念願の欧州駐在、ゼロスタートからの挑戦「私の海外駐在記~ドイツ~前編」パナソニック株式会社 小林賢二

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No.674 2021年1月

新年もWEBマガジンで人気の海外駐在記をお届けします。
今回は、現在コロナ禍でありながら、2017年より今もドイツ駐在中のパナソニックの小林様に現地での生活についてご寄稿いただきました。では早速、前編スタートです。


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1. もう一度海外で仕事がしたい…念願の欧州駐在

2017年4月にドイツへ赴任し、4年目を迎え、現在も駐在生活継続中です。
20代後半に、中東のドバイに駐在した経験があるのですが、業務の都合上約2年半程度で帰国。仕事も生活も不完全燃焼の思いがあり、会社人生の中でいつか、もう一度海外駐在ができないだろうかと考えており、50代に差し掛かかりもう後がないと焦り始めたところ、幸運にも駐在の辞令が下されました。仕事で縁が深かった欧州ということで、年齢を顧みずゼロからリスタートのつもりで赴任させていただきました。

赴任先の会社は、欧州全域の空調機販売を行っており、フランクフルトから車で30分くらいのヴィースバーデンという町にあります。ルフトハンザのメインハブ空港で発着便数が非常に多いフランクフルト空港までは20分程度で行けるので飛行機で出張するには非常に交通の便が良いロケーションです。

ヴィースバーデンの“バーデン”はドイツ語で浴場(温泉)の意味で、その歴史はローマ時代にまで遡るようです。日本ではなじみが薄い町かと思いますが、比較的裕福なドイツ人が多く住み街並みもきれいで温泉もありちょっとした観光地になっています。


写真1:勤務先外観



写真2:ヴィースバーデン中心部、湯気が立っているのがわかりますか?


2.ドイツの気候は夏と冬のみ
ヴィースバーデンの人口は約28万人、アパートのあるフランクフルトはドイツで5番目の都市で約76万人です。ドイツ全体の人口は8,300万人、最も人口の多いベルリンは380万人、フランクフルト以降の都市は100万人以下となっています。地方分権の歴史が長いため日本のように人口の集中はありません。

地理的には北緯50度に位置しており、サハリン(旧樺太)の中央部とほぼ同じ緯度になります。

ドイツは11月から3月中旬くらいまでは日が短く曇りや雨が続き日照時間がわずかです。ヴィースバーデン周辺の4月~10月は比較的晴天が多くて湿度も低く気持ちの良いシーズンになります。日本のように春夏秋冬はなく、快適なサマーシーズンと寒いウインターシーズンにはっきり分かれます。わかりやすい例えで言うと、ドイツ人のプライベートの服装は、Tシャツかダウンジャケットといった印象を受けます。

北半球なので北が寒く南が暖かいものと思っていましたが、図1の1月のドイツの気温にありますように、北に海、南にアルプスという地形から南部より北部のほうが暖かいということになります。


図1:2020年1月のドイツの気温


寒い国ですので、建物の断熱や暖房設備はしっかりしていて家の中は冬でも快適です。住んでいるアパートにはラジエータによる温水暖房が設置してあり、真冬でも20度程度に維持できますが、逆に冷房設備は一般の住宅にはほとんど普及していません。もともと涼しく湿度が低いため必要なかったのだと思いますが、赴任後の8月は真夏日が何日もあり一般の家庭でも冷房が必要だと思い始めた人は多いと思います。

ただし、アパートは壁が厚く工事が困難、騒音を気にするため室外機の設置場所がないなど、エアコンの設置が容易ではないため、暑い日の日中はシャッターを閉めて日差しを遮り扇風機でしのぐという生活になっています。


写真3:アパートの暖房設備(ラジエータ)


