各国冷媒動向について活発に議論!日中韓会合

No.651 2017年6月

 2017年6月12日~14日にかけて当工業会主催の日中韓工業会会合を開催したので報告する。本年度は日本がホスト国となっており、日立ジョンソンコントロールズ空調殿の製造拠点にほど近い日本平ホテルにて開催した。
※本報告では会合を前半、その他を後半とする。

写真1:ホテルからの風景
【前半】

日中韓工業会会合
 昨年8月の韓国・済州での開催に続き、本年は6月13日、富士山と清水港が一望できる、静岡県静岡市にある日本平ホテルで開催された。韓国冷凍空調工業会(以下、KRAIA)からはHwanyong Nho会長以下4名、中国制冷空調工業会(以下、CRAA)からはShi Min会長以下5名が参加された。
坪久田会長の挨拶に続き、ゲストスピーカーとしてヒートポンプ・蓄熱センター馬渕事務局長、そして各工業会から各国の市場・業界動向、現在抱えている課題等のプレゼンが行われ情報の共有化を図った。以下、発表内容について概略を紹介する。

1.ヒートポンプ・蓄熱センター馬渕事務局長発表(ゲストスピーカー)
<アジアヒートポンプ・蓄熱技術ネットワーク(AHPNW)>
 AHPNWは東南アジアでのヒートポンプ・蓄熱技術の普及を目的として2011年10月に活動を開始した、主に技術者のネットワークである。現在の参加国は、中国/インド/韓国/インドネシア/タイ/ベトナム/日本の各団体で構成されている。毎年各国でワークショップが開かれ、今年は2017年10月に東京でワークショップを行う予定である。高度経済成長が続くアジアにおいて、地球温暖化防止のために化石燃料消費を抑えるヒートポンプ利用熱源の普及を各国の産学官、IEA事務局、欧州中国ヒートポンプ連盟と協力して進める予定である。

2.各国工業会発表
【韓国/KRAIA】
1) 市場動向
 2016年は大変な猛暑であり、PAC・RACエアコンの出荷量は前年の30%以上伸びている。VRFは韓国では2002年頃から普及し始め着実に拡大している。当分この傾向は続き、逆に中型のチラーの出荷量が減少するとみている。
2) 冷媒関連法規制動向
 韓国で使用されている主なHCFC冷媒はR22やR123で、2009-2010年の平均使用量2万6000トンが基準量となる。2015年のHCFC消費量は5.1%減少、R22生産量は11.7%減っている。この傾向が続けば当初の目標をかなり前倒しして、2020年の後半から2030年にはHCFC使用量ゼロを達成できる。
3) 冷媒管理者教育
 KRAIAは昨年から冷媒取扱業者に対する教育や資格の認定を行っている。このKRAIAの認定資格を来年からは国家公認資格にすることを政府に申請している。
4) 提案
 韓国では近年PM(粒子状物質)への関心が高まっている。2001年61㎍/㎥であったPM濃度(韓国全国年平均)は2012年以降約50㎍/㎥レベルに低下してはいるが、世界保健機構 (WHO) の年間基準値の2倍以上である。一方、ソウルなどの大都会では、高濃度の微細塵(PM2.5:粒子状物質)の発生回数が昨年に比べて2倍以上に増えており、国民の関心が非常に高まっている。今後このPMについての議論を進めることの提案があった。

【中国/CRAA】
1)市場動向
2015年に落ち込んだ冷凍空調業界は2016年に若干増となり、生産高5,760億元(前年比+4.7%)、輸出935億元(同+8.7%)となった。RACエアコンの出荷量は2015年に落ち込んだが、2016年は猛暑と不動産市場が好調であったことから回復した。VRFは、2015年には経済の不調により一旦落ち込んだがこれまで順調に成長している製品の 1 つである。設置の容易性、利便性が受けて近年は急成長している。
2)法規制動向
大きな動きは以下の3つである。
[省エネの推進]
 第13次5か年計画(2016年12月20日発行)「省エネ排出削減総合計画」により、省エネ改修、公共機関や新築ビルのグリーン建築基準、公共機関の冷暖房にクリーンエネルギーを使用する。
[石炭から電力への転換推進]
 北部でのクリーンヒーティングへの切替を推進中。石炭から電気、ガスへの転換、特にこれから3~5年は空気熱源ヒートポンプへ積極的な切り替えが優勢である
[物流分野での取組み]
 2020年までにコールドチェーン物流を積極的に推進し、食品の安全を守ることに注力している。
3)代替冷媒の動向
HPMP(HCFCs phase-out management plan)第2ステージが昨年スタートした。中国では4分野での計画が決定されている。冷凍空調分野では、ベースライン33%削減にあたるHCFC10,000トン以上の削減、その内6,500トンを生産ラインの転換で達成することになっている。代替冷媒候補としては、下記が挙げられる。
ヒートポンプ給湯機⇒CO2(業務用)
チラー⇒HFO、R290(小型)
冷凍冷蔵⇒NH3/CO2カスケード、NH3/CO2二元冷媒、NH3減量化、CO2トランスクリティカル
ユニタリーエアコン⇒R32
ルームエアコン⇒R290

