海外短信

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No.665 2019年10月

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東芝キヤリア・インド インドでのVRF生産を開始

急速に成長しているVRF市場をリード

東芝キヤリア・インド(TCAI)は5月7日、インド ハリヤナ州グルガオンの生産設備のオープニング・セレモニーを行ない、VRFの生産を開始した。セレモニーにはインドの顧客、政府関係者、キヤリアおよび東芝グループの関係者など約80名が参加した。



スピーチする東芝キヤリアの久保徹社長


東芝キヤリアの久保徹社長は「インドは高い経済成長、人口の増加、またエアコンの普及率が比較的低いことなど将来成長する要因が十分にそろっている。東芝キヤリアグループは世界で事業拡大を目指しており、インドは最も重要な市場のひとつである。TCAIを設立した利点を十分に生かして、市場の競争力を高めていきたい」と述べた。

TCAIは2018年8月14日にインドにおける業務用空調機事業を強化するために設立された。インド市場向けの商品企画と開発を行ない、キヤリアのインドにおける現地法人キヤリア・インドの生産設備を活用して現地生産を行う。さらにキヤリア・インドのインド全土に展開している販売網を活用して、急速に成長しているVRF市場をリードすることを目指している。


〔JARN, July 25, 2019〕



ダイキンの「R32空冷チラー」と三菱電機の「超低騒音エコダン」
英国“H&V ニューズ・アワード2019”を受賞

英国の冷凍空調業界誌H&VNewsが主催する“H&Vニューズ・アワード2019”において、業務用空調分野でダイキン・アプライド英国の「EWAT-B空冷チラー」、また住宅用空調分野で三菱電機の「超低騒音エコダン」が年間最優秀製品に選ばれた。同賞は1994年から始まり2019年に25周年を迎えた。冷凍空調の安全性、高効率、生産性、および快適性に貢献した企業や個人を広く表彰している。2019年は製品、企業、プロジェクト、個人など26のカテゴリーで表彰された。

ダイキン・アプライド英国の空冷チラーは、この製品区分では初めてR32を使用したものであり、単一冷媒であるためリサイクルやリユースが容易であること、SEERも従来のR410Aよりも10%ほど高いことなどが評価された。

三菱電機の「超低騒音エコダン」空気熱源ヒートポンプは、特に静粛性を目指して設計された。住宅用建物の騒音許規制値をすべて下回っている。据付の自由度が高く、暖房・給湯の信頼性も高いことが受賞につながった。

〔RAC May 2019〕




富士通ゼネラル オーストラリアで「最も信頼性の高いブランド」に選出
消費者の支持を集め2年連続で高評価を獲得

雑誌リーダース・ダイジェストのオーストラリア版が主催する表彰制度「最も信頼性の高いブランド」のエアコン部門で、富士通ゼネラルが2年連続して選ばれた。

富士通ゼネラル・オーストリアのセールス・マーケティング部長であるデーブ・スミス氏は「富士通ゼネラルはオーストラリアで事業を始めてから今年で45周年となる。ブランドの成功は我々の哲学がベースになっている。顧客には全体的な視点から対応するようにしている。製品の信頼性や品質の良さだけでは顧客への対応が十分とは言えない。空調システムの据付から廃棄までの全期間において最善の支援を提供するようにしている。富士通ゼネラルはこれからも優れた品質の空調システムを提供していく。それと同時に熱心な社内の顧客対応技術チームがこれまでにないような顧客サービスを行っていきたい」と述べている。

リーダース・ダイジェストの「最も信頼性の高いブランド」は、オーストラリアの消費者に対してどの製品やサービスが最も重要かを質問して決定するもので、今年で20回目となる。


〔JARN May 25, 2019〕




パナソニック 米国におけるVRF販売代理店としてオコーナー社を選定
米国中西部にVRFを拡販

パナソニックは5月6日、米国の冷暖房空調機器の卸売業者であるオコーナー社が、米国カンザス、オクラホマ、ミズリー、ネブラスカ、およびアイオワ州の顧客に対するパナソニックのVRFの代理店になると発表した。

オコーナー社は1920年に設立され、これまで集合住宅、老人ホーム、学生寮、医療施設、および宿泊施設などへ機器の据付やサービスを行ってきている。空調機器の販売会社マンチーズ・サプライの子会社であり機器販売で表彰もされている。優れた顧客販売を目指してきており、パナソニックはこの点を評価した。

パナソニック・アプライアンス・ノースアメリカの副社長であるアラン・ジワキ氏は「パナソニックはオコーナー社と共に中西部に商売を伸ばすことを喜んでいる。オコーナー社の冷凍空調チームは新規建設からメンテナンス、建て替えまですべてに対応し、顧客を満足させうる。中西部におけるオコーナー社のマーケットシェアを基にすればどこまで販売を伸ばせるか楽しみにしている」と述べている。

