クローズアップ 「米国における住宅用R-410Aの将来性は?」

No.651 2017年6月

“使用が続くのであろうか”

 米国においてR-410Aの使用は続くのであろうか。環境保護局(EPA)は住宅用のR-410Aを規制するとは表明していない。トランプ政権の下でEPAはオバマ政権の時代よりも規制には積極的ではない。段階的削減をEPAはさらに強めようとはしないであろう。将来にわたって住宅用のR-410Aは十分確保できるのではないか。
 しかし、R-410AはHFCであり、モントリオール議定書のキガリ改正では米国を含む先進国は、2019年までにHFCの消費量の削減を開始することを合意している。キガリ改正は、米国議会で批准されなければならないが、HFCの消費を2047年までに85%削減することになっている。
 米国のHFCに関わる主要な企業から構成されている責任ある大気方針連盟は、環境負荷の少ない新たな技術の開発と商品化を約束してきている。
 またR-410AはGWPが2,088であり、カリフォルニア州大気資源局(CARB)の冷媒管理プログラムではGWPが150以上の冷媒は規制対象となっている。
 最終的に、新規チラー用途ではSNAP(大気浄化法の重要新規代替物質政策)プログラムのリストから外される見込みである。
 R-410Aの使用は続けられるのであろうか。



冷媒メーカーの見解は

 ハネウェルのケン・ゲイヤー副社長は、EPAの規制で住宅用途のR-410Aを対象にしているものを全く聞いたことがないとし、「顧客に製品の供給を続けるつもりである」と述べているが、一方、今まで住宅用途ではR-410Aが規制対象となっていないとはいえ、ハネウェルは他の用途において顧客が次世代冷媒に転換するのを支援する、と付け加えた。
 アルケマのグローバル・ビジネス役員であるマシュー・リッター氏は「R-410Aは新しい空調機に使用され続けるであろう。既存の機器へのサービスではさらに長い期間使用されるであろう。EPAからキガリ改正に対応した国内計画はまだ発表されていない。しかし市場において低GWP冷媒へのニーズがあれば代替品を提供する」と述べている。
 
ビル規則での微燃性冷媒の規定制定を待つ

 ダイキン・アプライド・アメリカのプロダクト・ゼネラル・マネージャーであるビル・ディートリッヒ氏は「A2L微燃性冷媒を建築基準法で認めてもらうには多大な労力が払われた。ビル規則が改正されるまでR-410Aの使用は続ければよい。2024年からEPAのSNAPプログラムでは新規チラーでのR-410A使用はリストから除外されているが、産業界が微燃性冷媒に対する安全基準を策定するまで、EPAが冷媒の全廃を規定することは考えられない」と語っている。
 「2024年まで冷媒で大きな動きがあるとは思われない。その時までに微燃性冷媒の使用が規定されたら、業務用の方で先に使用されるであろう。住宅用ではR-410Aの使用が続く公算が高い。従ってEPAの段階的削減が続く限り、R-410Aの将来は確かなもののようにみえる。トランプ政権ではHFC冷媒の段階的削減の優先順位は高くない」とディートリッヒ氏は述べている。
 しかし産業界は研究開発を続けており、ディートリッヒ氏は「EPAが消極的であっても世界は前に進んでいる。ダイキンは環境負荷の小さい低GWP冷媒製品の開発を続けていく」と語っている。

R-410Aは岩盤の上

 アイコル社の副社長であるゴードン・マキニー氏は「昨年11月8日の大統領選挙の直接の結果として、R-410Aが早急に廃止される可能性は低くなった。誰にとっても廃止した場合のコストは高くなる。20年以上にわたって安全で、効率もよく、信頼性があり、経済的にも実用性があるR-410Aとその他のHFCは岩盤の上にあるといってよい」と述べている。

〔出典Air Conditioning, Heating and Refrigeration News March 13, 2017:Is R-410A here to Stay? http://www.achrnews.com/articles/134672-is-r-410a-here-to-stay