牛と水牛の見分け方は顔つき!?
「私の海外駐在記 ~ インド ~ 前編」 国際部 波多野

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No.672 2020年9月

今回の海外駐在記は、当工業会 国際部 波多野次長のインド駐在体験(前編)をお届けます。編集しながらだいぶ吹き出してしまいましたが…これからインドへ行く人には必見の情報満載です。それでは機知に富んだインド駐在記をどうぞ。2号にわたり掲載いたします。後編はこちら(No.673号)


過去記事はこちらから

ドイツ駐在記(パナソニック 小林様)
中国駐在記(日冷工 大井手)
インドネシア駐在記(パナソニック 菅沼様)
ブラジル駐在記 (日立JC 佐々木様)
台湾駐在記(荏原冷熱 勇様)
中国マレーシア駐在記(日冷工 長野)
ロンドン駐在記(日冷工 笠原)
ノルウェー駐在記(日冷工 坪田)



写真1:インドといえばナンとカレー
お、おいしそう~ 




1. 同僚のおっさん二人で老々介護の珍道中
2018年7月から2019年12月まで、現地のR&D部門の支援を行うため、2~3週間の出張を延べ11回、繰り返しました。私は性能・機能・構造・材料などの本体設計と技術管理関連分野の担当でしたが、私に足りない電装・制御設計や電気電子部品の信頼性設計分野を補完する、同期入社の同僚とのおっさん2人で、互いに老々介護しながらの珍道中。厳密には駐在ではありませんが、実際に見聞きし、感じたことを中心にインド・グルガオンでの出張生活をご紹介したいと思います。

弊社のインド工場はデリー国際空港から西方の、ハリヤナ州ジャジャールにありますが、出向駐在員も出張者もグルガオンという街に生活の基盤を置いています。グルガオンはニューデリー近郊の、近年の発展目覚ましい国際都市です。

インドに出張といえば、ほぼ100%「お腹壊さなかった?」と聞かれます。口にする水(歯磨きのうがいも含めて)はすべてペットボトルを徹底、除菌ウェットティッシュで手指や食器類のケアを心掛けることで、幸い酷くお腹を壊すことはありませんでした。とは言え、滞在一週間を経過したあたりで、マイルドな下痢をするのは、ほぼ毎回のことでした。



写真2:グルガオンへいざ出発!



2. インド、アジアのさらに向こう側の遠い国
ニューデリーは北緯28度36分、東経77度12分にあり、東京からの直行便で往路10時間弱、復路は8時間強ですが、関西からは、東京、または香港、あるいは東南アジア経由になり、ドアtoドアで20時間近くかかり、日本に対する時差は-3.5時間。日本や日本製品に対しての印象も希薄で、まさしく「アジアのさらに向こう側の遠い国」です。仏教発祥の地とはいえ、残念ながら親近感は余り感じません。



3. インドの5~6月は気温45℃に。そよ風が…あ、あつい!
インドは国土も広く、気候もとても多彩ですが、大きく分けて、乾季・暑季・雨季の3つの季節があります。中でも北部に位置するデリーは、冬はコートやマフラーが必要なほど寒くなる一方、暑い時期には50℃近くにまで気温が上がる気温差の激しい街です。

デリーの乾季は10月~2月頃。1月は最低気温が10℃を下回り、朝晩には暖房が欲しくなる程です。日中は20℃程度まで気温が上がるので、薄手のダウンジャケットが役立ちました。そしてこの季節は毎朝濃霧が発生し、視界は10m程度までになります。
デリーの暑季は4月~6月頃で、4月には35℃を超えるようになり、5月~6月は45℃を超える日もあります。昨年の6月には46℃を体験しましたが、そよ風を受けると逆に暑いんですよね。

7月~9月頃は雨期です。1日に何度かスコールがあり、道路の水はけが良くない所では大きな水溜まりになって、慢性的な交通渋滞をさらに悪化させます。水溜まりの余談ですが、郊外で水溜りができると、どこからともなく野豚の親子が現れて水浴びしています(写真はありません)。 


写真3:1月は朝晩気温が下がって、
濃霧が発生します





写真4:スコール後の水溜まり


4. アメリカ式の大気質指数「AQI」て、ご存じですか?
大気汚染の尺度として、アメリカ式の大気質指数「AQI」があり、例えばこの数値が100を超えると健康に影響があると言われていますが、昨年11月初めのニューデリーでこのAQIの数値が、999を記録しました。測定可能な数字が999までとのことなので実際はそれ以上だったようです。私の最後の出張はその直後ということもあり、マスク持参で向かいました。その時のマスクと普段の除菌ウェットティッシュの備蓄が、後のコロナ・マスク/除菌グッズ騒動時に役立ちました。コロナといえば、インドのロックダウンによって大気汚染が大幅に改善され、普段デリーから見えないヒマラヤ山脈が見えたとの報道もありました。



5. インドルピーは国外持ち出しは禁止です。
インドルピー(₹1≒JP1.5)は原則、国外への持ち出しが禁じられているため、日本での両替はできません。インド入国後に空港やホテルで両替しなければなりませんが、レートは自ずと不利になります。私の場合、現地駐在員に適正レートで両替をお願いしていました。駐在員も日本に出張するときに日本円をインドで買うとレートが悪いので、まさにWin-winです。



6. 不殺生を旨とするヒンドゥー教
13.5憶人の約80%がヒンドゥー教徒。ヒンドゥー教は不殺生を旨としているため、肉食を忌避した菜食主義も多くいます。レストランのメニューや食品の包装材に「緑の日の丸」があればベジタリアン食、「赤の日の丸」はノン・ベジタリアンの印です。

また、特に神の遣いである牛を食べないことはよく知られています。が、市中には韓国焼肉店もあり牛肉を提供しています。また日本食レストランもグルガオンにはたくさんあり、我々出張者が困ることはありません。ふと、今思えば、日本食レストランには、鶏肉、豚肉はありましたが、牛肉は無かったような気もしてきました。


写真5:「緑の日の丸」はベジタリアン




写真6:「赤の日の丸」はノン・ベジタリアン




7. よく見たら、牛と水牛てお顔立ちが違いますね
首都圏とはいえ都市部から車で30分ほど郊外に出れば、そこここで牛がぶらついているのを目にするようになります。さらに田舎に行くと、家畜として使役に使われている牛もいます。神様の遣いじゃないの?聞くところによると、家畜になっているのは水牛で、牛とは違うとのこと。そこで、見分け方をネットで調べてみたら、「顔つき」というのが出てきて苦笑してしまいました。曰く、牛は高貴な顔立ちで、水牛はちょっと間抜けヅラって、悪意ありますよね。



写真7:言われてみれば高貴なお顔立ち



 
写真8:とすると君は・・・




8. パーティーでは踊る踊る!踊るマハラジャ!
何度目かの出張の際、現地会社の運営方針発表会がありました。新年度の運営方針発表や、前年度の業績表彰と共に、夕方にはホテルのボールルームでのディナーパーティーまで、この日のために全社員お揃いのポロシャツを準備して(出張者の私の分までありました)、1日がかりの一大イベントです。パーティーでは食事もそこそこにカラオケが始まって、それと連動して踊り始めます。この日、人事考課のフィードバックもあって、給料が上がってテンションも上がっている者、本人が思うほど評価されず、不満を発散させる者、それぞれの心の内は分かりませんが、皆一心不乱に踊りまくります。インド映画では唐突に踊り始めるのは定番ですが、現実もそうなのですね。

写真9:踊る踊る

それでは、後半もお楽しみに!

以上
次号(No.673)後編へ続く

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