総会後の懇親会

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No.651 2017年6月

 こちらでは、2017年6月2日に開催されました総会の懇親会の様子を坪久田会長と来賓で経済産業省製造産業局産業機械課の片岡産機課長のあいさつを中心に紹介します。


坪久田会長開会挨拶

 
本日はご多用の中、平成29年度日本冷凍空調工業会総会にご出席いただき、誠にありがとうございます。またご来賓としてご出席をいただきました経済産業省の皆様には、平素より格別のご指導、ご鞭撻を賜り、この場をお借りして御礼申し上げます。
 さて、昨年の総会で会長に就任いたしましてから、早くも一年が経過いたしました。この一年を振り返りますと、海外では英国のEU離脱方針決定や米国のトランプ政権発足に代表される自国第一主義の台頭があり、中国経済も下げ止まりの兆しは見えるものの米国との関係にリスクを抱えるなど、先行きに対する不透明感が強くなっています。その一方で、足元の日本経済は比較的落ち着いた一年であったように思います。当冷凍空調業界でも平成28年度の国内向け自主統計ベース出荷状況は、家庭用エアコンが前年比104.4%の853万台、業務用エアコンが前年比102.6%の79.4万台など、おおむね堅調な結果でした。今年度も引き続き、北朝鮮、シリアなど海外での不確実な動きが国内経済に波及する影響に留意しながら、慎重に工業会の運営を進めてまいりたいと考えております。

写真1:あいさつをする坪久田会長

 一方環境分野では国内外ともに大きな動きがあった一年でした。国際的には、10月にキガリで開催された第28回モントリオール議定書締約国会議で、HFCの段階的削減計画が実質合意されました。また、国内では11月に高圧ガス保安法および政省令が改正され、3トン以上の製品に微燃性冷媒を使用するための法的基盤が整備されつつあり、これらを踏まえて現在はフロン排出抑制法の改正へ向けた新たなHFC削減計画の検討が進められています。このような状況の中、昨年12月に神戸で開催いたしました第12回環境と新冷媒国際シンポジウムでは過去最多となる46の発表が行われ、参加者も海外16か国77名を含む571名とこちらも過去最多の盛況となりました。
 平成29年度も当工業会では昨年に引き続いて「環境問題への適切な対応」、「規格・基準への対応」、「安全性への取り組み」、「国際活動の推進」の4点を中心として取り組んでまいります。
 1点目の「環境問題への適切な対応」につきましては、昨年のキガリ合意により、日本などの先進国に対しては2019年から2036年にかけてのHFC削減スケジュールが設定されました。国内においては、平成27年4月に施行されたフロン排出抑制法の指定製品や指定内容を見直すことで、この削減スケジュールへ対応する予定で、当工業会でも具体的な内容の検討に積極的に取り組んでまいります。
CO2削減のためには、冷媒の低GWP化と合わせて機器の省エネルギー化推進も重要な課題です。当工業会ではこの分野でもトップランナー制度対象製品の拡大や見直し、今年4月から開始された建築物省エネルギー法への対応などを着実に進めてまいります。
 2点目の「規格・基準への対応」につきましては、当工業会では、昨年改正となった高圧ガス保安法および政省令の改正を実際に運用するため、微燃性冷媒に対応する製品ごとのJRA規格およびガイドラインの制定を進めてまいりました。これらの規格、ガイドラインは国際規格と調和することも大切であり、従来に引き続いてIECおよびISO国際規格の制定・改定作業に積極的に参画してまいります。
 3点目の「安全性への取り組み」につきましては、これまで通り消費者の皆様が安心してお使いになれるよう、電気用品安全法の改正についての業界方針の作成と、情報の周知徹底に取り組んでまいります。また、省エネなどを謳い文句にして、一部の業者が既存の空調機の冷媒を強燃性冷媒に入れ替える、冷媒回路を改造するなどの行為に対しても、これらの行為は非常に危険であるとの警告を継続し、引き続き行政等とも協力しながら対応してまいります。
 4点目の「国際活動の推進」につきましては、昨年は7月ウィーンで開催の国連公開作業部会OEWG38や、12月神戸で開催の環境と新冷媒国際会議で、微燃性冷媒のリスクアセスメントや、日本でのHFC削減の取り組みなどの紹介を行いました。今年はさらに強燃性冷媒のリスクを比較検討するアセスメントなども追加し、7月にタイで開催のOEWG39や、11月モントリオールで開催の第29回モントリオール議定書締約国会議などで紹介していく予定です。
 各国の工業会との連携としましては、欧州のEPEE、JBCEや米国AHRIなど各国の工業会とは継続して定期または各種イベントでの情報交換を行い、今年から開始した韓国、中国工業会との空調展でのブース交換についても継続していく予定です。また、今年の日中韓会合は日本がホスト国となり6月13-14日の予定で静岡にて開催予定です。
 昨年までアセアン諸国に対しては、省エネ製品の普及を目的とした冷房期間効率規格の導入協力を、中東諸国に対しては国連のプロジェクトに協力する形で微燃性冷媒知識の技術協力を行ってまいりましたが、今後も適宜協力対応を行ってまいります。
これらの活動に加えて、今年度は“HVAC&R JAPAN2018”を来年2月27日から3月2日までの期間、幕張メッセで開催を予定しています。会場は東京ビッグサイトから幕張メッセに変わりますが、これまでより会場面積を拡大し、ご出展およびご来場の皆様にご満足いただけるよう準備を進めてまいります。前回以上に活気のある展示会にしたいと考えておりますので、ぜひ皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 最後になりますが、地球環境問題への貢献と、日本の産業競争力の維持向上への一助となるべく、また当工業会と会員企業の皆様のさらなる発展と地位向上をめざして、微力ではございますが、会長としての職務を全うすべく全力を傾注していく所存でございます。皆様方からの引き続きのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、開会のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。


