八ッ場ダム取材から1年後

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No.667 2020年1月

八ッ場ダム見学から一年。その後を報告いたします。
前回の八ッ場ダム記事はこちらから


1.八ッ場ダム取材から1年後
2018年秋、当工業会のホームページ内「くらしの中の冷凍空調」で紹介されている「ダムクーリング」とは何だろうという疑問から実際に確かめてみることになった八ッ場ダム。取材当時は、堤体のコンクリート打設工事中。それが、2019年6月に打設工事は終了し、10月には試験湛水へ行程が移ったばかりでした。

2019年10月15日、広報委員会の一行は、雫石プリンスのロビーで、工事が終了し、いよいよ試験湛水を迎えることを祝う朝刊の全面広告を見かけたのですが、直前の台風で八ッ場ダムは満水になってしまっていました。


2.試験湛水とは?
1年前に訪れたこともあって、満水になってしまうとその後はどうなるの?とこれをきっかけに火がつきました。その疑問をクリアにするため、個人的に現場に行ってきました。




写真1: 周辺設備の工事中



まずは、写真のとおり、コンクリート打設工事は終了しているので、一年前にあったベルトコンベアや骨材タンクは無くなっており、ダムの管理事務所となる建物や堤体上の設備などの建設が始まっていました。そして、満水(標高583m)になっていたダム湖はというと、今度は水位を下げていくのだということでした。12月7日時点、標高541.2m程までに水位が下がっていました。



写真2: 12月7日時点の水位



試験湛水とはダム湖に水を貯めて満水にして、その後は水位を下げ、ダムの堤体や地盤、貯水池周辺の安全を確認するのが目的。本来なら、数ヶ月かけて水を貯めていくところでしたが、たった2週間で満水になってしまったのです。そして、12月12日、最低水位の標高536.3mまで下がったので、今後はこの水位を維持しつつ、安全性を確認していくということでした。あれ?水位は0mまで下げる訳ではないらしい?知らないことばかりで思わず、「満水になるまでの期間が短縮されて、前倒しで完成してしまうのですか?」と聞いてしまったのですが、まだ、管理事務所の工事や、堤体や周辺の整備があるので、完成は予定通り2020年3月とのこと。

3.見学会に参加
見学会に参加することで、個人見学ではなかなか、見に行くことができない下流側へ行くことができました。廃線になった吾妻線の線路をしばらく歩くと、116mの高さとなった堤体が見えてきます(TOP写真)。当時放水中だったのですが、紅葉が終わり、葉がなくなった木々のスキマから、ちらりと荒々しい音を立てて、しぶきが飛び散るのが見える程度・・・残念!



写真3: 電車系のマニアにはたまらない?



現在はまだ工事中のため、堤体に近づくことはできませんが、周辺が整備されると、堤体の真下から見上げたり、一般観光向けに完備されたエレベータで堤体の上に登ることも出来るようになるそうです。



写真4: 若草色に塗装されたゲート



4/おまけ
話題のダムカード。見学会の参加記念にいただきました。
見学会以外では、①やんば見放台②なるほど!やんば資料館③道の駅八ッ場ふるさと館や浅間酒造などのダムカード交換所の3箇所を巡ってスタンプを押しアンケートに答えるともれなく入手可能です。



写真5: 八ッ場ダム ダムカード Ver.0.8



2020年1月からは満水時の写真を掲載した新しいカードになっています。詳しくはこちら→ http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/yanba00327.html


5.最後に
まだ、正確な竣工日や試験放水予定などの日時がはっきりしていない(情報が得られない)のですが、3月の完成がとても待ち遠しく思います。

廃線を利用した自転車型トロッコを走らす計画や群馬県としては初の水陸両用のバスを運行する計画もあるそうです。周囲には温泉があり、春夏はキャンプなどアウトドア、秋には吾妻渓谷の紅葉、冬にはちょっと足を延ばしてスキーと、八ッ場ダム周辺は四季を通して、魅力的な観光スポットが満載です。ダムに興味がなくとも、訪れてみたくなりませんか?


以上

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