海外短信

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No.672 2020年9月

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1.パナソニック 中国貴州省と共同してコールドチェーンを構築
産地で農産品の予冷を普及させることにより地域の経済発展を促進

パナソニックと中国貴州省双竜空港経済開発地区は貴陽市で2020年4月、戦略的協業の調印式を開催した。このプロジェクトでパナソニックは貴州省の農業地帯で農産品の予冷が普及していない問題を解消することになっている。これにより貧困を軽減し、地域の経済発展を促進する。

貴州省では2020年を貧困軽減計画で最も重要な年と位置付けており、経済発展の重要な施策として産地での農産品の予冷を強力に推進する。中国の内陸部に位置する貴州省は中国南西部への輸送ルートでの集積地となっており、長江経済ベルトの重要な部分となっている。地域の経済発展の促進は多くの課題を抱えている。農産物のロスの割合を減らすこと、貯蔵期間を伸ばすこと、また果実や野菜が食卓に上るまで理想的な状態に保つことなどだ。

コールドチェーン技術と応用の経験、予冷処理の適切な理解、及び高性能高効率な機器により、パナソニックは効果的に予冷から輸送、処理、コールドチェーン全体を通して農産品のロス問題を解消する。

貴州省の商務省と協働してパナソニックは中国では初めてとなる省レベルでの予冷システムを貴州省に構築する。システムが完成するとサクランボなど貴州の農産物特産品は鮮度を保持したまま2,000km以上離れた北京まで届けられることになる。




パナソニックと貴州省双竜空港経済開発地区とのリモートによる調印式

〔JARN, June 25, 2020〕






2.ジョンソンコントロールズ日立空調インド 移動型医療センターを開設
新型コロナウイルス感染症を予防するために衛生面などでの対策を住民に教育

ジョンソンコントロールズ日立空調インドは、グジャラート州の農村地域で住民が診療施設を訪問しなくても済むように、移動型医療センター(PHCs)を開設した。この計画はロックダウンに伴って住民がガイドラインを遵守するためのもので、州政府を支援するものとなっている。

企業の社会的責任(CSR)計画の一環として住民の医療ニーズに取り組むために、同社は医療センターに医療専門家、救急救命士、及び救急車を配備している。また特別に訓練されたスタッフは、新型コロナウイルス感染症と戦うために、住民に衛生面の取り組み、ソーシャルディスタンス、免疫力を高めること、その他の予防対策を教育している。


〔JARN, June 25, 2020〕





3.ホシザキアメリカ 環境保護庁(EPA)の「エネルギースター年間パートナー賞」を受賞

ホシザキの米国子会社であるホシザキアメリカは、米国環境保護庁(EPA)から「エネルギースター年間パートナー賞」を受賞した。環境に配慮した省エネ性の高い製品ラインアップが評価された。同賞の受賞は9年連続となる。新しい業務用冷蔵庫のシリーズはプロパン(R290)冷媒を採用しており、年間約2万5千トンの温室効果ガスの排出を削減している。また省エネ性を追求した製氷機のシリーズは顧客の電気料金を年間約170万ドル(約1億8千万円)節約している。

さらに継続したリーダーシップとエネルギースター制度への優れた貢献により、同社は「エネルギースター年間パートナー優秀賞」も受賞した。これは年間パートナー賞を少なくとも2年連続して受賞した企業に贈られる。この受賞は6年連続となる。ホシザキグループは企業の社会的責任として環境問題への継続的な取り組みを推進していく。

エネルギースターは米国環境保護庁による省エネルギーについての表彰制度で、コンピューター、電化製品、住宅設備、業務用厨房設備などを対象としている。一定の省エネルギー基準をクリアーすると公式のエネルギースターラベルを表示することができる。


〔JARN, June 25, 2020〕




4.ダイキン空調ドイツ 暖房機メーカー「ロテックス社」を統合
欧州における暖房機事業の拡大を図る

2020年1月1日よりロテックス製品をダイキン・ブランドに変更したのに続いて、2020年7月1日よりダイキン・エアコンディショニング・ドイツ (DAG)社とロテックス・ヒーティング・システムズ社 (ROG)の販売、マーケティング、サービスなどの活動を統合した。ドイツのギュグリンゲン市にある生産拠点は、ダイキン・マニュファクチャリング・ドイツ社(DMGG)と改称され、今後数年経てば、ダイキン・グループの欧州生産拠点網の重要な柱になると思われる。

空調技術のノウハウ及びロテックスの強みである暖房技術のノウハウを組み合わせることによって、ダイキンは、持続的成長と技術革新を継続する一方で、顧客ニーズに重点を置いて、ドイツにおけるプレゼンスを拡大し続けている。同社はドイツの暖房市場、特にヒートポンプ機器に主眼を置いている。各種の市場と製品分野に対してビジネスユニットが設けられている。新たな「暖房」 ダイキン・ビジネスユニットは、暖房分野における戦略展開及び製品のマーケティングなどを担当している。

