初期のエアコン用ロータリーコンプレッサ(東芝キヤリア株式会社)
国内最初期のエアコン用ロータリーコンプレッサである。家庭用エアコンのコンプレッサがレシプロからロータリに切り替わるさきがけとなった。ロータリーコンプレッサは幅広い圧縮比で効率変化が少なく、冷媒ガスを効率的に圧縮することができる。また、後にインバータによる可変回転数制御との組み合わせにより省エネルギ性や快適性を飛躍的に高めることにつながるものとして重要である。
写真8:ロータリーコンプレッサ B型シリーズ(製作年1969年)
3.所感
登録される製品は決して時系列ではなく、年代もまちまちです。今回登録されたのは戦後間もない高度成長期を支えた精鋭達であり、すでに引退しているものがほとんどでしたが、当時を思い起こさせるノスタルジックな味わいを備えていました。エアコン関連製品が重要科学技術史資料に登録されるのは今回が初めてですが、先人が築き上げた汗と涙の結晶である技術開発が、このような形で歴史に刻まれたことは、当会にとっても大変誉れであります。日本のエアコン業界の発展に寄与する歴史的イベントに出会えることを今後も楽しみにしております。
写真9:授与者集合写真
重要科学技術史資料(未来技術遺産)
参考:国立科学博物館「技術の系統化調査報告 第24集-エアコン技術発展の系統化調査」
以上
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