3.ソーセージとビールだけではない、無農薬や自然食品…環境意識が高いドイツ

ドイツというとポルシェ、ベンツなどの高級車、ベートーベンなどのクラシック音楽、サッカー、ロマンチック街道とお城、ドイツビールなどを思い浮かべるでしょう。国民性はまじめでやや堅物で何となく日本人に近いイメージを持たれている方が多いかもしれません。ここでは実際に生活してみての実感やエピソードを紹介できればと思います。

赴任して、まずは、食べ物や身の回りの物を買うためスーパーなどに行きます。近くのスーパーでは日本の食材はほとんどありません。魚介類は少ないのですがそのほかのものは一通り揃っていて不自由はありません。フランクフルトの中心部に行けば新鮮な野菜、果物、肉、魚、他の国の食材などが揃うマーケットやアジア食材を扱う店もあります。また、ドイツは無農薬の自然食品や環境への意識が高く、それらを扱うBioスーパーがたくさんあり多少値段は高めですが非常に人気があります。





写真4:フランクフルトのマーケット(クラインマルクト)


4.ドイツ人は割と几帳面!?ルールはきちんと守ります。
日本人の行列好きは海外では考えられないと聞いていたのですが、ドイツでもスーパーやお店のレジでは混雑時に長蛇の列ができていることはよくあり、クレームや割り込みなどせずに静かに並んでいます。日本人の方がせっかちで、ドイツ人は決まったルールはしっかり守る意識が強いように感じます。


5.欧州では常識、速度無制限のアウトバーン(高速道路)
自宅から会社まで毎日車通勤です。赴任してしばらくは道路工事がなかったので、片道40㎞の距離を約30分で通っていました。単純計算で平均時速80㎞ですが、こんなに速いのは通勤路のほとんどが “アウトバーン(高速道路)” を通るためです。ご存知の通り、アウトバーンは速度無制限の区間が多くあり実際に時速200㎞以上で走行するのも普通です。アウトバーンは戦前のヒトラーのころから整備が始まり、ドイツの都市間を繋ぎ国中を網羅しています。無料で道幅も広く、3、4車線ありますので工事渋滞さえなければドイツでの運転経験がない人でも国中どこへでも快適なドライブができます。



写真5:アウトバーン(高速道路)


6.アウトバーンでの運転時に注意するポイント
ドイツで運転する場合いくつか注意しなければならないことがあります。一つは、アウトバーン内には時速100kmの区間、工事中で時速80㎞の区間があり、制限速度の切り替わる地点に取り締まりのカメラが設置されていることが多くあります。少しの速度オーバーであればペナルティの金額は安いのですが、時速25㎞以上オーバーすると1ヶ月の免許停止処分になります。また、トラックやバスなどの大型車は時速80㎞や時速100㎞などに上限速度が定められていて、通常は一番右側の車線を走っているのですが、これが追い越しをかけることがあり、その場合、わずかな速度の差で追いこすため、3車線中2車線を長い時間ふさいでしまいますので、急ブレーキをかけて速度を落とす必要が多々あり要注意です。


7.長距離運転が当たり前の欧州で、ポルシェ、ベンツが選ばれる理由
ドイツの人は本当に車が大好きで、ポルシェ、ベンツ、BMWなど高級車がたくさん走っているので豊かな国だなと思っていたのですが、実際に運転してみるとその理由がわかりました。長距離運転でも疲れない、高速走行性能、ブレーキ性能などが求められ、実用的に高性能の車が選ばれているようです。


写真6:移動式のスピード取り締まり、工事区間などによく設置されます。


アウトバーンのスピードは無制限ですが、市街地では時速50㎞住宅地では時速30㎞など細かく速度制限が設定されています。また、歩道が広く横断歩道で横断しようとしている人がいると車は必ず待つなど、歩行者への配慮はしっかりしています。
各都市を繋いでいる鉄道は意外なことに時間に正確ではなく、遅延や途中で停まってしまうことが頻繁に発生しますので、一般的に車での移動を好み日本より車社会といえます。

→後編(No.675)へ続く
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