〔JARN, May 25, 2019〕



欧州ヒートポンプの販売数量は2018年12%の伸び
2015年から4年連続二桁の成長率

欧州19カ国から成る欧州ヒートポンプ協会(EHPA)のデータによると、2018年のヒートポンプ市場は2017年対比12%の増加となり、125万台以上のヒートポンプが販売された。ヒートポンプ市場は6年連続して成長し、ここ4年間は二桁の成長率を示している。



欧州ヒートポンプ販売数量の推移(百万台)(EHPAデータ)



国別にはフランスの販売数量がトップであり、2019年もさらに伸びる予測となっている。イタリアの二番の地位は変わりそうもなく、スペインが三番,スウェーデンが四番と続いている。

スウェーデンでは地域暖房がビル暖房市場では53%と大きなシェアを持っており、ヒートポンプが22%で続いている。一人当たりのこれまで設置されたヒートポンプ台数ではスウェーデンが世界で最も多く、これまで150万台が据付られている。ヒートポンプは伸びる予想となっており、地域暖房からヒートポンプへの変更が主要なトレンドになっている。


2018年欧州の国別ヒートポンプの販売台数(千台)(EHPAデータ)
(上からフランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、ドイツの順)


〔JARN May 25, 2019〕



欧州EPEE ビルの省エネ実行ガイドラインを発行
5つの項目でよい事例の推奨と詳細な方策を明らかに

欧州の冷凍空調産業の団体である欧州エネルギー・環境パートナーシップ(EPEE)は、ビルエネルギー性能指令(EPBD)の5つの項目を明確にするためにガイドブックを発行し、指令の実効を上げるためのよい事例を示した。

「EPBDの昨年の改訂により、ビルの分野で効率改善という大きな潜在テーマに引き続き取り組むための法的な枠組みはできた。しかし、この法律を効果的に実行することこそ、欧州が実際にゴールに到達するために重要なものとなっている」とEPEEは述べている。

ガイドブックは、欧州全体で協調して実行するために、次の項目についてよい事例を推奨し詳細な方策を明らかにしている。

 ・定期的な検査の実施と改善の戦略
 ・ビルのオートメーションとコントロールの採用
 ・欧州スタンダードの実施
 ・改善プロジェクトでは高効率システムへ代替
 ・部分負荷特性の改善

〔RAC July 2019〕




世界VRF標準作成ワーキング・グループの第2回会合が開催
米国冷凍空調工業会(AHRI)が草案を提示

世界VRF標準ワーキング・グループの第2回会合が4月の中国制冷展2019の間に上海で開催された。参加者は米国冷凍空調工業会(AHRI)、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)、中国冷凍空調工業会(CRAA)、日本冷凍空調工業会(JRAIA)、VRFの製造メーカー12社、およびJARN。AHRIのスティーブ・ユーレクCEOはワーキング・グループの目的は新たに世界が受け入れることのできるVRFの標準を作ることにあると述べた。VRFの試験方法および性能表示について、いかなる国、地域、および世界の標準からも受け入れられるものとする。標準は製品機種間の比較のベースとして用いられ、またビルの実際のデータを取得するためのものであることでワーキング・グループは合意している。

AHRIが討論のたたき台および取りまとめの方向性を議論するものとして、草案の初稿を提示した。いくつかのメーカーがこれに対してコメントを提出した。次回の会合は2019年7月にベルギーのブルージュで開催される。

〔JARN May 25, 2019〕




中国 高効率機への買い替え促進の補助金を再開
製造業者にも販売促進策の実施を要請

中国の国家発展・改革委員会は2019年4月、自動車、家電製品、民生用電子機器の買い替え促進および循環型経済構築のための2019-2020年計画について、パブリックコメントを募集した。計画は効率の悪いエアコン、冷蔵庫、洗濯機、ガス・電気湯沸かし器、テレビなどの家電製品を買い替えることを奨励している。中央政府は最大で価格の13%、または800元(約12千円)を補助する。対象は国家エネルギー効率のグレード2を超えるもので、輸入製品は技術標準である中国製品安全強制認証制度(3C)を取得しているグリーン・インテリジェント住宅製品となっている。

更に、農村地域に住んでいる住民が下取りキャンペーンへの参加を促すために、低所得者および貧困市域に住んでいる住民は、旧式の製品を拠出しなくても下取りの補助金を受け取ることができる。製造業者は、国家の補助金方針に従って購入者には何らかの恩恵を与えたり、古い家電製品を貧困市域に寄付した者には何らかの賞を授与することを要請している。

〔JARN May 25, 2019〕




中国のRAC輸出企業 2019年は悲観的な見通し

中国のルームエアコン製造業者は2019年、経営が大きく悪化してきている。企業間競争が激しく価格競争も始まっている。

中国の税関によると、中国からのRACの輸出台数は2月末の時点で前年と比較して年間12%の減少となっている。2018年8月から2019年2月までのRACの輸出台数は2,454万台であり増加率は1%以下である。金額ベースでは8.2%の減少であり、平均単価は9%下がっている。

