2018年10月16日(火)に八ッ場ダム建設の際に行われているダムクーリングについて見学してまいりましたので、ご報告致します。※この度、国土交通省関東
冷媒フロン引渡義務違反強化へ(産構審/中環審合同会議から)
No.661 2019年2月
2018年12月18日(第7回、合同庁舎5号館2F講堂に於いて)、2019年1月16日(第8回、経済産業省本館地下2階講堂に於いて)の両日、産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループ及び中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会回合同会議(以下「合同会議」と呼称)が、公開審議で開催され、傍聴したので報告する。
フロン類(冷媒)の廃棄時回収率(*)は、フロン回収破壊法施行(平成10年)以降、10年以上3割台に低迷、フロン排出抑制法に改正後も直近で4割弱に止まっている。
一方、地球温暖化対策計画では、目標として2020年度50%、2030年度70%が設定されており、2020年目標達成に向けた対策が急務である。前回の合同会議では、回収率低迷要因を分析し、実効性ある回収率向上施策提案が宿題となっていた。
*…廃棄機器推計から得られる推計廃棄時残存冷媒総量に対する充填回収業者からの実績報告値の割合。廃棄時回収率は38%(平成30年10月公表値)である。
図1:フロン類の廃棄時回収率の推移(合同会議公開資料より)
掲記2回に渡る合同会議では、上記回収率低迷の要因分析と、分析結果に基づく廃棄時回収率向上に向けた対応策の審議が行われた。回収率向上策の合同会議としての提言が了承されたので、パブコメ募集に掛ける。広く意見を収集した上で、今回の提言内容に大きな変更がなければ、具体的な制度設計策定に移行する。
機器製造側に係る審議もあり、審議会場には当工業会/会員会社関係者が多数、傍聴参加していた。審議の概要は以下の通り、合同会議席上の審議資料は、こちらの経済産業省のHPに公開されている。
1.冷媒の廃棄時回収率が低迷している要因分析
冷媒未回収の要因として、3つの要因仮説が示され、分析調査報告があった。登録充填回収業者上位3,500社対象中、1,181業者からアンケート調査有効回答があり、これをデータベースとしているとのこと。
図2:冷媒未回収要因のイメージ(合同会議公開資料より)
冷媒未回収約60%の要因仮説内訳は、
<要因A>…機器廃棄時に冷媒回収が行われていないこと(のみ)に起因するもの。
・建物解体時に建物解体工事の一環として機器廃棄が実施される場合の冷媒回収未
実施例が顕著であり、最大要因となっている。
・構成の大半は中型冷凍冷蔵(コンデンシングユニット/冷凍冷蔵用チラー等)、中
型空調(ビルマル等)、小型空調(店舗用PAC等)が占める。
<要因B>…<要因A>と<要因C>の複合要因のもの。
<要因C>…回収作業を行っても回収残となったり、作業環境/技術的制約から回収で
きないと想定されたもの。
・「廃棄対象機器の配管長が長い場合など膨大な回収作業時間が必要」「機器に内
蔵されている電磁弁の電源喪失/制御等による閉状態が要因で、回収できない冷媒
が機内に残る」「解体現場で電源が取れない/大型回収機を持ち込めない作業環境
がある」などの、作業環境/技術的制約面の阻害要因がある。
図3:冷媒未回収率(63%)の機種・規模・要因別の内訳(合同会議公開資料より)
2.今後の対応【審議結果と提言内容】
<要因A>項については、都道府県の指導・監督を通じ、機器を廃棄するユーザーに冷媒の引き渡し義務を徹底させる必要があり、特に建物解体に伴う冷凍空調機器の廃棄について制度的対応を検討してはどうか提言があった。すなわち、
①ユーザーが廃棄した機器の有無を、都道府県による事後の立入検査でも把握可能
とするため、点検記録簿に機器廃棄の情報を付記した上で、機器廃棄後も一定期間
保管することとしてはどうか。
②冷媒フロン引渡義務違反は間接罰(指導→勧告→命令→罰則)で、複数回の反復を
経ないと処罰に至らず、罰則の意味がないため、1回の違反で罰金などの処罰を科
せる直罰化を検討してはどうか。
提言があり、合同会議委員の大きな反対意見は出なかった。
<要因B><要因C>項については、1台当たり回収率の低迷要因には、様々な仮説が
存在するため、技術面でより詳細な調査/分析を進める必要がある。技術的知見を
有する者の協力を得て、技術面から要因分析を進める場を立ち上げ、技術的制約/
回収方法の問題の両面から要因分析を継続して行く方向が示され、合同会議委員の
期待は大きい。
当工業会会員におかれても、今後の合同会議での審議状況を注視していく必要が
あると思われる。
以上
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