片岡産業機械課長のご祝辞

 皆様こんばんは。本日は無事、この年度の正式なスタートがきれた、記念すべき日にあたりまして一言お祝い申し上げたいと思います。また、常日頃より皆様におかれましては、経済産業省の行政への理解、ご協力をいただいていることについて、この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
 安倍政権発足から4年半が経過し、アベノミクスを通じて、名目GDPは47兆円増加し、企業収益も過去最高水準を記録。その結果、雇用は約170万人拡大するなど、経済の好循環を生み出すことができました。
 一方で世界に目を向けると、昨年の夏には英国のEU離脱や米国新政権発足といった大きな変化がありました。そのような中でも、自由貿易体制の強化の為に引き続き日本はリーダーシップを取らねばならないと思います。日米経済対話の枠組みを通じて自由で公正な通商ルールの実現や二国間協力の深化を図るとともに、TPPのハイスタンダードな合意内容のアジア太平洋地域へ浸透、拡大させていきたいと思います。また日EU・EPAの早期大枠合意をしっかりと進めていかなければならないと思います。そうした中で、まさに今朝のニュースにもございましたが、冷凍空調関係では、皆様ご承知のとおり、一昨年のCOP21での温室効果ガス削減目標に引き続き、昨年10月には、アフリカのルワンダにて開催された第28回モントリオール議定書締約国会議(MOP28)にて代替フロン(HFC)の段階的削減計画が実質合意(キガリ合意)され、また、昨年のアメリカの離脱表明等、ここ数年で大きな変化が次々起こっていると思います。
 さらに、国内では、微燃性冷媒の使用に向けた高圧ガス保安法関係法令の改正や、キガリ合意を踏まえたHFC規制に在り方について、産業構造審議会フロン対策WGで議論を進めるなど、法的基盤の整備に向けた着実な対応を進めていきたいと思っております。

写真2:片岡隆一産業機械課長

 第四次産業革命について、動きをSociety 5.0の実現につなげるためには、産業のあり方の変革が必要です。このため、機械、データ、技術、人、組織など様々なものが繋がることで、新たな付加価値の創出と社会課題解決をもたらす「コネクテッド・インダストリーズ」の実現を目指し、経済産業省としてもあらゆる政策資源を総動員していきたいと考えております。
 本年3月に工業会会員企業にもご参加頂いたドイツ、ハノ―バーでの展示会、「CeBIT」といわれる情報通信関係の展示会がありました。これまでは情報通信のものでしたが、これまでと少し違うとお感じになったのではないと考えております。実はその場で総理が、ある種旗印を掲げさせていただいたわけであります。
 あまり冷凍空調業界に関係ないように思われる方もいるかもしれませんが顧客にご提供いただいた機器とアフターサービスの部分が繋がるなど、非常に大きなビジネスチャンスがこの世界も存在します。そういったものに果敢にチャレンジしていただき、動きを拡大いただければ、皆様方がさらに元気になっていただけるという風に思っております。
 我が国の冷凍空調産業は、国内出荷額2兆円強の産業。グローバルでは10兆円以上の市場規模。冷凍空調は我々の生活に欠かすことの出来ない技術であり、冷凍空調機器は、家庭用のみならず、業務用・産業用など全分野にわたって、日本の社会基盤を支える重要な存在です。まさに、幅広い分野をカバーする冷凍空調産業が、「コネクテッド・インダストリーズ」によって、社会やユーザーが抱える課題の解決や、新たな価値を創出に、一層の力を発揮されることを期待しております。
 最後に、本日御参集の皆様方の益々の御健勝、ご活躍、事業活動のご隆盛を祈念して、私のお祝いの言葉とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。



写真3:懇親会に出席される方を出迎える理事


写真4:乾杯の音頭をとるパナソニック(株)役員の高木俊幸氏


写真5:会場の様子