輸出先別にみると、北米は約700万台、40%の増加が目立っている。米中貿易戦争による落ち込みを避けるために、短期的に出荷を急いだ。長期的な対応としては北米での生産や企業買収を志向している。欧州は13%の伸びとなっている。トルコ経済の不安定さと英離脱のマイナス要因はあるが、経済は安定しているため、市場の成長が見込まれ、特に建設市場の伸びは大きい。その他の地域向けでは輸出が減少している。

世界経済は回復基調にあるが、世界貿易はまだ緊張した状況にある。中国では人民元の下落、地政学上の不安定さにより、RAC輸出企業は経済、政治、気候など対応が困難な要因の影響を受けている。

〔JARN, May 25 2019〕




中国 VRF市場の急速な回復は難しい模様

中国のVRF市場は2019年1月から2月にかけて流動的で弱含みの状況となっている。2月の売上は前年比回復してきているが、これは昨年の同時期の販売が低調であったことと今年はメーカーが物流を加速したことによっている。

統計によると、VRFの売り上げは2月に21億4千万元(約322億円)と前年同月比では9.3%増加したが、1月対比では7.4%の減少となった。国内販売は19億3千万元(約291億円)と前年同月比では11%の増加であったが、輸出は2億1千万元(約31億円)と前年同月比で3.8%の減少であった。

2019年は年初からすべてのVRFメーカーは販売促進策を展開した。これが奏功して2月の販売は伸びた。しかし、VRFの市場環境は依然厳しい状況にあり、国家統計局のデータによると1月から2月にかけての住宅販売の地域は前年よりも3.6%減少しており、住宅設備の市場も回復していない。

上流工程ではスクロール圧縮機の月次販売が40%減少しており、業務用空調でのVRFの市場が急速に落ち込んでいることを示している。短期的にみるとVRFの市場が急速に拡大するのは難しいとみられる。

〔JARN, May 25 2019〕




ブラジル 2019年第1四半期のセパレート型RACは28%の伸び
暑い夏がRAC需要を押し上げ

ブラジルの2019年の夏はここ数年では最も暑いものであった。さらに経済活動も今年少し回復してきた。こうした要因がブラジルにおけるエアコン販売を押し上げた。

ブラジル冷凍空調工業会のデータによると、2019年の第一四半期、エアコンの販売はかなり上昇した。事前データでは、前年同期よりも容量(トン)ベースで、セパレート型ルームエアコン(RAC)の販売は28%、パッケージエアコン(PAC)とチラーの販売は20%の増加であった。暑い夏はRACの需要を押し上げ、製品不足を招いた。

ブラジルでは地域によっては冬が寒く暖房を必要としている。セパレート型RACの市場ではヒートポンプが現在市場の40%を占めており、将来増加の見込みとなっている。

世界のトレンドに歩調を合わせ、ブラジル政府もエネルギー効率への規制を行なっている。鉱工業エネルギー省は国家電力エネルギー節約プログラム(PROCEL)を統括している。これはいくつかの部門においてエネルギーの効率化を促進している。またその他の施策としてはブラジル度量衡工業品質規格化研究所はラベル制度を実施している。

エアコンの効率はAからDまで4つのレベルに区分されているが、2018年7月31日付省間命令2により、EERが3.02以下のC,Dについては廃止されることが決まった。国内生産と輸入は2019年6月30日より禁止。製造業者と輸入業者による販売は2019年12月31日より禁止。代理店および小売店による販売は2020年6月30日から禁止されることになっている。

〔JARN, May 25, 2019〕




インドの空調産業 今年は二桁の成長となる見込み
インバータ比率が上がるなど技術も高度化

インドの空調機器メーカーは今年の市場成長を楽観的に見ている。2年間低迷したが、2019年夏の初期販売は業界繁栄の再来を示している。空調産業は高い技術と高効率化へのシフトを期待しており、インバータエアコンは市場でのシェアを上げる見込みとなっている。

インド気象局は夏の平均気温の上昇を予測している。これは需要を押し上げることになるが、メーカーは分割払いや長期保証などを導入して販売促進を図っている。

ダイキン・インドの取締役CEOのカンワル・ジート・ジャワ氏は「インドには巨大な潜在市場がある。空調産業は2019-2020年に14-15%で成長するだろう」と予測している。

パナソニック・インドの社長であるマニッシュ・シャルマ氏は「技術の高度化、高効率、健康およびライフスタイルなど消費者の好みは高度化しており、これがエアコン市場に前向きなインパクトを与えており、産業の成長を牽引している」と述べている。

ジョンソンコントロールズ日立空調・インドのVice President and General Managerであるグルミート・シン氏は「空調産業の成長はここ2年間ほど弱かったが、今年はこのトレンドが変わる。夏がタイムリーに始まってモンスーンの発生も例年以下の予報となっている。空調産業は来年にかけて二桁の成長であることを期待している」と述べている。


〔JARN May 25, 2019〕
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