更に、赤松副社長は、次のようにコメントしている。「暖房事業では、製品だけでなくサービスも非常に重要です。特に、ドイツでは広大な国土に人口30~50万人の中規模の都市が散在しています。そのため、全ての地域をカバーするにはマンパワーが必要です。今回、ロテックスの営業マンが30名以上と、ヒートポンプ機器専門のサービスマンが40名以上加わったことによって、DAGは販売力及びサービス力を一気に高めることが出来ます。」
                          〔JARN, July 25, 2020〕




5.東芝キヤリア英国 サービスコンサルタントや技術者向けに継続教育(CPD)を
オンラインで実施

東芝キヤリア英国は、BLレフリジレーション&エアコンディショニングの主催するオンライン教育に加わって、ビルサービスコンサルタントや技術者に対する継続教育(CPD)を開始した。東芝がCPDの内容を開発し、BLレフリジレーション&エアコンディショニングがオンラインセッションの開催、告知、及び募集を行っている。反応は予想以上に好評であり、将来別のコースも追加されることになっている。

英国ではコンサルタントは職業開発の一環として、CPDを受講し毎年一定数まで受講単位を蓄積しなければならない。しかし多くのコンサルタントは新型コロナウイルスの感染予防のため自宅で業務をおこなっている。そのためオンラインでの受講が適切なものとなっている。

東芝のCPDは自社のオンライントレーニングポータルですでに実用化しており、姉妹ブランドであるキャリアとシーアット(Ciat)でのCPDも近々開始される。
CPDのプログラムはFガス規制、冷媒、冷凍システムの安全環境基準、VRFシステム、圧縮機などのパートからなっている。

〔JARN, June 25 2020〕





6.三菱重工サーマルシステムズ 台湾でのエアコン販売を強化

三菱重工サーマルシステムズは台湾での空調機販売を強化する。台湾では日系ブランドのマーケットシェアが高い。6月には住宅用壁掛け型エアコンを発売し、7月には業務用4方向吹き出し天井カセット型エアコンを投入する。これは同社として海外では初めてとなる自動昇降パネル付き室内機である。

同社はタイに現地企業との合弁による三菱重工-マハジャックエアコンデショナー(MACO)を住宅用及び業務用空調機の生産・販売の拠点としている。MACO社は2017年に部品製造工場の増設及び電装工場の新設を完了するなど生産体制の増強を図っている。台湾市場での拡販においてもMACO社が先導的な役割を果たすことになっている。

販売促進活動としては、MACO社の台湾における代理店である上洋産業有限公司が世界的に有名なモデルで女優であるリン・チーリンをブランド大使として起用する。

台湾経済は現在多方面で堅調な成長をとげている。台湾政府は海外で操業していた企業が台湾国内に戻ってきた場合、税制上の優遇措置を与えている。第5世代(5G)の通信ネットワーク、半導体、及び情報産業などが世界的に伸びており、これらが台湾経済を支えている。


〔JARN, July 25 2020〕




7.英国政府 クリーンヒート助成金を提案
ヒートポンプなどを採用した場合最大4,000ポンドを資金援助

英国政府は再生可能熱インセンティブ(Renewable Heat Incentive:RHI)を新しいクリーンヒート助成金に代替すると発表した。住宅分野やビジネス分野が技術により脱炭素化し、国が2050年にネットゼロという目標に向かって進むことを後押しする。RHIは英国の住宅の12%を2020年までに再生可能エネルギーとする手段として導入された。政府は最近非住宅分野については新たな申請を2021年4月からは受け付けないと発表した。住宅部門については2022年3月まで受付を延長する。

RHIを引き継ぐ計画の検討は始まっている。政府はクリーンヒート助成金を提案しており、これは暖房技術としてヒートポンプなどを採用した場合、住宅部門またはビジネス部門において最大4,000ポンド(約55万円)の資金援助をするもので、2022年から開始されると思われる。援助の対象となる技術のリストも明らかにされる。

気候変動委員会は、英国では2035年までに1,500万世帯でヒートポンプ又はハイブリッドヒートポンプが設置される必要があると提案している。


〔JARN, July 25 2020〕




8.ドイツヒートポンプ業界 今後の伸びに期待
ドイツ政府による投資助成が後押し

ドイツのヒートポンプ業界は、2019年の伸びは大きくなかったが、これからの数年は新たな公的支援により販売は拡大するものと楽観している。ドイツのヒートポンプ協会(BWP)のデータによると、2019年に86,300台と前年より2%増のヒートポンプが据え付けられ、累積台数は96万6千台となった。ヒートポンプ給湯機については2019年に6万6千台超販売され、これは前年よりも約9%の増加であった。BWPの責任者であるポール・ウエイニング氏は「市場はゆっくりとだが、着実に成長しており、ヒートポンプ業界は自信をもっている」と述べている。BWPは「2020年代の初頭には魅力的なインセンティブにより成長カーブは急になってくる」と予測している。