【日本/JRAIA】(詳細省略)
1)2016年度市場動向
2)当工業会の世界のエアコン2016年需要推定(RAC、PAC、VRF台数)並びに地域別のインバータ比率、冷媒種比率を紹介
3)A2L冷媒のリスクアセスメント紹介(当工業会の英文HPより閲覧可能)

3.質疑応答他
  • PM2.5微小粒子物質などの大気汚染に関する規制、規格、政策などについて3ヵ国間での議論要請に対し業界として協力できる範囲で今後議論を継続することで一致した。
  • 韓国のヒートポンプ給湯機について。家庭用としてはボイラーが一般的であり、暖房施設のオンドルもその熱源で稼働している。ヒートポンプ給湯機の普及はこれからである。
  • 中国の2馬力までの家庭用エアコンの代替冷媒がR290との発表に対し、その根拠と実態についての質問があった。これに対し「R290は環境保護部と中国家電協会が研究、検討を行った結果であり、推奨であって強制ではなく各企業によって選択が異なる。安全性に懸念があることからR32などを選択しているメーカーもあり、R290使用製品は使用するロケーションが限られている。」との発言があった。


写真2:会議の様子

【後半】

日本平ホテル施設見学
 6月13日9:00 より日本平ホテルの空調施設見学を行った。日本平ホテルは2012年9月に「風景美術館」をコンセプトにオール電化で建て替えられ、静岡県のホテルとしては初めて「CASBEE 静岡」最高ランク”S クラス”に認定されている。空調設備は、パブリックエリアには使用時間帯や要求条件を考慮した各ゾーニング毎に再熱可能な4管式の空調機を設置。客室用には空冷ヒートポンプ式ビル用マルチ冷暖同時型を採用し、各客室ごとの冷暖房ニーズに対して細やかな対応が可能となっている。また地中熱を利用して空調の外気負荷を軽減するクールヒートトレンチも配備。その他、業務用エコキュート、LED照明、井水・雨水利用等の自然エネルギーの積極的な活用など徹底した省エネにより、売上高光熱費で約3%の削減の成果をあげている。

日立ジョンソンコントロールズ空調清水工場を見学
 午前中の会議の後は日立ジョンソンコントロールズ空調清水工場を見学。生産管理部部長阿部様からレクチャーの後、第一工場から第五工場まで業務用エアコンの組立ラインを見学した。

写真3:日立清水工場レクチャー

Welcome Party

 会議前日にホテル6階の銀河にて歓迎のパーティを行った。梅雨に入る直前でお天気が気になったがなんとか晴れてくれ、時期的に富士山はちょっと見えなかったが、日本平から駿河湾に臨む絶景をテラスから眺めながら乾杯した。北京の空に慣れている中国の皆さんに大変感動していただき、事務局としてもホッとした瞬間であった。

写真4:Welcome Partyの様子

観光

 久能山東照宮を見学した。日本平山頂の「日本平駅」からロープウェーで10分ほど、その間、駿河湾や切り立つ山々を眺めながら「久能山駅」へ降り立った。そこからは120段もある石段を杖を使いながら登り、ようやく久能山東照宮を参拝することができた。境内では英語ガイドより徳川の歴史について話していただき、中国・韓国の皆さんは興味津々に聞き入り、予定時間を少しオーバーして次の目的地に出発した。

 所感として、会議では活発な議論が行われ、有意義な会議であったと共に一番の心配事項であったお天気に恵まれ、最終日の出発前には少し富士山が顔を覗かせてくれたため、心置きなく日本平を後にした。日本平ホテルは、静岡では有名なホテルであり、各部屋やバンケットから富士山と駿河湾が一望出来る絶景のロケーションであった。

以上

(報告:国際部 矢本、総務部 朝倉)