海外短信 -各国の冷媒・市場動向-

No.652 2017年8月

米国 今夏R-410Aの価格が高止まり
中国からの原材料供給不足と米国のダンピング防止関税が要因
 米国の設備業者がR-410Aの高騰に苦慮している。昨年12月に150ドルで販売されていた25ポンドボンベが現在は240ドルに値上がりしているのだ。
 産業界の情報によると、R-410Aやその他のHFC冷媒の高騰の原因は主に中国に端を発しているという。
 この1月、中国政府はホタル石採掘場とフッ化水素(HF)酸工場の労働安全規則を強化した。これによりHFプラントのいくつかは新たな規制への対応が完了するまで操業を停止することになった。HFC冷媒はHFから製造されているため、HFの供給不足がHFCの価格に影響を及ぼしている。
 これに加えて、中国では今年の初め、装置の故障によりパークロロエチレン(PCE)の主要な生産工場から出荷が減少した。この工場はHFC-125を生産している多くの生産者に原材料であるPCEを供給していた。HFC-125はR-410Aの基本材料である。
 また中国からのいくつかの輸入冷媒に課せられるダンピング防止関税も米国での高値の一因となった。
 これらすべての要因が重なって、世界でR-410Aの供給が逼迫する恐れがある。2017年、今夏の冷房シーズンも高値が続く見込みとなっている。

中国からの原材料供給不足と米国のダンピング防止関税の要因により
米国でのR-410Aの価格は今夏高止まり
http://www.achrnews.com/articles/135298-brace-for-high-refrigerant-prices-this-summer
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News July 3, 2017〕

ダイムラー R-134aを使用した13万4千台のメルセデス車のリコールを命じられる
 ダイムラーがドイツ連邦自動車庁(KBA)から、法令に違反してR-134aを使用したことにより、13万4千台のメルセデス車のリコール命令を受けている。
 ダイムラーは欧州のカーエアコン冷媒の低GWP化(MAC指令)によりR-134aの使用が法律違反となった以降も同冷媒を使用したモデルを生産したことによりリコール命令となった。ダイムラーはリコール対象車をR-1234yfに変更し、一連の安全対策を実施することになる。
 MAC指令は2013年に新モデルを対象に発効し、冷媒のGWPは150以下とすることを要求している。しかしダイムラーは代替となるR-1234yfはある条件では安全とはいえないと主張していた。
 今年の1月、MAC欧州指令の適用対象が新モデルに限らず、すべての車種に拡大された。これによりダイムラーは推奨するCO2冷媒をすべてのモデルに採用できるまでの期間、R-1234yfを採用することにしている。
〔RAC, June 2017〕

英国 環境貿易協会連合(FETA) 微燃性(A2L)冷媒の安全な使用を指導するワーキング・グループを設置
 英国の冷暖房機器の製造から販売、施工の業界団体の集まりである環境貿易協会連合(FETA)が、微燃性冷媒の使用についてのガイダンスを提供するために、新たなA2L冷媒についてのワーキング・グループを立ち上げた。
 HFO、混合冷媒、およびR32の安全な使用を解説したガイダンス“A2L冷媒の概要と冷凍、空調およびヒートポンプでの使用”を発行している。
 「これらの冷媒は今後市場で大きな役割を果たすことになる。特に空調では重要であり、空調における将来の代替冷媒はA2Lとなる」とグループは述べている。
FETA ガイダンスpdf
〔RAC, June 2017〕

米国冷凍空調工業会の技術研究所(AHRTI)
可燃性冷媒の漏えいと発火試験のレポート発行
 米国冷凍空調工業会(AHRI)の技術研究所(AHRTI)が可燃性冷媒に関する初めてのレポートを発行した。これらの冷媒はモントリオール議定書の改正で高GWP HFC冷媒の代替となりうるものである。
 この調査と試験プログラムは、AHRI、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)、米国合衆国エネルギー省(DOE)、およびカリフォルニア大気資源局(CARB)が予算520万ドル(約5億7千万円)で実施している調査研究の一部であり、低GWPの微燃性および可燃性冷媒を実際の設置に模して試験をしたものとなっている。
 「高GWP冷媒の使用を段階的に削減しようと世界で努力されており、それにはこの研究が必要となっている。現在の規格や標準を改訂して、環境に適合した冷媒を安全に使用しなければならない」とAHRIのカリム・アムレーン上級副会長は述べている。
 レポート名称は“A2L冷媒の部屋全体への漏えいと発火試験を基にした基準リスク”であり、2016年6月から実際の室内での漏えいと発火の試験を開始していた。

レポートpdf:365pp、44MB
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News July 10,2017〕

米国のユニタリー・エアコンの市場規模
2021年に110億ドルに達する見込み
 米国におけるユニタリー・エアコンの需要は、2021年まで年率4.9%の伸び率で増加し、110億ドル(約1兆2千億円)の規模に達し、その後も引き続き空調機器の販売全体で良好な成績を上げると予測される。老朽化した機器の更新需要が販売を押し上げている。台数ベースではユニタリー・エアコンの販売は2021年まで年率2.7%の伸びとなり、590万台に達する。この予測は米国オハイオ州クリーブランドの市場調査企業フリードニア・グループが“米国における空調機器の市場”で明らかにしたものである。
(レポート:123pp
https://www.freedoniagroup.com/industry-study/air-conditioning-equipment-market-in-the-us-by-product-market-and-region-3524.htm
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News June 19,2017〕

中国 空気清浄産業が伸長 換気機能を備えたフレッシュエアーシステムが注目商品に
 中国では消費者の健康志向が高まり、空気質に対する関心が増加している。また空気清浄機について新たな国の標準が制定されたため、消費者にとって機器の選定に際して重要なガイダンスとなっている。
 2017年5月に中国で空気清浄産業サミットが開催され、これに合わせて空気清浄産業のレポートが発行された。(写真)
 レポートによると2016年の空気清浄機の市場規模は142億9千万元(約2350億円)で前年より17.7%の増加。台数ベースでは577万台で前年より9.5%の増加であった。
 空気清浄機ではクリーンエアー供給率(CADR)が400以上の高級品がマーケットシェアを上げており、市場でのブランド数は減ってきている。
 空気清浄と換気の2つの機能を備えたフレッシュエアーシステムが新たな注目商品となっている。2016年の市場規模は60億元(約990億円)であったが、2017年には150億元(約2500億円)に達するものと予測されている。中国における空気清浄産業は、空気清浄機を主体とした第一世代を終えて、空気清浄機と換気を備えたフレッシュエアーシステムとの組み合わせによる第二世代に入っている。

写真:中国空気清浄産業サミット
〔JARN, June 25 2017〕