資源エネルギー庁長官賞
三菱重工サーマルシステムズ株式会社

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No.669 2020年5月

2019年度省エネ大賞概要はこちらから


(製品・ビジネスモデル部門/製品(輸送)分野)
配送用途に適したプラグインハイブリッド輸送用冷凍ユニット



写真1 受賞式の様子



1.開発の背景
輸送冷凍機が解決すべき課題として、食の安全を守る輸送品質、快適な暮らしを守る環境・騒音対応、お客様の企業活動を支援する経済性、働き方改革にも対応したドライバー負荷低減が挙げられる。

これらの課題を同時に解決すべく、当社は配送用途に適したプラグインハイブリッド輸送用冷凍ユニットを開発した。





写真2 製品外観




2.製品概要
本製品は、冷凍機専用発電機・電池を有し、これをディーゼルトラックやハイブリッドトラックに搭載する。独自のコンバータ・インバータ技術により前述の発電電力及び電池電力での冷凍機運転を可能にすることで、トラックが停止する停車配達中やアイドルストップ中にも、冷凍機は停止せず自動的に継続運転可能な冷凍機システムを実現した。


①プラグインハイブリッドシステム
エンジン駆動冷凍機(従来型)とプラグイン電池駆動冷凍機の長所を併せ持つプラグインハイブリッド輸送冷凍用システムで、拠点、走行での商用電源充電、走行中の充電、配送先でのバッテリー運転を冷凍機が適切に選択し、ドライバーは冷凍機の管理に煩わされることなく、運転や配送に集中する環境を提供する。





図1 方式毎のメリットデメリット




図2 プラグインハイブリッド動作





②バッテリー残量に応じたインバータ自動制御
冷凍機がバッテリー残量や庫内温度に応じて自動的にパワーセーブ、高効率、ハイパワーとモードを切り替え、バッテリー残量やバッテリー寿命に配慮したインバータ制御を行う。また、ドライバーから冷凍庫内の温度と電池残量が一目でわかるよう、コントローラ液晶上に庫内温度と電池残量を常時表示することで、冷凍機運転状態・品温状況の確認作業を容易にし、この点でも運転に集中できるよう配慮した。





図3 インバータ制御モード




図4 表示パネル




③マルチエバポレータによる冷蔵冷凍温度維持
冷蔵室、冷凍室にそれぞれ専用庫内ユニットを設置したことにより各室独立温度調節が可能で、外気温度が氷点下になった場合でも、冷凍室温度は低く保ちながら、冷蔵室には加温機能を適用して冷蔵品の凍結を回避できる。また、荷物の有無に応じて冷蔵室又は冷凍室の一方のみの温調運転も可能で、不要な空間を温調するエネルギーロスも防ぐことができる。




図5 マルチエバポレータ




④メンテナンス容易性確保
高効率・高変換電圧比のコンバータ技術や、電池寿命を大幅に伸ばす充放電監視及びインバータ制御を盛り込むことにより、オルタネータやバッテリーには、普及が進んでおり、衝突時、メンテナンス時の安全性も高い、24V自動車用汎用機器を用いることができた。これによりメンテナンス時の費用や特殊作業の低減が期待できる。


3.省エネ効果
宅配用途において、本製品は駐車中の冷凍、冷蔵庫内温度維持を確保しながら、従来型輸送冷凍ユニット対比14~54%の省エネ、14~64%のCO2削減、14~70%の冷凍機エネルギー費用低減を両立する試算結果となった。




図6 省エネ効果




4.おわりに
当社は今後も、電動輸送用冷凍機の性能向上とさまざまな車両に対応するラインナップ拡充に取り組み、コールドチェーンにおける環境負荷の低減、ドライバー負担の軽減、輸送品質の向上を通して人々の暮らしの向上に貢献していく。


以上
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