2020年の初めからドイツ政府は、新設又は近代化プロジェクトで気候に優しい暖房システムに対して、最大35%まで投資助成をすることで、設置支援をおこなっている。もしユーザーが油炊きの暖房システムを代替する場合は、助成金は45%までとなる。


〔JARN, July 25 2020〕




9.欧州EPEE 冷暖房の脱炭素化のフレームワークの必要性に賛同
エネルギーの供給サイドと使用サイドを統合した戦略を明らかに

欧州の冷凍空調産業の団体である欧州エネルギー・環境パートナーシップ(EPEE)は、エネルギーシステムの中にコスト効率よく再生可能エネルギーを取り込むためのフレームワークの必要性について、欧州委員会の提案に賛同している。

欧州では最終エネルギー消費の約50%を冷暖房が占めており、特に暖房では80%がまだ化石燃料の燃焼に頼っている。化石燃料から脱却するためには、冷暖房で消費するエネルギーを減らすことが重要であり、その次に再生可能エネルギーのシェアを高めることである。エネルギーの供給システム(サプライサイド)の設計とエネルギーを使用するシステム(デマンドサイド)の設計をどのように統合するかについて戦略を明らかにする必要がある。ビルはエネルギーインフラのキーとなる要素であり、冷暖房は長期エネルギーシステム計画の中核になければならない。

EPEEのアンドレア・フォクト事務局長は「冷暖房で脱炭素化するには統合した取り組みをする必要がある。ヒートポンプはこの優れた例であり、効率の良い冷暖房を提供すると同時に再生可能エネルギーも使用する。デマンドサイドの管理と蓄熱技術により、再生可能エネルギーへの移行において、電力網に柔軟性を与えることができる」と述べている。


〔JARN, July 25, 2020〕




10.中国 エネルギーラベルの規制を改定
施行時期は新エネルギー効率標準の施行に合わせる

中国の国家発展改革委員会と国家市場監督管理総局は4月21日、エネルギーラベルの適用に関する規制と関連ルールを改訂し、これらの改定を5年間有効とした。

エネルギーラベルの新ルールの施行日は新エネルギー効率標準の施行日と一致させるため、ダクト付きエアコン、ヒートポンプ給湯機(ATW)、ユニタリーエアコン、及びルームエアコン(RAC)の4つのカテゴリーの施行日に従うことになる。新ルールの施行日の前に製造または輸入された製品については、新エネルギーラベルの施行後1年間については、新ルールに従ってエネルギーラベルが付与される。ユニタリーエアコンとRACについては、新エネルギーラベルの施行と同時に旧エネルギーラベルは廃止される。

中国標準化管理局は4月1日、ユニタリーエアコン、ダクト付きエアコン、及びヒートポンプ給湯機(ATW)の最低許容エネルギー効率基準とグレード標準及びエネルギー効率グレードの施行日を2020年5月1日から2020年11月1日に延期すると発表している。RACは2020年7月1日から施行となる。

〔JARN, June 25, 2020〕





11.中国 2019年冷凍車の販売は前年よりも27%増加

中国物流・購買連合会のコールドチェーン物流委員会の統計によると、2019年に中国には214,700台の冷凍車が存在し、前年よりも19.3%増加となっている。2019年に冷凍車の販売は45,000台であり、これは前年よりも27%の増加であった。自動車の市場は弱かったが、冷凍車の市場は強さを発揮した。現在軽トラックが中国で販売されている冷凍車の主な車両であり、販売台数合計の半分以上を占めている。

冷凍車産業の発展にはいくつかの傾向がある。第一に冷凍車は徐々に大型車又は小型車に向かって進歩しており、機能性に優れ、ハイテクも装備されている。第二に製造技術は柔軟性、専門性、及び製造ネットワークに向かって発展している。第三に車両構造は合理的になり、ボディには新素材が使われている。第四に通常のセミトレーラが冷凍車の主流になってきている。

〔JARN, June 25, 2020〕





12.インド政府 食品処理企業に1,000億ルピーの援助計画を発表

インドではコールドチェーン産業を押し上げるために、ナーマラ・サラマン財務大臣が、零細な食品会社、農産物企業、協同組合などを援助する構想を打ち出した。構想は予算規模1,000億ルピー(約1,430億円)で、モディ首相のヴィジョン「自立するインド」に沿って実施され、20万社の零細な食品会社を支援する。健康と安全性を向上した基準の遵守、小売り市場との統合、及び収入の増加などが主要な課題となる。組織化されてない零細な食品会社は技術的な向上を必要としており、インド食品安全基準の遵守、ブランドの確立、及びマーケティングを必要としている。

インドには250万社におよぶ未登録の食品処理企業があり、売上ベースの98%を占めている。組織化されておらず、正式なものではない。これらの企業のうち、66%は地方に存在し、80%は家族経営の形態をとっている。

〔JARN, July 25, 2020〕



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